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メタファー-心の物語-  作者: 一月の山羊


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4/12

眠れない月

眠れない夜って、どうしてこんなにも長いんだろう。

今日だって特別なことはなかったのに、胸の奥だけが静かにざわついている。


窓の外を見ると、月が浮かんでいる。

まるで、ずっと前からそこにあった光をただ静かに思い出しているような、そんな表情で。


眠れないとき、私はよく月を見る。

理由は分からないけど、あの光を見ていると、自分の心が少しだけ本当の姿に戻っていく気がする。


今日、私は頑張った。たぶん、誰にも分からないくらい小さな頑張り。

仕事をして、笑って、ちゃんと大人としてふるまった。

本当は疲れていたのに。


こうして静かになると、見ないふりをしていたことが少しずつ浮かんでくる。

不安とか、寂しさとか、理由の分からない焦りとか……

ちゃんとあったのに、日中はその全部を押し込めていたんだろう。


月は何も言わないのに、なぜか見つめられている気がする。


「平気なふり、してたね。」「本当は苦しかったんじゃない?」


そんな声が聞こえる気がして、胸の奥がじんわりとほどけていく。


眠れない夜って、心が“ここにいるよ”ってそっと知らせてくれているのかもしれない。


弱さじゃなくて、ただ、ちゃんと感じているだけ。ちゃんと、生きているだけなんだ。


月を眺めていると、少しずつ息が深くなっていく。

胸の中で渦巻いていたものが、静かな湖みたいに落ち着いていく。


そして気づく。眠れなかった夜も、こうして過ぎていくんだなって。


窓の外がわずかに青みを帯びる。夜明けの気配。

目を閉じて深呼吸をすると、心の奥に少しだけ余白ができていた。


眠れなかったはずなのに、不思議と少しだけ軽い。


これでいい。今はこれでいいんだ。


月は薄れていくけれど、その光はまだ胸の中に残っている。

静かに、やわらかく。

私はそのまま、新しい朝を迎えにいく。

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