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【完結】選択式小説 幼馴染み  作者: 望月ナナコ
10/10

answer 【冬斗】

朝になって冬斗から電話が来て近くの公園で話をすることになった。


小さい頃に三人で遊んだ思い出の公園だ。下で待ち合わせして二人で公園に向かうことになった。


どうしよう・・・どんな顔で冬斗に会えば・・・


『おはよう。』


不安でいっぱいになりながら階段を降りてきた私に冬斗はいつもと変わらずに話しかけてくれた。


『お、おはよう。』


『よし、じゃあ行くか。』


さりげなく歩道側を歩いてくれる冬斗。


その背中は今でも大きくて頼もしい。


会話が止まったまま歩いて10分の所にある思い出の公園に着いた。


二つあるブランコに腰掛ける。


『・・・返事、聞かせて欲しい。』


『あ・・・あの・・・本当に私なんかでよければ・・・。』


冬斗はそれを聞くと頷いて私からゆっくり目を逸らして違う方を向いて深呼吸し始めた。


胸を手で押さえている。


『ありがとう。あ、いや、ごめんな。ちょっと流石に心臓が・・・。』


振り返ってきた冬斗の顔は赤くなっている。私の今の気持ちとそのままリンクしているんだと思うととても嬉しくなった。


いつもいつもお兄ちゃんのように優しく側にいてくれた冬斗。いつしかその優しい思いやりに惹かれ私の初恋は気づいたら冬斗になっていた。


昨日改めて冬斗の優しさに触れた時、眠っていた想いが強く蘇ってきた。


冬斗と付き合ったらきっと優しくて穏やかな幸せな日々になるだろう。


『昨日からずっと気になってたんだけど・・・春斗に何されたんだ?』


『え・・・。』


思わず固まってしまう私。


『昨日様子がおかしかったのがどうしても引っかかって・・・大丈夫、怒らないから。』


確かに冬斗が怒ったのは子供の時から見た事がない。


『なんか・・・抱きしめられた・・・あ、でも一瞬だったし、えっと・・・その・・・。』


続けてどう伝えていいのか分からずにこもってしまった。ゆっくり冬斗に視線を向けると何か真剣に考え込んでいるようだった。


え・・・も、もしかして怒っちゃったかな・・・そ、そうだよね・・・。


『立って。』


『え?』


『いいから、とりあえずそこに立って。』



言われるままブランコから立ち上がる私。


訳も分からず冬斗を見た瞬間、私は冬斗に優しく抱きしめられていた。


『これで上書きな。』


頭をぽんぽんとなでてくれる。冬斗の胸の中はとてもあったかくて寒くなってきた季節も忘れちゃう程だ。


私が自然とゆっくり抱きしめ返すと冬斗と身体が少しビクッと硬直するのを感じた。


慣れてない私達の恋はまだ始まったばかり。


子供の時以来に手を繋いだ帰り道の私達を小鳥の囀りが祝福しているようだった。

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