てちがい
はるか遠い宇宙の星から、異星人がやって来た。
異星人達は瞬く間に地球を占領し、各国の政府機関を通じて間接統治を開始した。
異星人たちは、人類の文化や習慣を統計によって分析した。
やがて食糧の効率的な供給のため、配給が始まった。
しばらくすると、配られたものを食べた人々は、量が少ないと不満を漏らしはじめた。
一日の配給量と回数を増やすよう懇願した。
この光景を、配給を受けていない富裕層は訝しんだ。
配給の食糧は十分すぎるほどの量に見えたし、老若男女に公平に分配されているように見えたからだ。
やがて食糧を巡って争いが起き始めた。
人々は配給に群がった。
富裕層の代表が異星人に、なぜこのような事態になっているのか詰問すると異星人はこう答えた。
「我々は、君たちが何を食べ、どのように暮らしているか、しっかり観察したのだよ」
「食べ物、特にクスリは人間にとって必要不可欠なものだろう?
あんなに多くの人間が毎日摂取していたのだから。」
宇宙人には普通の「食物」「クスリ」の区別がついていなかったのだ。