表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

第一幕:飯と寝床

四度目の任務から十日が過ぎ、女達が大勢いた部屋から小さな屋敷の一室移り。

動きやすい、サッパリとした簡素な女物の着物に身を包み。少女、紫葵は与えられた蒸かしたサツマイモの前で動かずにいる。


「あら?食べないの?おイモ嫌い?」


少女のいる部屋の開けられたままの襖から、紫の衿の大きく抜けた着物を着て若い女が声をかける。


「美味しいよ?・・・ん。ダメ?

葵様がいないと食べないってホントなのね」


女はそう言って、小さく切られた芋を紫葵の口元に持っていった後。自分の口に入れた。


「うん。美味しい、はいっ!あーん」


もう一度、女は紫葵の顔の前に芋を人差し指と親指で縦に挟んで持っていく。


「んー。ダメ?葵様は今日も帰られないの。

食べないと、呼ばれた時に直ぐ傍に行けないけどいいの?」

「・・・?」

「そっか。まだ葵様の物になったって自覚がないのね・・・あなたは」

「・・・(あおい様のもの?)」

「葵様に殺される所を、今、こうしているでしょう?あなたの命は、あの時終わったの。」

「・・・」

「選択肢はないの。食べなさい。葵様がわたすとたべるんだから、懐いていると思うのだけれど?」


女は首を傾げながら紫葵の左の頬をつつく。

じっと紫葵の目を見つめ、芋を口に持っていく。


「例え、毒が入っていても。食べるのでしょう?口を開けて、飲み込みなさい」


女は視線を外さず、紫葵を見ている。

芋を手に取り、口に入れる。甘くて、苦くなかった。


何故、自分に苦しくない食べ物をくれるのか。

何故、手を引き。同じ家へ入れ、畳のある部屋に置かれているのか。

紫葵はわからずに戸惑い、芋を食った。


先程の女の言った言葉。「葵様の物」とは、なんの事だろう。あの場で殺されなかったなら、また。元の場所に戻り仕事をする。葵のいないうちに外に出て戻ることが必要なはずだ。それが「焔」としての意味のはずだ。

わからずに、まだ自分の前にいる女を見て声を出そうとして、口を噤む。それを3度繰り返し、女がまだそこにいることに戸惑い、声をかける。


「・・・あおい様のもの。・・・私が?」


小さく、短く、問いかけ。女が首を縦に振り、肯定の意味を示すのを見る。


「葵様の為に生き。葵様の為に働き。葵様の為に死ぬ。それだけでいいの、簡単でしょう?」

「・・・簡単・・・」

「そう。あなたは葵様に殺されず、葵様に生かされたの。あの時終わって、もう無いのだから。全ては葵様の物でしょう?」


(※まだ途中です)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