ダンジョン攻略3回目 part2
■ヒメノ・ヒメ視点■
わたくしが目を覚ますと、何故か、モブと向かい合わせに寝ていた。
まあ、わたくしがモブの上から擦り落ちて、その後モブがこっち向きに寝返りを打った……というトコロかしら?
でも、モブの寝顔を真正面から見られてラッキーだわっ♡
可愛いっ♡
みんなは『平たい顔』とか『不細工な顔』なんて言うけど、失礼よね。
まあ、それで余計な虫が付かないなら全て承認よ(笑)。
でも、チンチンは仕方ないけど爆乳竜人美少女は予定外だわね。
いつまで見てても見飽きないけど、ちゅー、しちゃおうかしら?
―― と、思ったらいきなりモブの目が開いた。
拙い、目を瞑るタイミングを逸した。
「お、おはよう、モブ…」
「あっ!、おはようございますヒメさ……あ、いえ、ヒメ…」
「ねえ、おはようの、ちゅー、してっ!」
「い、今です…か?」
今しなくて、いつスルのよぅ!
わたくしは目を瞑り唇を突きだして待った。
何だか、モブが辺りを、きょろ、きょろ、してる気配を感じる。
もぉ! 2人切りだってぇ!
モブって、こういうトコ、ヘタレよね?
あ、やっと、唇きた ――っ♡
……って、なんで唇合わせただけの〝お子ちゃまキス〟なのよぉ!
おベロ、入れなさいよぉ!
いつもシテるじゃない……主に『医療行為』だけどぅ。
は、や、く、おベロ、かもぉおおおんっ!
いつもみたいにぃ……殆ど『医療行為』だけどぅ。
「もぉ!」
仕方なくわたくしの方から舌を差し込んだ。
やだぁ、モブの舌が逃げてくぅ(笑)。
「はむ、むぅん……つはまへはっ!」
そのままモブの舌を、じゅぽ、じゅぷ、っておしゃぶりする。
狭いテントの中に、えっち、な水音が響く。
ちょっと、恥ずかしい。
わたくしはそれを誤魔化すように、モブの口の中に唾液を流し込んだ。
「ごきゅ!」
モブの嚥下する音が大きく響く。
唾液を呑み込む時って、なんで大きな音がするのかしら。呑み込んでくれるのは嬉しいけど、こっちまで恥ずかしくなる。
「ねえ、大きくなった?」
「ふ、ふつう……です…」
「触って確認して、良い?」
「だ、ダメですっ!」
「えええっ?……どうせ、ぱっくん、するしぃ(笑)」
「け、今朝はご辞退申しあげますれば……」
「何故ようっ?」
モブが困ったように返事した。
「た、体力を温存したいので……ダンジョンでは『無し』の方向で…」
「えぇえええええっ!」
わたくしが不満をぶつけると、背後から似たような声が聞こえた。
「えぇえええっ!」
「仕方ないにょ!」
テントの入り口はわたくしの後方だから目には見えないけどチンチンとイクイクだ。
「今朝は、ぱっくん、なしですって…」
「明日に期待ねっ♡」
プーとピーまで居るのぅ?
わたくしはモブの返事を反芻して訊き返していた。
「あれっ? ぱっくん、すると体力が減るのっ?」
「「「「えっ? そうなの?」」」」
いや、いや、あなたたち、いつまで覗いてるのよぉ!
「う、うん……お姫さま、そろそろ朝食に致しますれば、お着換えくだされませっ!」
もぉ! こんな時ばっか鹿爪らしい喋り方してぇ!
「わ・か・り・ま・し・たっ!」
わたくしは身体を起こしてモブに言った。
「着替えるわよっ!」
「はい」
返事を待たず立ちあがって両腕を上にあげて待つ。
同じように置きあがったモブがそんなわたくしを不思議そうに見ている。
「早くして」
「えっ?…何を、ですっ?」
「お屋敷では、朝起きたらこうすればメイドが着替えさせてくれるのぅ」
「メイドは、居りませんが……」
「モブが居るでしょ」
「へっ?……オレが、するんですか?」
「は、や、くぅ!」
「えっと、これは、どういう風に?」
「下からたくしあげて、頭、腕、と抜き取るのぅ!」
「わ、判りました……ひぃ!」
寝衣装の裾を摘まんで持ちあげたモブが、変な声をだした。
その作業を続けながら視線を逸らせている。
どうしたのかし……きゃっ!……ど、どど、どうしましょう!
こ、ここ、こ、これ脱がされたら、すっぽんぽん、だわっ!
