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白馬の王子と黒馬(こくば)の王子  作者: あぷりこっと
王城事件編 第七章 ~狙われた2人の側近~
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第七章 ~狙われた2人の側近~


1.守れなかった過去


トントントン

「失礼します。」

 私はフリッシュ王子がいる、治療室に入る。

「あ、アレク。よく来たね。」

 フリッシュ王子は笑顔で迎えてくれる。

「元気そうで何よりです。

 えっと、昨日はお恥ずかしいところをお見せしてしまい、すみませんでした。」

 昨日、フリッシュ王子の目の前で大泣きしてしまったことだ。

「ん? 別にいいよ。

 っていうか、女の子は多少弱いところを見せてくれないと、男としてやりがいがないよ。」

 やりがいって……。何と言うか、フリッシュ王子らしい。

「アレク、その……、訊いてもいいかな?

 どうして昨日、泣いてたのか。」

 フリッシュ王子が訊いていいかわからず、恐る恐るという感じで訊いてくる。

 あぁ、そういえば泣いてしまった理由、話してなかったっけ。

「セイブル王子からフリッシュ王子の過去を、聞かせていただいたんです。」

「あぁ、そういうことか……。」

 フリッシュ王子が納得する。

 そして、安心したように溜息をつく。

「そっ、か。な~んだ。

 びっくりしちゃったんだ、昨日。

 ボク、もしくはセイブルが何か悪いことでもしたかな って思っちゃったよ。」

「すみません。驚かしてしまいましたね……。」

「ううん。

 それを聞いて泣いてくれるとか、優しいね、アレクは。」

 優しい……か。

「私もフリッシュ王子と同じような経験をしましたから、気持ちがなんとなくわかったので。」

「? 同じような経験って?」

 ・・・

「10年前─8歳の時に、両親を亡くしました。

 今でも、もっと力があれば、助けられたんじゃないかって、思いますよ。」

 私は笑ってみせる。

 フリッシュ王子はどう受け取ったんだろう?

「アレク、もしかして君は……、バルン出身……?」

「そうですよ。」

 フリッシュ王子は言葉を失う。

 そして私を優しく抱きしめる。

「ごめんな……、アレク。」

「謝る必要はありませんよ。

 フリッシュ王子の所為ではありませんから。」 



2.第2王子の動揺


 私はいつも通り(?)、使用人の仕事をしていた。

(?)を付けたのは、フリッシュ王子が隣を歩いているからだ。いつもは1人で仕事をしているのである。

「そういえばフリッシュ王子、今日はペデット様はいらっしゃいませんね。」

「あぁ、うん。お忍びで偵察に行っているんだよ。ボクも行きたかったんだけどね~。」

「病み上がりですもんね~。」

「ヒルナに行きたいって言ったら止められたよ……。」

 あははははっと笑いながら、私は仕事を進める。

 私としては、フリッシュ王子にはまだ寝てて欲しいんだけどな~。

「まぁ、あの2人のことだ。

 土産の1つか2つぐらいは買ってきてくれるだろう。」

 楽しみだな~っとフリッシュ王子が言う。

「2人ってことは、テナー様も行かれてるんですか?」

「そうそう。ペデットだけだと、土産の1つも買ってこないから。」

「え、そんな理由ですか……?」

「うん。」

 まぁ、そんな感じで和気あいあいと話していると

「フリッシュ!!」

 セイブル王子が慌てた様子で、フリッシュ王子の名を呼ぶ。

「どうしたの? そんなに慌てて。」

「先程、ペデットとテナーから使者が送られてきた。どうやら何者かに矢で射られたらしい。」

「矢ですか!? それで容態は……。」

「命に別状はないらしい。

 近くにいた医者に診てもらっているそうだ。」

「そうですか。」

 私は少しホッとする。

「そろそろ城に戻って来ると思う。

 ヒルナにこのことを話してくるから、2人も仕事が終わり次第治療室に来い。」

「わかった。」「わかりました。」

 それを聞くとセイブル王子は治療室とは逆の方向に向かって行く。

「セイブル、治療室はこっち。」

「あ、あぁ。」

 セイブル王子はクルッと後ろを向き、歩き始める。

「セイブル王子、動揺しているみたいですね。」

「だね、ほんと、素直じゃないんだから。」

 ほんと、心配なら心配って言えば、少しは楽になるのに。



3.ハトの矢


「いや~。心配掛けてすみませんでした~。」

 いつも通り、テナー様がニコニコしながら言う。

 とはいえ、無傷ではないのも事実。テナー様の左腕には包帯が痛々しく巻かれている。

「『いや~』じゃない。本っ当に心配したんだぞ!!」

「そうそう。セイブルなんて、動揺しすぎて治療室の場所間違えてたし。」

「フリッシュ、うるさい。」

「ごめんごめん。」

 相変わらず、フリッシュ王子はフリッシュ王子だ。緊張感がない。

 あんな過去があったとは、信じられなくなる。

「痛っ……。ヒルナ、もう少し丁寧に巻いてもらえませんか?」

 治療用の椅子に座らされ、ヒルナに包帯を巻いてもらっているペデット様が言う。

 いや、怪我をした時に近くにいた医師に診てもらったらしいから、『巻き直してもらっている』の方が正しいか。

 それにしても……、矢で射られたにしては、包帯を巻く範囲が広い気がする。包帯は右肩から背中まで巻かれているからだ。

「ペデット様も矢で射られたのですか?」

「いえ。私は剣で斬られました。」

 っと、平然とした顔で言う。

 だから私も

「あぁ、なるほど。……って、ええ!! 剣で斬られたんですか!?」

 というような感じで応えてしまう。

 予想外過ぎるよ……。

「で? ペデット、どうしてこうなったんだ?」

 この後、ペデット様たちが、軽く叱られたり、小突かれたり、傷を包帯の上から触られたりなど、いろいろあったから、簡単に私がまとめて説明するね。

 

