4. 王権の確立
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4. 王権の確立
陽光の王権は、わずか数日のうちに確立された。
その手腕は鮮やかで、冷徹で、しかし無駄がなかった。
利益を与えて従わせる者――「飴」――には富と繁栄を保証し、恐怖で縛る者――「鞭」――には容赦なく処罰を下す。
この二つの方法を使い分けることで、短期間に王権を揺るぎないものとしたのである。
重臣たちは、まだ新王の真意を完全に理解できずにいた。表面上は忠誠を誓い、宴や儀式では微笑を浮かべる。しかしその心の奥には、恐怖と猜疑が入り混じる。
「次は自分か……」
誰もが内心で警戒し、言葉一つひとつを選びながら、王に接するしかなかった。
大司祭でさえ沈黙を守る。これまで王の権威に公然と意見を述べていた神官も、今は微動だにせず、玉座の前でひざまずいたままである。
城内には静かな緊張が漂い、これまで渦巻いていた不満や不平の声は、まるで氷のように凍り付いた。
商人も領主も、誰もが王の権力を疑うことを恐れる。従うことが生存の条件であり、裏切りは死を意味する。
陽光は玉座に座り直し、王冠の重みを感じながら、深く息をついた。
「これで土台は整った……」
その声は心の中だけに響かせる。公には一切、感情を見せない。王としての冷徹さは、民衆や臣下に対して絶対的な印象を与え、今後の統治の基盤を固めるのに十分であった。
彼の視線は城の奥、遠くの市場や民衆の動きにまで届くかのように鋭く光る。すでに王としての権威は揺るがず、臣下たちは従い、民は恐怖と尊敬の入り混じった視線で新王を見上げている。
陽光は静かに玉座に手を置き、次の構想を頭の中で描く。
「次は経済だ――」
国を治めるには、権力の確立だけでは足りない。民衆の生活を支配し、富を掌握することで、真の支配は完成する。市場、交易、税収……経済を掌握すれば、臣下や商人さえも、王の意志に従わざるを得なくなる。
城内の空気は、まるで嵐の前の静けさのようである。重臣たちは表面上は忠誠を誓うが、その瞳の奥には計算が光る。しかし、陽光はそのすべてを読み取り、次の一手を既に決めていた。
誰も逆らえない。誰も動けない。王の盤上には、すべての駒が配置されているのだ。
彼の思考はさらに未来へと進む。国の繁栄と秩序を保ちながら、絶対的な権力を維持するための施策を、一つひとつ頭の中で整理していく。
「税制の見直し……交易路の確保……商人への保護……」
すべては計算され尽くしている。王としての策略は、すでに完璧な形を帯びつつあった。
玉座に座る陽光の背後、旗が風に揺れる。赤と金の王旗は、国の新しい秩序を象徴しているかのようだ。臣下たちは膝をつき、民は見上げる。その視線の中に、恐怖と敬意が混じる。王権はもはや疑われる余地を持たない。
陽光は心の中で微笑む。
「飴と鞭、信賞必罰……すべては完璧に機能した」
王宮の奥深く、影に潜むスパイや近衛兵たちも、それぞれの役割を果たし、王の統治を支えている。全てが計算通りに動いていることを確認し、陽光は再び玉座に深く腰を下ろす。
その背後には、広がる国土の姿が目に浮かぶ。経済を掌握し、権力を絶対化することで、陽光の統治はさらに強固なものとなる。権力の基盤は揺るがず、臣下も民も、すでに王の意思に従わざるを得ない状況に置かれた。
陽光は目を細め、未来を見据える。
「ここからが、本当の統治の始まりだ……」
こうして、新王陽光の王権は確立された。
飴と鞭、恐怖と報酬――その両輪を巧みに操ることで、短期間で絶対権力を手中に収めたのである。城内の空気は今や静寂と緊張に満ち、王の支配は盤石となった。




