はじめに
はじめに、本日記は小野寺洋子という少女を観察するにあたり別途作成されたものである。
彼女については、上司の武田君および医師の白根には随時報告を入れているものの、私の調整官としての経験からしても、今回の状況が稀であることから分けることとした。
白根からの勧めもあったことを付け加えておく。
少しばかり前置きとして私の事を少々記しておく
なぜ日記に前置きが必要かと聞かれれば、私にもよくわからない、前置きをわざわざ書くのは今は亡き義父こと大野照観にそうするよう言われたからで、なぜかは聞いたことがない。
言葉より背中で語るそんな人だったが、私にはいささか広すぎるように思えたからだろう。
おやじの話は長くなるので本題に戻ろう。
私は警察組織に所属する調整官である。
調整官の仕事は人と「者の化」の間を執成し、双方の利害を調整することにある。
「者の化」とは、人が何らかの要因で姿かたちが変わってしまう者たちことをさし、あるいは獣にあるいは角が生え、あるいは血に渇くといった者たちで、こういった者達をようやくし「者の化」と呼称し我々は彼らとの間を執成している。
彼らは人であり、陛下の愛する国民であり我々は人として生命の安全を確保できるよう努める、一方、陛下の慈愛に甘え、人にとって脅威になるようなら我々が責任をもって対処する。
それがわたしこと調整官「河内丈流」である。
当然、小野寺洋子は「者の化」である。