 ペデット様とテナー様は偵察中に、少し離れたところから煙が上がっているのを発見し、何事かと思った2人は近くに行くことにした。

 そこの近くには建物もなく、人もおらず、ただたき火が燃え盛っていた。

 っとその時、テナー様を何者かが矢で射る。

「どうしました?! テナー!!」

 ペデット様が駆け寄ろうとした時、背中を剣で斬られる。

 とはいえ、この2人は王子の側近。

 返り討ちにして、犯人を確保。

「獲ったど~!」

「テナー、遊んでいる暇があるなら、縄で縛るの手伝ってください。」

 

「その時に、黒幕について尋ねてみたんですが……。」

「金で雇われたらしく、わからないようです。」

「でも、雇い主の顔くらい覚えているんじゃないですか?」

 私は、ペデット様とテナー様に訊いてみる。

「えぇ、代理として、2人の男が来たと言っていました。

 え~っと、名前は・・・」

「ラリネとバリト。

 そう名乗っていたそうです。」

 ラリネとバリト!!

 私は聞き覚えのある名前にピクリと反応する。

 テナー様とペデット様の様子からするに、この2人はラリネとバリトのことを知らないのだろう。

 犯人として名が浮上している2人にはフリッシュ王子とセイブル王子は話していないのかもしれない。

 だったら、私も余計なことを言う必要はないよね。

 ……って、あれ? そうなると、なんで2人はラリネとバリトが黒幕ではないと、ペデット様とテナー様は思ったんだろう?

 私が疑問を口にしようとした時

「あの、すみません。

 そろそろペデット様とテナー様には、休んでいただきたいのですが。」

 と、ヒルナが言う。

 つまり、話しをやめて、部屋を出てほしいと言う意味だ。

「わかった。

 アレクも行こうか。」

「あ、はい。」

 私はペデット様とテナー様に一礼し、2人の王子の後ろを歩いて、廊下に繋がるドアへ向かう。

 部屋を出る前に、セイブル王子が足を止め、振り返る。

「ペデット、テナー。……、もう心配掛けるな。」

 その一言を残し、セイブル王子は部屋を出る。

 私も出る。

 

 その後、私たちは多分目的もなく歩いている。

 あの2人があんな目に遭うとは思わなかった……。

「セイブル、どう思う?」

 不意にフリッシュ王子が、セイブル王子に声を掛ける。

「黒幕のことか?

 いろいろ思うところはあるが、あの2人であってほしくはないと思う。」

 それは私も同感だ。 

「......セイブル、ボク、思ったんだけどさ。」

「?」

「バルン王国が黒幕……ってのは考えられない?」

「バルンか。」

 その一言を言うと、セイブル王子は1人で考え始める。

「バルン王国なわけないです。だって……。」

 私はそこまで言って、慌てて口を閉じる。

 これ以上は言ってはダメだ。

 だけど……。

「あぁ、そっか。

 バルン王国はアレクの故郷だもんね。

 でも、バルンは一度、トライヤンとの戦に負けてるし。」

 可能性は高いんだよね とフリッシュ王子が言う。

 確かにそうだ。

 バルン王国は、その戦で負けたことを根に持っている。私をスパイとしてこの国に潜入させるほどに。

 でも、違う。

「フリッシュ、もう少しじっくり考えたい。

 一度部屋に戻ろう。」

「そうだね、アレクら部屋まで送るよ。」

「ありがとう、ございます……。」

 

 私は部屋に戻って、ベッドに寝っ転がる。

 今までの事件を思い巡らしてみる。

 やっぱり、バルン王国が黒幕ではない。

 ・・・・・・だって、私は、バルン王国のスパイだから……。

 どうも、こんにちは。

 いろいろ面倒になってきてしまった、あぷりこっとです。

 え~、気づいてたら、一週間が過ぎてました。本当に申し訳ない!!

 っとまぁ、そろそろ、毎週この量の小説をスマホで打ち込むのは、キツくなってきました……。どうしようかな…っと、思いましたら、章を作れるのを思い出しまして。これからは、「1.」とか、「2.」の部分を1つの話として、投稿しようと思います。

 そして、それを1つの章として、まとめるつもりです。ご迷惑を掛けるかと思いますが、これからも読んでいただけると嬉しいです。

 そして、何か書きたくなって、「ロミオとジュリエット」の改良版(?)も描かせていただいています。よろしければ、そちらも読んでください。


 ここまで読んでくださり、ありがとうございました。来週からは1話がとても短くなると思いますが、許してください<(_ _)>

 それでは、また来週、お会いしましょう!

 バイバ~イ!

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