戦果とタネ
読者様がいらっしゃる…ありがてえ…ありがてぇ…(´・人・`)
「よっしゃー!一発勝負に勝ったぞー!勝算はあったけどやっぱり嬉しい!」
訓練場にて喜びの声が一つ。メノクのギルドマスターのガンテツに勝ったチェインだ。そんな時にアナウンスが一つ。
『称号『風の友に打ち勝った者』『風の友』『魔導師』を取得しました。スキル《暴風魔法》《風の加護》《風の友》《詠唱破棄》を習得しました。』
まあやっぱり負けイベントを攻略したら称号は貰えるよな。でも風の友?あいつが?確かにスピードファイターだったが見た目に合わねぇ…
よし、そんなことは置いといて内容だ。
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『風の友に打ち勝った者』(ガンテツに打ち勝った者の称号、《暴風魔法》を習得する。AGL+5)
『風の友』(風と友になった者の称号、《風の加護》《風の友》を習得する。AGL+10)
『魔術師』(自身がレベル5以下でレベル差が20以上ある敵に3桁以上のダメージを一回の魔法で与え、ノーダメージで倒した者の称号。MAT+10)
《暴風魔法》(《強風魔法》の進化スキル、暴風魔法が使える、また創作魔法で暴風魔法が種別として選べる。)
《風の加護》(AGLの値の分だけVITを上昇させる。)
《風の友》(レベルアップ時PPとは別に自動的にAGLが上昇する。)
《詠唱破棄》(MPを2倍消費する代わりに宣言してからすぐに魔法が発動するようにできる。)
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( ゜д゜)
ハッ。待て待てなんだこのスキル何言ってんだ。現在確認されてる《強風魔法》の進化スキルが最初の街で手に入るのもおかしいが実質VITとAGLがレベル上がる毎に上昇だと?まずVITを上昇させるスキルは確かにあるがこのスキルは将来的な上昇幅がでか過ぎる。しかもPP節約もできるとかなんだこれ。《詠唱破棄》も消費は重いが初見殺しだぞ。
そして無情な言葉がまた流れてくる。
『レベルが上がりました。《その場しのぎの心得》のレベルが上がりました。《念動力》のレベルが上がりました。《並列思考》のレベルが上がりました。《マルチタスク》のレベルが上がりました。《不意打ち》を習得しました。』
…《不意打ち》は予想外の攻撃の威力に補正をかけるスキルだがそれは置いといて…レベルが…上がってしまった…
「…ステータス」
内心諦めながらもステータスを見てみると…
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Name:チェイン
LV:12
HP:100
MP:120
STR:0
CON:0
MAT:35
MDE:0
AGL:51
VIT:51
PP:33
スキル
《その場しのぎの心得:2》
《念動力:13》
《合体》
《変形》
《魔力伝導》
《固定化》
《演算》
《並列思考》
《マルチタスク》
《初期スキル成長速度上昇》
《詠唱破棄》
《不意打ち》
《光魔法》
《暴風魔法》
《風の加護》
《風の友》
創作魔法
【魔掌】
【エア・マテリアル】
称号
『自ら逆境に立つ者』(初期スキルの5つが全て『人気初期スキルランキング』の順位が300位以下だった者の称号、《初期スキル成長速度上昇》を習得する。)
『風の友に打ち勝った者』
『風の友』
『魔術師』
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なんだこれは…ちゃんとPPも規定値入ってるし…AGLとVITが50の大台乗っちゃったし…もういいや、考えるのはよそう。取り敢えずガンテツのオッサンを起こしてあげなくては。
「おい、オッサン。起きてくれ。曲がりなりにもギルドマスター何だから頑丈なはずだろ。」
訓練場ではHPがなくなった際死亡状態ではなく気絶状態となる。直ぐにはHPは回復しないが、起きるだけならすぐだ。
「ぐっ…おお?いやーすまんすまん。ギルドマスターらしからぬ姿を見せることになってしまったな。それにしても青年!強いな!」
「それはどうも。合格で良いんだよな?」
「もちろんだ!俺に勝ったのに不合格だとかそんな話がある訳もなかろう!ガッハッハッハッハ!これからの風の友は君だ!良かったな!」
「そう、それなんだ。『風の友』ってなんだ?」
「それは『継承称号』と言ってな!どんどん人に継承されていく世界に一人しか持てない称号だ!継承する条件は自分で決められるぞ!因みに俺は『レベル1で俺を倒した奴』に継承されるようにしていた!継承しても習得したスキルは消えないから安心していいぞ!」
「そ、そうか…」
なるほど継承称号か…世界に一人しか持てない称号とかなんかのフラグになりそうだな…
「これにて登録試験は終了だ!これからも強くなれよ!」
「?一体何をやったとかは聞かないのな。」
「自分の手口を隠すのは当たり前だからな!」
「なるほど…いや、俺に相性の良いスキルとかについて助言を貰えるかもしれんからな。オッサンはさっきから大事な事しか伝えないよう話してるだろ?それだけ口が硬いんだったら安心して相談できる。」
さっきからスキルの内容を言うのは避けてるように思えたからな。見た目や態度のくせに実は頭が良いな?狸め。
「ガッハッハ!自分に驕らず素直に先人の知恵を得ようとするか!その心意気やよし!できるだけ力になってやろう!」
「よし、ならさっきの戦いでやったことからの説明をするぞ。まず俺が使ったスキルは4つ。《変形》と《固定化》、それと《念動力》に《魔力伝導》だ。」
「そんなスキルで勝ったのか!《固定化》とかいうスキルは聞いたことがないがお前には戦いの才能があるな!」
…NPCからみても弱いスキルなのか…いや、もしかしたら『公式ランキング』と連動した評価がされてるのか?