―― と、思ってる間に、頭を抜け、腕を抜け、脱がされていた。
「えっと、次は……」
モブが横を向いたまま訊いてくる。
「そ、そこに着替えは…よ、用意しておいたから…」
わたくしは夕べ枕元に用意しておいたモノを指差した。
きゃ、きゃあああっ!……い、一番上は……お、おぱんつだわっ!
い、いえ、大丈夫よ、あれは『装備』なの……だ、だから、何も……は、恥ずかしがるコト、ないのよぅ!
「ど、どうぞ……」
モブがわたくしの足元に〝装備〟を広げたのが判った。
わたくしはこの後の手順について頭の中でシミュレートしてみる。
わたくしが、そこに足を通し、モブがそれを持ちあげる……その時の、モブの視線の前って……真っ裸のわたくしの……あ、ああ、あそ……
む、むむむ、む、む、むむ、無理ぃいいいいいいいいいいいいいいいっ!?
わたくしはその場にしゃがんでモブの手から『装備』を奪いとって言った。
「あ、後は、わたくしが致しますっ!」
モブも、ほっ、としたように頷いていた。
真っ裸、見られちゃったよう…もう、お嫁にイケない(笑)。
あ、そうか、モブに貰ってもらうから良いんだった(笑)。
オレたちがテントから出ると待っていたようにマータたちがテントを解体し始めた。
見れば他の2つのテントは既に解体されて『収納袋』の横に積んであった。あのサイズがそれより遥かに小さい『収納袋』に入るのが不思議でならない。しかも重さも殆どなくなるのだ。
因みにこの『収納袋』を担ぐのはドワーフで力自慢のチチだ。
オレとヒメは向こうで朝食の支度をしているチンチンとプーを手伝いに行った。
食事はいつもと変わらずお喋りしながら楽しく進んだが、ヒメの距離感がやたらと近いようで気になった(笑)。肩が触れたままヒメが食事をしている。何故だ?
あと、チンチンがオレの臍の下辺りを頻りに気にしている。いや、直に治まるからお気になさらず~~~(笑)。
食事が終わるとブリーフィングだ。
「昨日も言ったが今日中にこの第4層をクリアして第5層の『ボス部屋』の前まで行きたい」
マータが皆んなを見廻して言った。
「第4層のボスは何かな?」
マータが訊くと、マップを見ながらイクイクが答えた。
「一応、ギルド発行のマップによるとゴブリンの上位種かハーピィとなっているが、オーガも頭に入れておいた方が良いにょ」
「そうだな。ここまでの第1層から第3層までの『ボス』は歯応えがなさすぎたが、ここは注意した方が良いだろう」
ハーピィというのは顔と身体が女性の姿をした鳥型のモンスターだ。手の代わりに翼がある。足は鳥の足だ。
そして、ほぼメス(いや、女性?)らしい。胸とお股の辺りは都合よく(笑)羽毛が生えている。
たまに人族と友好的な個体もあるらしい。
とは言え、『ボス部屋』に湧いてきたら倒すしかないが。
後は戦闘時のフォーメーションを幾通りか詰めておく。
マータとイクイクの実践知識が半端ない。頼もしい近衛だ。
ブリーフィングを終え、直ぐに出発した。
『ボス部屋』まではさして問題はなかった。
殆どがゴブリンだったので前衛を交代する余裕もあった。チンチン以外は対ゴブリン戦闘を経験できたのも良かった。
イクイクが魔法用の『杖』でゴブリンの頭をぶっ叩いたのには驚かされた。『杖』が折れないか心配だったが『硬化魔法』を掛けてあったそうだ。魔法戦士、半端ねーっ!(笑)。
そして、ボス部屋は……
湧きました、ハーピィ3体。
中央の1体(頭にティアラを付けている、多分こいつがボスだ)をマータが。左をピーとチチ、右をオレとプー。こういう連携はブリーフィングのお陰だ。
残る3人はいつもの魔法だ。今回はヒメを最後列に下げ、その前にイクイクとチンチンが立って魔法を唱える(イクイクも攻撃魔法以外は詠唱が必要らしい)。
今回もイクイクは『攻撃力強化』、チンチンはいつもの『守備力強化』ではなく、敵の動きに『行動遅延』を引き起こす魔法だ。
何しろ、飛べるからねっ!
