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白馬の王子と黒馬(こくば)の王子  作者: あぷりこっと
王城事件編 第四章 ~黒馬の王子とスパイが誘拐された!?~
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第四章 ~黒馬の王子とスパイが誘拐された!?~

王子二人とアレクは城下町で観光していたところ、二人の男に誘拐される。この二人は一体……?!


1.誘拐


ズキンッ

 頭に痛みが走る。

 私はそれにより、目を覚ます。

 真っ暗だ……。

 ほぼ光がなく、どうなっているのかわからない。

 どうしてこうなったんだっけ……?

 私は記憶を遡った。

 ・・・・・・、そっか、出会った男に気絶させられだんだ……。

 記憶を巡らせて思い出す。どうやってここから出よう。

 !?

 私の前(といっても少し離れてるけど)から、人の気配を感じる。

 誰か……いる?

 私は恐る恐る手を伸ばし、触れる。

「んっ……。」

 その人は小さく声を漏らす。

 そしてその人も目を覚ましたのだろう(気配でわかった)。

「お前は、アレク……か?」

 あ、この声は

「はい、そうです。大丈夫ですか? セイブル王子。」

 セイブル王子だ。

「あぁ、大丈夫だ。」

 セイブル王子がいつもと変わらず落ち着いた口調で言う。

 こういう状況でも冷静さを保てるのは凄い。

 そしてこの声は私に冷静さを与えてくれる。

「アレク、ここはどこだと思う?」

 セイブル王子が訊いてくる。

 今置かれている状況を分析するのとは人を冷静にし、今後のことを考えることができる。

「形状からして、箱の中だと思います。あと、台車で何者かによって運ばれてます。」

 揺れからして。

「そうだな、俺もそう思う。」

 にしても、私たちはどうしてこんなことになってるんだろう……?

「セイブル王子、この人たちの目的は何だと思いますか?」

「一番考えやすいのは、誘拐だな。」

 そうセイブル王子が行った直後、何かに運ばれていると言う感覚がなくなる。つまり、停止したのだ。

 そして、上から光が射す。

 誰かがフタ(?)を開けてくれたんだろう。

 私たちは思わず目を細める。

「せいか~い。お二人さんは誘拐されてるんだよ。」

 さっき私たちに道を聞いてきた男。

 彼は笑みを浮かべているように見えたが、その目は笑っていなかった......。



2.二人の男


 目にも留まらぬ早業ってこういう時に使うのかも……。

 私は一瞬の出来事を見て、そう思った。

 だって、まばたきした瞬間、さっきの男が倒れてるんだよ? セイブル王子が何かしたんだろうけど……。

「アレク、早く行け!!」

 セイブル王子が叫ぶ。

 この距離で叫ぶ必要は……、じゃなくて、早くこの箱から出て、助けを呼ばないと!

 私は箱から飛び出る。

 ここは何かの建物の中のようだ。

 私は荷台で運ばれていたであろう方向の反対方向に全力で走る。

 あと少し……。

 その時だった。

「待て。」

 後ろから声を掛けられたのは。

 この状況で「待て。」と言われても、普通は待つ人はいないだろう。

 だが、私はその声から感じた緊張感と迫力により、反射的に足を止めた。そして、振り返る。

「くっ……。」

 その瞬間、目の前でセイブル王子が短剣で刺される。そのまま、セイブル王子の力は抜け、倒れ込む。

「セっ、セイブル王子!!」

 セイブル王子に短剣を刺したのは、少し大柄の男だった。この人が私の足を止めた人だろうと直感的に思う。

「この短剣には麻痺毒が塗ってある。一時的に動けなくなるだけだ。心配するな。」

「・・・。」

 安心できる状況では、ないことは確かだった。

「ま、次に何かやらかしたら、麻痺程度では済まないがな。」

 そう言いながら、“少し大柄の男”は、セイブル王子を軽々と肩に担ぐ。

 それでも、セイブル王子に刺さった短剣は抜けない。

 どれだけ深く刺さっているのだろうか?

 そして、セイブル王子を軽々と担げるだけの筋力と体力……、これ以上考えるのはやめよう。

 うん、今は出来るだけ大人しくしていよう。

 その場で静かにしていると、“大柄の男”が階段を上り始める。

「さて、自分らも行くか。」

 そう言いながら“さっき道を訊いた男”は、私の首に刃物を突きつけてくる。

 ここで、怖がるべきなんだろうけど、スパイの訓練とかしてたから、あんま怖くないんだよな~。

 一人の女の子として、それはどうなの?

