信賞必罰の宣言
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3. 信賞必罰の宣言
老臣三名の首が落ち、血の赤が石畳に広がった広場には、しばしの沈黙が支配していた。民衆は言葉を失い、足元の光景に震え、恐怖で心を硬直させる。その空気の中で、陽光は一歩前に進み、壇上の高みに立った。
日の光が王の鎧や衣装に反射し、まるで神々の光に照らされているかのように輝く。長く黒いマントは風に翻り、その端がまるで天を切り裂く剣のように揺れた。群衆の視線は一斉に王へと集まり、そこには恐怖だけでなく、ある種の畏敬が入り混じった。
「民よ」
陽光の声は低く、しかし広場の隅々まで届くように響いた。
「余に従う者には、繁栄を。余を裏切る者には、滅びを」
その言葉には、冷徹さと慈悲の両方が含まれていた。従えば王の庇護を受け、裏切れば命さえ保証されない。この簡潔かつ断固たる掟は、民の心に深く刻まれる。
民衆の中には涙を流す者もいた。喜びの涙ではない。生き残るための覚悟の涙である。忠誠の言葉を口にせずにはいられないと、無意識に膝をつき、頭を垂れる。
「我らは余に従う……」
小さな声が、次第に連鎖して広場にこだまする。
陽光はさらに歩みを進め、広場中央で両手を広げた。その仕草は王としての威厳を最大限に示すものであり、同時に民に選択の余地はないことを暗示していた。
「これが、新たな王の掟だ」
その声が響くと、群衆は一斉に頭を垂れ、広場に忠誠の声がこだました。声の波はまるで地面を震わせるほどで、遠くの城壁にまで反響して戻ってくる。
忠誠の声、恐怖の声、安堵の声……すべてが混ざり合い、王の権威をさらに固める。
陽光は民衆の表情を一つひとつ確認した。怯えた顔、涙をこらえる顔、あるいは心の奥で密かに反抗を企む顔もあるかもしれない。しかし、表面に現れる行動こそが、王の眼には真実であった。従う者は繁栄を手にし、裏切る者は滅びる――それが、この国の新たな秩序だ。
その後、陽光は広場を静かに歩きながら、民に向かって続けた。
「余は公平である。忠実な者には報いを与える。怠惰や反逆には、容赦はない」
この言葉は、老臣たちの処刑と連動して、民に「信賞必罰」の原理を直感的に理解させるものであった。生き残る者はすべて、王の決意を自らの目で確認したのである。
広場の端に立つ若い農夫は、汗で濡れた額を拭いながら心の中で誓った。
「王に従い、この土地を守る……」
商人もまた、心の奥で計算していた。
「王に背けば命はない。従えば、富が得られる……」
陽光はその光景を、静かに、しかし満足げに見つめた。権力とは恐怖だけで維持されるものではない。恐怖と報酬の両方で操ることで、人々は自らの意志で王の支配下に入る。飴と鞭――その両輪が、王の統治を完全なものにするのである。
太陽が高く昇り、広場を照らす。石畳に落ちる光と影は、王の支配の象徴のようであった。忠誠を誓った民衆は、これからの日々を恐怖と希望の混ざった気持ちで生きることになる。
陽光は高壇を後にし、静かに城内へと戻った。その背中には、確固たる自信が宿っていた。
「飴を与え、鞭を振るう。信賞必罰を示す」
その統治の方針は、すでに国全体に浸透しつつあった。
城の屋上から広場を見下ろす陽光の瞳には、未来を見通す鋭さが光っていた。
忠誠を誓った者、恐怖で従う者、すべてが王の盤上の駒である。これから始まる新たな時代、誰もこの王の権威に逆らうことはできない。
そして民衆の心には、深く刻まれた。「余に従う者には繁栄を。余を裏切る者には滅びを」――この言葉が、永遠に響き続けることになるのだ。




