リュートの目標
あの後、駆けつけた村の男たちによりリュートは連れられて行き、事情を聞かれた。アイカの証言もあってマルコの自業自得だと言うことがわかり、マルコの1週間自宅謹慎ということで片がついた。
流石は【剣豪】、マルコは数日寝れば治る程度の怪我しかしていなかった。
リュートの両親は長男で努力家のリュートにはかなり期待していたこともあり、リュートの【役職】を見てかなりショックを受けていた。
リュートが教会を飛び出した後は心配して捜しはしていたのだが、飛び出した直後はショックでしばらく動けなかったためリュートがどっちの方向に行ったか見失ってしまい、見つけることができなかったのだ。
家に巨大なスライムを連れて帰ってきたときはかなり驚きはしたが、それよりリュートの無事と【剣豪】のマルコを倒したという報告を聞いて喜んだ。
翌日、リュートは教会に向かった。普通は【役職】を授かったその日に教会にある水晶で鑑定をして自分のステータスをチェックするのだが、ショックで教会を飛び出したリュートはまだ自分のステータスを見ていなかったのだ。
教会に行く途中で幼馴染みのアイカに会った。
「アイカ!昨日はありがとな。色々証言してくれて助かった。」
「リュート!教会飛び出したときもマルコと戦い始めたときも本当心配したんだから。あんまり心配かけないでよね。」
運命の日のアイカの儀式の順番は最後の方であったため、リュートが教会を飛び出したときに追いかけたかったが追いかけられず、かなりリュートを心配していたのであった。
「あはは、ごめんごめん。ところでアイカは何のジョブを貰ったんだ?」
「笑いごとじゃないでしょ、まったく….【魔法使い】よ。」
「おお!優遇職じゃないか!そしたらアイカも3年後王都の学園に行くつもりなのか?」
「ええ、そうよ…ん?アイカ”も”って?」
「俺も行くつもりなんだ!頑張ろうぜ!」
「ちょっと、何言ってんの?優遇職以外は一般試験を受けなきゃいけなくて、1年の合格者は3人の狭き門なのよ?【テイマー】の合格者なんてあのドラゴンをテイムした伝説の【テイマー】を除いておそらく1人もいないわ。ましてやスライムしかテイムできないリュートじゃ…」
「もちろん知ってるよ!学園にはねーちゃんも行ってるし。俺は【役職】を授かる前から王都の学園に行くって決めてたんだ!今更変えたりなんかしないさ。それに俺はスライムに無限の可能性を感じるんだ!」
「…私だってリュートと一緒に学園に行きたいし、リュートが普通のテイマーより強いってのは昨日わかったけど…【テイマー(スライム限定)】って【役職】を伝えた途端下手すりゃ門前払いかもよ」
「それなら門前払いされないような一目でわかる強さを手に入れるとか、方法はいくらでもある!...よし、教会に着いた。」
「そうね、その前向きさは尊敬する。私はこの奥の肉屋に用があるから、またね。」
アイカと別れると、リュートは教会に入りシスターの1人に鑑定がしたいと言った。そのシスターは昨日の儀式の場にいたので「あ、あのときのスラ…プッ…どうぞ」と笑いをこらえながら頷いていた。
リュートは水晶に手をかざし、「ステータス」と唱えた。やり方は大人たちがやるのを見ていたので知っていた。
水晶にリュートのステータスが浮かび上がる…
名前 リュート
年齢 10
性別 男
役職 【テイマー(スライム限定)】
レベル1
HP 10/10
MP 20/20
筋力 6
魔力 9
防御力 6
素早さ 5
テイム個体数 299
スキル
【スライム体当たり】・・・テイムしたスライムによる突進。
【スライム合体】・・・テイムしたスライムを任意の数合体させる質量と体積は保存される。
【広域テイム Lv3】・・・半径30m以内のスライムをテイムする。
【スライム進化】・・・与える餌によってスライムが様々な特性を持つ
パッシブスキル
【テイム数上限解除】・・・何匹でもテイム可能
「ププッ…やっぱり能力値は平均以下…え?えーえ!!!テイム数299?テイム上限なし?てかなんでこんなにスキルがあるの??」
そう言いながらシスターは腰を抜かした。