そのチンチンの『闇魔法』が効果を発揮した。翼を羽ばたかせて浮きあがろうとした3体が見事にコケた。
そこを逃さず3方から一気に叩く。左右の2体を倒したらマータの援護に、と思ったがまるで必要なかった。マータ強し(笑)。
皆んなが戦闘の傷の治療とか武器の保守とかに当たっている間に、チンチンがドロップアイテムを拾い集めてくれる。ここらの連携も素晴らしい。
そのまま第5層に降りた。
愈々最下層だ。気合が入る。
ルートを半分くらいクリア(ここでもゴブリンしか湧いてこない)して昼食となった。
「何だか手応えがなさすぎて、逆に怖いなっ!」
マータが大真面目に言った。まだ食事を採りながらなので皆んなの反応もイマイチだ。
「ボスが突出して強かったら嫌だね」
オレが言うと直ぐにイクイクが混ぜ返す。
「トノの『庇う魔法』の出番だにょ♡」
(だから、誰が『殿』だ……って、皆んなも受け入れてる?)
「皆んなを守ってね、と・のっ♡」
ヒメまでオレに肩をくっつけて言ってくる。まあ、良いけどね。
『ボス部屋』までも、一度ハーピィが湧いただけで他はゴブリンだった。まるで問題なくクリアした。
我々も戦闘をかなりの数こなしてきて強くなってはいるだろうが、随分スムーズにここまで来た。
敗走を余儀なくされた前2回が嘘のようだ。
『ボス部屋』を、ちら、っと覗くか論議になったが、万一強制力が働いて開いてしまうと厄介だ……との結論で『待機部屋』で夜営する事になった。
『待機部屋*』とは、『ボス部屋』前にある小部屋で、ボスに挑戦するパーティが重なった場合などに後続パーティが〝待機〟する為の部屋だ。ここにモンスターが湧く事はない。更に、今回このダンジョンを攻略するパーティは我々だけだ。ギルドマスターがそういう風に配慮してくれている。
テントなどの配置は昨夜と同じだ。
夕食を済ませて、今夜は明日に備えて早く寝ようという事になった。
皆んなと「おやすみ」を交わして、オレもヒメとテントに入った。
今朝の事を思い出し、オレは些か照れ臭い。
しかし、ヒメは全く動じていないようだった。
さっさと防具を外し、早々に掛け毛布の下に入ったようだ。ようだ、というのはオレが後ろを向いて着替えていたからだ。
この異世界に転移してきた時に着ていたパジャマが今ではオレの寝衣装だ(笑)。
パジャマに袖を通そうとしたらヒメからクレームが入った。
「その、ぱ~じま、とかいうの、着ないでっ!」
「えっ?」
「抱きついた時、ごわ、ごわ、スルのよぅ!」
「いや、だって…」
言い返そうとしたらヒメが掛け毛布を捲った。
真っ裸だった。
臍の辺りまで見えている。つまりホントの、すっぽんぽん、ですかっ?
パジャマのズボンは先に穿いていたが、ヒメが視線で、脱げ、と促す。
仕方なく脱いで……えっ?、パンツも?
パンツに指を掛けて視線で問い合わせると、頷かれた。
変に隠すのも嫌だったので(もう何度も見られてるしぃ)ヒメの方を向いたまま脱いだ。
足を抜くまでヒメが、ガン見、していた。何処を、かって? とても口にだせません。
そのまま、ヒメが捲くって待っていた掛け毛布に滑り込む。
直ぐにヒメが抱きついてくる。まあ、体勢的には昨日と一緒だ。しかし、二人の間にあったネグリジェとパジャマがないのである。
ヒメのけしからんオッパイがオレの胸板に〝直〟だ。サクランボの位置まで把握できる。
流石に下半身まで〝直〟でこられたらオレは理性を保つ自信がない。
そこはヒメも遠慮したのだろう。アレに触れない、ぎり、ぎり、の位置取りである。
しかし、オレの太腿にヒメの太腿が、がっつり、触れあっている。
更に、確認できないが、なにか、さら、さら、した、感触が、オレの太腿に触れてますよ、お姫さま~~~っ!
それ、王国的にセーフなんでしょうか?
帰ったら『不敬罪』で『打ち首』とかないですよね? お願いしますよっ!
マジで今夜も眠れるだろうか。明日は『ラスボス戦』ですよ、ヒメさま~~~っ!
■ヒメノ・ヒメ視点■
お互い裸で抱き合っているのにぃ……な、なんで、イビキを掻いて熟睡できるのよぅ!!!
モブの、莫迦ちんっ!、甲斐性なしっ!、役立たず(あそこ限定)っ!、ヘタレっ!、意気地なしっ!、姫殺しぃっ!
もぉ、嫌いよ、大嫌いっ!…………む、むむむぅ、やっぱり、嘘ぅっ……大、大、大好きよ、わたくしのモブぅ♡♡♡
【つづく】
Ci-enで活動しています。
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感想、誤字指摘、等ありましたら、是非に。