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穴の外へ!

 食事が終わり雑談をしながらもオレは先ほどの、ちゅ~、の衝撃から抜けだせずにいた。

 一方、ヒメは何事もなかったように振る舞っている。

 今も食べ終わったゴミを(オレの分と合わせて)回収用の袋に詰めている。

「ダンジョンをゴミ捨て場と勘違いしてる冒険者が居るけれど、困ったモノね」

 オレが曖昧に頷くとヒメが続けた。

「人間や魔物は死ねばダンジョンに吸収されるけれど、服や装備は吐きだされるモノね(笑)」

「えっ?……そうだったんだ」

 オレの返事にヒメが小首を傾げた。

「モブって()()()()を知ってる癖に、当たり前なコト知らないよね?」

「あ、えっとぉ……」

 オレは少し迷ってから打ち明けた。

「これはまだ誰にも話してないのですが、オレは別の世界からこの世界に飛ばされたんです……まあ、こんな話、信じられないでしょうが(笑)」

「え? モブって『転生者』…ん?…『転移者』?……だったの?」

 ヒメの返事はオレに衝撃を与えた。

「『転移者』……まさか、他にも?」

「いいえ、他の『転移者』あるいは『転生者』は、知らない……でも、大魔導師さまから『そういう人たち』が居るという話は伺ったわ」

「そう、なんだ……」

 もしかしたら、還る方策が見つかるかも知れない、と思った。

「と、取り敢えず、今の話は暫く内密に……」

「良くってよ、二人だけの〝秘密〟ねっ♡」

(女子って〝秘密〟って言葉が好きだよな(笑))

