宿の部屋にて
あらすじ:自室にエリナを招き入れて
「なるほど、それで今は冒険者をやってるんだな」
「ええ、そうね」
「しかし、追手はかからなかったってことか?」
俺はそういうと、エリナは残念そうに首を振る。
やはり消えた国とはいえ記録が残っており、そのために追われることも少なくなかったという。
冒険者として活動してる時に知り合ったクレスとパーティを組み、
アズラック、アリーシャの2人に知り合い今に至るのだという。
「そうね、私から少し注意というか、警告しておくわね」
「なんだろうか?」
「もし、転移者とばれたら遠くない未来に王宮からの要請が来ると思うけど、お勧めしないとだけ言っておくわ」
今日知り得た情報だけだけでも結構危険な香りしかしない。
細心の注意を払うべきなんだろうな。
何も知らないまま王宮に行ってたら傀儡にされていた可能性も高い。
知ってる者にとっては、知らない者を扱うのは容易い。
「ぜひそうさせてもらうよ。ありがとう。俺、エリナに知り合えて本当に良かった」
俺は本心からそう思う。
エリナは笑顔になり
「私は自分の利得のみで動いてるわ、気にしなくてもいいの」
そうエリナが言った。
先ほどの街道の狩りを見てたらなんとなく予想はついた。
他のアイテムはよく知らないとエリナは言うが、異世界から聖剣を持ち込んだ人もいたらしく、
所持者が亡き後は国宝として祀られたり、新たな異世界からの来訪者に引き継がれたりするのだとか。
こういったアイテムはそれぞれ、ついてる効果が違うみたいだ。
エリナが知ってる範囲で存在するアイテムとして、先ほど聖剣と呼ばれる、光の斬撃が出るエクスカリバー。ふるうたびに火球がでる鞭ファイアビュート。魔法攻撃をほぼ無効化するイージスの盾。必中効果のあるアルテミスの弓。稲妻を呼び寄せる雷神の槍などがあるようだ。
エリナのアイテムは、女神のしずくと呼ばれるネックレスで、属性を選んで増加させる魔法効果があるそうだ。
こういったアイテムはこの世界には散見されるらしく、たまたまなのか俺とエリナのアクセサリーには魔物を引き寄せるヘイトリアクションというスキルが自動で発動する効果が付いているらしい。
あの幼女はとんでもないものをよこしたものだ。
しかもそんな効果があるなんて一言も聞いてないぞ。
「ところで、俺の友人が憲兵団に連れていかれたらしいんだが、その辺はどう思う?」
「そうね、私の見立てが間違ってなければ王宮で歓迎セレモニーでもやってると思うわ」
「当面は安全というわけか」
なるほど、異世界人は希少ではないかも知れないが、戦力という意味では貴重だからな。となれば俺が気にする必要もないか。
「助けに行きたいの?」
「いや、俺にはそんな義理はない」
そもそもそこまで仲が良かったわけでもないし、皇帝に関してはリスクの説明をしたにもかかわらず、突っ走って助けに行く有様だ。
朝倉悠斗については、今のところ何の情報もないが。
まだこの世界に降り立って1日目というのもあるが、俺自身ここまでとんとん拍子に行くのは、まだ恵まれてるほうなんだろう。
そう思っていたらドアが突然開き、アリーシャが向かってきた!
「クウトく~ん、2人で一緒にご飯いこ~・・・ってげげ、エリナ!」
俺に飛びつこうと助走しており、エリナを見て止まろうとしたが、体勢を崩し転んでしまった。
「アリーシャ・・・私に向かってげげってなんでかなぁ~?そこのとこ詳しく聞いていいかな~?」
エリナは笑いながら言ったが殺気が隠れてませんよ。
しかしこれはエリナが居てくれて正直ほっとした。
居なかったらどうなってたんだ、俺。
エリナがアリーシャを問い詰めながら俺たちは食堂へ向かうのだった。
明日から少し更新ペース落とします。
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