 そういえば、“さっき道を訊いた男”と“少し大柄の男”って、呼び方、長いよな~。何か良い方法ないかな~?

 あっ、普通に名前を訊いてみればいいんだ。

「あの、貴方の名前は何ですか?」

「? いきなりどうしたの?」

「え~っと、読者にわかりやすくするために聞きたいなって思って……。」

 “さっき道を訊いた男”は頭に疑問符を浮かべたが、答えてくれた。

「よくわかんないけど、自分はラリネ。ついでに言うとあいつはバリト。」

 つまり、“さっき道を訊いた男”はラリネで、“少し大柄の男”はバリトって名前らしい。

「君は?」

 ラリネが私に名前を訊いてくる。

「私はアレクです。」

 ここで、本名を名乗る義理はない。

 私はそう思い、愛称を教える。

「へ~、アレクか、良い名前だね。」

「ありがとうございます。」

 ラリネは私の名前を褒めつつも、私の首に刃物を突きつけたままだ。本当にちゃっかりしてる。

 そんなことを考えていると、バリトが足を止める。

 そして、

「着いたぞ、入れ。」

 と言い、着いた部屋のドアを開ける。

 その後バリトは、セイブル王子を荒っぽく下ろす。いや、投げるに近いかも知れない。

「だ、そうなので、アレクも部屋に入ってね。」

「う、うん。」

 私は素直に入る。

「それにしてもバリト、もっと丁寧に扱いなよ。あの方々にも、怪我をさせないようにって言われてるだろ?」

「十分丁寧に扱ってるだろ?」

「いやいや……。」

 あの方々……?

 この二人より立場(?)が上の人がいるってこと?

 しかも複数……。

「あぁ、そうだアレク。わかってるだろうけど、大人しくしててね。叫ぶことも、オススメしないよ。」

 そう言うとラリネは、「じゃぁね。」と言ってドアを閉めた。

 ラリネ、何と言うか、不思議な人だったな……。

 そう思いながら閉められたドアを見つめる……、じゃなくてっ!!

 私はセイブル王子に駆け寄る。

「セイブル王子、大丈夫ですか?!」

「まぁ、な……。」

 そう言いながらセイブル王子は上体を起こす。

「いたた……。本当にバリトとかいうやつ、乱暴だったな……。」

 セイブル王子は、自分の頭に手を当てる。

「あれ? セイブル王子、頭に何かされましたっけ?」

「下ろされたときに頭をな。ちなみに刺された方はなんともない。」

「え?」

 セイブル王子はそう言いながら、上着の内ポケットを見せてくれる。

 あ~、なるほど。

 内ポケットをに入っていた書物に短剣が刺さったから無傷だったんだ。

「ただ、問題はこれからどうするかだよな。」

「そうなんですよね……。」

「剣を使おうと思ったが、奴らが気絶していたときに奪ったようだし。」

 剣……?

 そういえば、私も短剣を背中に隠し持っているんだよね。

 使えるかも……って、

「あっ!」

「どうした? アレク。」

「いえ、何でもないです……。」

 短剣がなかっただけです とは、流石に言えない。

 使用人の分際で短剣を隠し持っているのは明らかにおかしいからだ。

 それよりも、ラリネたちが私がスパイだと勘ぐっていないかが心配だ……。

「で? 思い浮かんだか?」

 セイブル王子のひと言で我に返る。

 今はそれどころではない。

「いえ、何も。そういうセイブル王子はどうですか?」

「そうだな……。頭を打ったせいで、上手く頭が働かん。」

 左様ですか。

「あ~あ、この書物、気に入ってたのにな~。」

 そう言いながら、真ん中に穴が空いた書物をペラペラめくるセイブル王子。

 紙……、か……。

 私は格子の付いた小さい窓を見る。

 もちろん、人一人通ることは出来ないだろう。だが、窓ガラスは付いていない。

「いけるかな……。」

「? 何か策を思いついたか?」

「えぇ、まぁ。

 うまく行くかはわかりませんが。」

 私はニヤリと笑った。

 どうも、こんにちは。

 毎週更新するのがキツくて、一週間延ばしてしまったあぷりこっとです。

 ほんっとうに申し訳ない!

 話自体は出来ているのですが、入力するのに思いの外手間取ってしまいました。いつも、ギリギリになってるので、これからもこういうことがあるかも知れません。ご了承くださいm(_ _)m


 今回は新キャラが登場しました。この後、どう切り抜けて行くのでしょうか?

 気になる貴方は次回をお楽しみにして下さい。

 (黒幕の正体がわかるかもですよ?)


 さて、ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

 また、次の章でお会いしましょう。

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