 ヒメはオレの含み笑いをスルーして言った。

「それであんな不思議な魔法が使えたのね……」

「ああ、『※ スキル【(かば)う】』ですね(笑)」

「『※ スキル【(かば)う】』……モブらしい魔法ねっ♡」

「えっ? そうですか?」

「ええ、だって……モブって、()()()()()()()()()優しいモノね?」

 ヒメが何か()()()()()()()()言い方をした。

「いえ、ヒメのような()()()()()です(笑)」

 オレの言い訳(フォロー)にヒメは、ふんっ、と鼻を鳴らしただけだったが。


「その『※ スキル【(かば)う】』で考えていた事があるのですが……」

 オレは思いついたアイデアを確認する。

「オレには自分の背後なので良く見えないのですが、あの時って、羽根を広げたような形ですかね?」

「そうね……白く光った大きな羽根を広げたような形だった……かしら?」

「やっぱりそうなんだ……ちょっと見ていて貰えますか?」

 オレはそう言ってから広い場所に移動してから念じた。


  『※ スキル【(かば)う】』


 しかし、一瞬だけ背後が光ったような気がしただけでスキルは『発動』しなかった。

「やはり、枯渇したMPが戻っていないか」

「……えむぴー、というのは魔力の事かしら?」

「ああ、そうですね、多分…」

 オレの返事にヒメが頷く。

「だったら補填するのは可能よ!」

「えっ? ホントに?」

 何故だか、わく、わく、した顔のヒメが、広げたままだった敷物(代わりの夜具)を、ぽん、ぽん、と叩いた。

「ここへいらっしゃい」

 オレが言われた場所(ヒメの直ぐ前)に坐ると ――


 オレは、ヒメに押し倒されていた(笑)。そのまま、顔と顔が近づく。


「魔力は、手と手を合わせても交換できるけど、口と口を合わせて注入するのが、一番効率が良いの…」

 そこまで、普通に話していたヒメが、何故か急に、おた、おた、しながら言った。


「だ、だ、だから、これは……き、ききき、きちゅ、じゃにゃい…にょ、よ……か、勘違いしない、でよ、ね…」


 言い終わって直ぐに(決心が鈍らない内に?)ヒメがオレに口付けてきた。

 少し前にされた冗談交じりのキスではなく、ヒメがいきなり舌を挿入()れてきた。

 オレの舌を探り当てヒメの口腔に誘い込まれる。

 卑猥な水音が辺りに響く。

 一心不乱にオレの舌を(なぶ)っていたヒメがオレの口腔に唾液を流し込んできた。


 ―― と、同時にヒメの周りが白い光に包まれた。


 そしてオレは魔力が流れ込んでくるのを感じたのだった。

 それからどれくらい舌を絡め合い、唾液を流し込まれただろう。

 やがて、力尽きたように唇を離したヒメがオレの肩口に顔を埋めた。

 息が荒い。

 オレの胸板で潰れたヒメの()()()()()(ふた)つの膨らみが激しく上下している。

 全ての魔力をオレに与えてくれたのだろう。

「ありがとうございました」

「ん♡」

 辛うじて頷くのがやっとのようだ。

 オレは思い出して『収納袋』から『青色ポーション』を取りだしてヒメに渡した。まあ、気休め程度にしかならないだろうが。

 しかし、ヒメがそれを取り落とす。

 そこまで衰弱させてしまったのだと思い知らされた。

 オレは体勢を入れ替えて『青色ポーション』を開けて口に含み、ヒメに口移しで流し込んだ。


 人生三度目のキス……いや、これは『医療行為』だ(笑)。


 唇を離すと、ヒメが顔を持ちあげてオレの顔を掴んで口周りを舐め廻した。

「残したら勿体ないでしょ?」

 ヒメが()()()()ながら笑った。

「はい、それも『医療行為』ですね(笑)」

 オレの指摘にヒメは怒ったように言ったのだった。

「莫迦っ!」


 それからオレは自分のステータスウインドーを開く。


  名前=タダノ・モブ(真名=※※※※※※)

  性別=男(経験値=童貞)

  年齢=18歳

  種族=ヒューマン

  レベル=2038

  ジョブ=転移者

  HP=189103/189119

  MP=285605/285605

  STR=9978

  VIT=12457

  DEX=228

  AGI=1753

  INT=1875

  LUC=18467


 スゲーっ!

 MPが一桁増えてる(笑)。

 まあ、一時的なものだろうが。

 『真名』は何故か未だに非表示だ。本人なのに(笑)。あと『童貞』は非表示にしたい(笑)。

 レベルが倍近く一気にあがったのも、やはり穴に落ちた時『※ スキル【(かば)う】』を使ったからだろうか。

 さて、『LUC』も大幅に増えているし、やってみようかねっ!

 オレはまたさっきの場所に立ちイメージした。


 『※ スキル【(かば)う】』を念じるのではなく、その時生まれた白い羽根だけを思い描く。更に大きく、更に力強い、イメージで。


  ※ スキル【飛行魔法】を獲得しました。


 また、頭の中にあの声が聞こえた。

 同時に背中から二つの光の羽根が広がるのが判った。

 多分、この羽根は羽ばたかせる必要はない。

 オレは浮きあがるイメージを念じた。

 瞬間、視線が下へ流れた。いや、オレが数メートル()()()()()()のだ。

 ヒメが息を吞む気配を感じた。

 オレは、ぐるり、と壁沿いに遊泳してからヒメの前に音もなく着地した。


「もうっ!…あなたって、何でもありねっ♡」

 ヒメがオレに抱きついて、うる、うる、顔で見あげてくる。

(そういう顔、男が一番弱いって知ってます?)

 しかし、素知らぬ顔で言ってみる。

「惚れ直しました?」

「えー、ないわーっ!」

「言い方~~っ!」

 まあ、良いけどね。


(もう、お莫迦さんね(笑)…ぱんつを見られた(いのちをすくわれた)時からあなたに夢中よっ♡ ……パイ・チンにも、譲れないわ……わたくしは、本気で()()()()を取りにいくわっ!)


 それから急ぎ片付けをして、残したものがないか確認も済ませて、オレはヒメとさっき浮きあがった場所に立った。

「ええと、どうやって運びましょ…」

「お姫さま抱っこっ♡」

 オレが言い終わる前に答えが返ってきた。この世界に〝お姫さま抱っこ〟という言葉や概念があるかは判らないが、ご希望にはお答えしましょう(笑)。


 オレはヒメの背と膝裏に腕を宛がい、軽々と持ちあげた。

 直ぐにヒメの両腕がオレの首に捲きついて抱きついてくる。顔が近い。片乳がオレの胸板で、むにょん、と潰れた。


「では、参りましょう、お(ひい)さまっ♡」

 お道化て言うとヒメも、ノリ、ノリ、で答えた。

「うむ、良きに計らえっ!」


 穴の上端には1分も掛からなかった。

 いきなり飛びだしてきたオレたちを、4人の仲間が唖然として見詰めていた。



            【つづく】

Ci-enで活動ブログもしています。

https://ci-en.dlsite.com/creator/878


感想、誤字指摘、等ありましたら、是非に。

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