「それにしても《魔力伝導》で【魔掌】とかいう創作魔法を当てたのは予測できるのだが、一体何を伝って魔法を発動したのだ?何もなかったはずだぞ?いやそもそも俺は何に縛り付けられたのだ?」
「それについては最初に発動した【エア・マテリアル】の説明だな。簡単に言えば効果は『触れている物質を透明化する』って感じだ。」
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種別:光魔法
魔法名『エア・マテリアル』
威力:
射程:0
形状:
大きさ:
維持時間:600
速度:
個数:触れている物質
挙動:付与
特殊効果:付与魔法、透明化
MP:20
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実は創作魔法は特殊効果の欄に付与魔法や盾魔法といったものを入力すると入力欄がガラッと変わる。攻撃魔法以外の魔法にすることができるのだ。普通の付与は300(5分)が普通なのに対しこの魔法は驚異の600(10分)だ。
ただ維持時間をこんなに長くし更に付与する内容が透明化のため本来ならかなりMPが大きくなる筈だったがが個数の対象を『触れている物質』にしたのが良かった。
『生き物』や『物質』としていたらかなりMPが重くなるが『触れている物質』は手から離した瞬間に付与が切れること、そして透明化の付与は物質に付与するとその物質が脆くなることから矢といった遠距離道具や剣といった武器にも使えないせいでかなりのMPの節約になるのだ。それでもMPは20もあるのだから透明化の重さがよく分かる。
「それで透明化していたのはこれだ。」
【エア・マテリアル】を解除し、透明になっていた鉄糸を見えるようにする。
「この糸を通して《魔力伝導》で魔法をぶつけて最後も糸でオッサンを縛り付けた訳だ。」
「はー、なるほど。こいつぁ一本取られたわけだ。」
感心したような声を出し少し考え込むガンテツ。そしてふと思いついたようにこちらに顔を向け提案をする。
「青年…まだ攻略されてないダンジョンに行く気はねえか?…そこならもしかしたらだがおめえさんの助けになるもんがあるかもしれねぇ。」
透明化ですが『物質』でも重いのは矢に使ったりすると見えない上に鏃が脆くなってることで着弾時に潰れ逆に威力が上がるためです。
『物質』だと維持時間10でMPが100になります。『生き物』や『人』だと維持時間5でMPが100です。重いですね。
また魔法を宣言してから発動までの時間ですが2秒ほどです。その間に攻撃を食らって怯むとまた宣言のやり直しになります。そして宣言して魔法が発動するまでの間に更に魔法を宣言することはできません。なので条件が厳しいのに《詠唱破棄》は重いのです。MPがあれば弾幕を形成できますからね。
『これだと第1陣の魔法職でも辛いんじゃないのか?』と思うかもしれませんが魔法を避けるスピードを活かせなくなる(例としてはAGL低下魔法、地形変化魔法、広い面での攻撃など)とそこから蜂の巣にできます。
それに引き換え近接職はAGLとVITが100超えの化け物を相手にしなくてはいけないので苦戦を強いられます。幸いSTRは高くないのでダメージは大きくないのですが近接が効かないと判断すると《暴風魔法》が飛んでくるので死にます。ただMDEの他にCONもあんまり無いので370のHPを飛ばせるVIT貫通技でワンチャンはあります。(当たりませんがね…)
チェインの時は近接が効かないと分かったときには《暴風魔法》を使っても間に合わなかったので【アクセルスラッシュ】という選択になりました。
またAGLが25なのに剣の振り下ろしを避けれた主人公がかなりの人外なだけでガンテツと剣の打ち合いは勝てないと考えたほうが良いレベルです
これを1レベルで倒せというのですからそりゃ称号やスキルも強いわけですよ。因みに『風の友』は最初にガンテツを倒した人だけが取得できます。