作者としては、異世界や過去へ主人公を行かせるとチートを与えたくなるのです
異世界や過去へ主人公が赴く小説等では、主人公がチート、例えば、様々な知識等を持っているのが、当たり前のようになっています。
そして、その中でも特に強力なのが、異世界(中でもゲームや漫画、小説の世界)の展開、流れを知っていたり、過去に赴いて未来のことを知っていたりすることです。
それによって、イベント(?)回避をしたり、人材の青田買いをしたり等のチートにも程があることを、主人公がすることさえ、そういった小説等では多々あります。
そして、実際に私もそんな小説を幾つも書いています。
これってズルでは、そんなチートを露骨に主人公に与えなくとも、という指摘が時々出る話題で、実際に私もその指摘に一人の読者としては、かなりの共感を覚えて、やはり良くないよね、という考えが起きることがあるのですが。
作者として小説を描くとなると、やはりこういったチート等を与えたくなります。
何でそんなことを改めて考えて、書くことにしたか、というと。
つい、カッとなって書いてしまった(?)マリー・アントワネット転生小説を書くきっかけになったコミックが先日、完結して、最終巻まで発売されたのですが、その終わり方からです。
現代日本の普通の女性が、マリー・アントワネットに転生しているのに気付いて、自分達の死刑回避等のために悪戦苦闘するのですが、結果的には、それこそ俺たちの戦いはこれからだエンドにほぼなって、終わりという結末でした。
(少しネタバレを含めて書くと、それこそ米国独立戦争さえも起こる以前、マリー・アントワネットが王妃になってすぐの辺りで、コミックは終わりました。
せめて主人公やその周囲が米国独立戦争にどんな態度を執るのか、それによってフランス国内外にどんな影響が出たのか等々を読んでみたかった、と私は想われてなりません)
一人の読者としては、フランスの歴史、政治経済等を全く知らないといっても過言ではない女主人公が、どうやってフランス大革命を回避するのか、楽しみにしていたのに、何でここで終わるのか、と悲鳴を上げたくなる終わり方でしたが。
その一方で、作者としての視点で見直してみると、このエンドも止むを得ないのかな、という考えが沸き起こって仕方がないのです。
この辺りは、私がネット小説を書いていて、リアルで感想をいただくのもありますが。
チート、知識等が無い主人公で、例えば、フランス大革命を本当に完全回避にしてしまうと、それこそそれは無いだろう、というツッコミ、感想の嵐が引き起こされる気がします。
チート、知識等が主人公にあるという前提にしておけば、そういったツッコミ、感想の嵐を多少なりとも回避することができます。
それにイベント回避(?)等も、かなり可能になります。
(とはいえ、だからといって、今になって思い起こせば、件の小説については、幸いにも好評をいただきましたが、何であそこまで破天荒というか、無茶苦茶な前世のチートならぬ知識持ちにしたのか、と山よりも高く、海よりも深く私が反省したくなる事案ではあります)
実際、一時、私が筆を折りそうになった「サムライー日本海兵隊史」で、そんなツッコミを実際に受けてもいます。
「サムライー日本海兵隊史」世界は、明治維新の頃から少しずつ歴史が変わっていき、結果的に中独ソ対日米英仏等の第二次世界大戦が勃発して、それに日米英仏等が勝利を収めるまでを本編で描きました。
(外伝では、21世紀までを一部で描いています)
その際に言われたのが、
「転生者等がいなくて、未来を誰も知らないのに、こんなに都合よく歴史が変わる訳がない」
等々のツッコミです。
そうは言われても、私なりに歴史を調べて、十分に可能性があると考えて描いており、それこそ嫌なら読むなの話ではないか、と考えるのですが。
一部の方のツッコミは本当に酷く、筆を折りたくなったという現実があります。
それを思い出して、考え合わせると、やはり作者としては、主人公をチート持ち等にしたくなるな、と考えてしまいます。
そうすれば、主人公が予め対策等を考えていて、その事態を回避した等の描写が無理なくできます。
万が一、ツッコまれても、チート持ち等だからできたのです、で強引に押し切ることさえも、作者には可能なのです。
それに対して、主人公にチート等が無かった場合。
それこそ主人公の悪戦苦闘を描くのには、その方が説得力があり、読者としてもその方が良いよ、という方もおられますが。
こういった過去への転生等を扱った小説や漫画では、それこそ主人公が活躍して、良い方向に歴史や世界が速やかに変わったというのを求める読者が多く、そういった読者からは、余り良い反応が貰えない気がしてなりません。
それに何だかんだ言っても(一部の人からは、それこそ読む読まれる等は気にせずに、作者の考えや想いの向くままに書けばいい話だ、とまでも言われますが)、やはりこのような場に小説を書く以上は少しでも多くの方に読んでいただきたい、そして、面白い等と言っていただきたい、と作者として考えるのはよくある話ではないでしょうか。
そうしたことからすれば、やはり主人公に知識等のチートがあった方が、という心境に流れて、そういう方向で小説を書いてしまうのです。
それに未来が分からない主人公というのは、作者としてもイラっと来ることがあります。
未来が分かっていれば回避できるのにやらかしてしまう、というか、未来を知らない以上は、その時はそれが最善だと登場人物というか、主人公は考えてやるだろうということで描いていって、結果的にはろくでもないことになるという。
単純に過去へ転生して主人公無双が過ぎるというのはどうか、と考えた末に、前世知識はあるものの、歴史の流れは分からないということで、3本程、自分自身が書いてみた、個人的な経験に過ぎませんが。
それこそ、そういう設定なので仕方ないのですが、こんな設定にするのではなかった、という考えまでよぎったことがあるほろ苦い思い出です。
そんな取りとめのないことを、件のコミックの最終巻を読み終えた後で、思い考えてしまいました。
皆様は、どんなふうに考えられますか。
ご感想等をお待ちしています。