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第13章 交易の帝国 1. 経済の再設計



第13章 交易の帝国


1. 経済の再設計


外交で半年の猶予を得た陽光は、その時間を最大限に活かすべく、帝国の内政に着手した。

軍事的な備えも重要だが、陽光の目は、より持続的な力を生む**経済と物流の制御**に注がれていた。


「アンドロイド軍の一部を兵士ではなく、護衛商隊に再編する」

陽光の宣言に、分身リーマンたちは瞬時に理解する。

「護衛商隊……つまり、交易路の安全を守り、商流を管理する部隊ですね」


アンドロイドたちは無表情ながらも正確に指示を受け、交易路の護衛、物資輸送の安全確保、商人との契約締結を開始する。

同時に、分身リーマンたちは各国へ派遣され、物流網の調査を行う。

道路、橋、市場、港――どこに滞留があり、どこに利権の空白があるのか、数字で正確に把握するためだ。


「道路、橋、市場、港……全部記録しろ。

金の流れを数字で把握すれば、我らが主導権を握れる」


分身たちは帳簿にデータを集積する。

都市間の距離、輸送速度、税収、商人ギルドの支配率――

すべては帝国全体を俯瞰する巨大な交易地図に反映される。


やがて王城に集まったのは、帝国規模の交易地図だった。

地図上には、国内外の輸送ルートが色分けされ、各都市の産物がアイコンで表示されている。

穀物、織物、金属、香料、薬草――

輸出入の量と価値まで数値化され、商人ギルドや地主の利権までも洗い出されていた。


陽光はその地図を前に、静かに言葉を紡ぐ。

「帝国全体の経済の流れを掌握した。

誰がどのルートで、何を得ているか、すべて把握できる。

この情報こそ、我らが交易の主導権を握る鍵だ」


分身リーマンたちは、地図上の数値を確認しながら分析を開始する。

「この都市は穀物の集積地ですが、輸送ルートが狭く危険です。

護衛商隊を重点配置すれば、交易効率を上げつつ安全も確保できます」

「こちらの港は税収が低く、商人ギルドの支配が緩い。

ここを押さえれば、海外交易の利益を直接掌握可能です」


陽光は帳簿に沿って戦略を練る。

「交易路の安全はもちろんだが、同時に情報を集め、利権を整理する。

そして、商人と協力しつつも、帝国の利益最大化を優先する」


彼の頭の中には、交易網を使った複合戦略が描かれていた。

輸送の安全確保――護衛商隊の配置

情報の独占――分身リーマンによる調査

利権の掌握――商人ギルドの取り込み

経済的圧力――関税や交易手数料の最適化


すべてが連動すれば、帝国は**外交だけでなく経済でも主導権を握る**。

外交で得た猶予の時間は、まさにこの経済再設計にこそ活かされるのだ。


陽光はさらに地図上に印をつける。

「ここは軍事拠点と交易港の交差点。守りつつ、経済も制する要所だ」

「この地方の市場は民の需要が高い。ここを掌握すれば、帝国全体の物資流通を最適化できる」


分身リーマンたちはメモを取り、数字を精査する。

「陛下、各都市の物流能力と需要量を組み合わせれば、効率的な供給網を構築できます」

陽光はうなずき、さらに帳簿に戦略を書き加える。


この交易地図は、単なる情報ではない。

帝国の経済活動の神経網であり、軍事と外交の戦略にも直結する**複合的指揮系統**だった。

「この情報を基にすれば、どの都市も帝国の意志に沿って動かせる」


陽光は窓の外に目をやる。

港には船が行き交い、街道には商隊が行き来する。

護衛商隊が配置された安全な交易路は、帝国の財力と影響力を確実に拡大させるだろう。


「半年間で経済を再設計し、交易網を制する――

これこそ、帝国が真の力を持つ第一歩だ」


分身リーマンたちは一斉に頷き、帳簿に集計結果を書き込む。

交易地図と帳簿は、これからの帝国の繁栄を支える設計図となる。


こうして、外交で稼いだ時間は、経済の基盤を固める黄金の期間として活かされ、山都谷帝国は**交易の帝国**へと変貌を遂げつつあった。

帝国の力は、軍事だけではなく、経済・物流・情報の三位一体の戦略によって、確実に支配力を増していく。




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