チュートリアル
やっと考えてたことの一つが実現します。
今までステータス表示していた画面が別の画面に切り替わった。
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種別:無属性魔法
魔法名『』
威力:
射程:
形状:
大きさ:
維持時間:
速度:
個数:
挙動:
特殊効果:
MP:
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『魔法作成の説明をします。種別はその魔法がなんの魔法かを表します。取得している魔法スキルの魔法しか選べません。無属性魔法は誰でも作ることが出来ます。威力、射程、個数、大きさはそのままです。形状はその魔法がどういう形をしているかを表します。例としては球状や直線です。維持時間は魔法が発動してから何秒残るかを表します。速度は挙動の速さです。挙動は魔法の動きを表します。例としては直進や追尾、放物線などです。特殊効果は魔法の種別によって何を入力出来るかが変わります。また何個でも入力可能です。MPは他の項目によって自動で決まります。これの値がその魔法を使う際の消費MPです。また魔法はキャラのMP50毎に一つ作れます。キャラ初期MPの50による枠はチュートリアルで作成する魔法に使われるのでご了承下さい。最後に一度作った魔法は消す事はできません。それではご自由に魔法を作ってみて下さい。』
これもパッパッと終わらせますかね。
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種別:無属性魔法
魔法名『魔掌』
威力:50
射程:0
形状:球状
大きさ:1
維持時間:1
速度:0
個数:1
挙動:停止
特殊効果:
MP:5
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触れてないと使えない自爆魔法?煩い、これがベストなんだ。因みに魔力伝導で無属性魔法を使うと武器に罅が入ったらしい。また蛇足だが個数を1、挙動を直進、形状は球状でそれ以外を10にするとMPの値が10とのことなので値は10が基本値らしい。
『それでは初心者セットをプレゼントします。次は戦闘のチュートリアルなので準備ができ次第画面をタッチして下さい。』
そんな声と同時に小さめのバッグとみすぼらしい剣が現れた。
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初心者の剣
耐久:無限
威力:5
効果:
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鉄塊×10
小さい鉄の塊
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初心者ポーション×5
回復量:20
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よし、情報通り。情報によるとチュートリアルの相手はレッサーウルフらしい。準備をしなくては。
まず鉄塊に変形を発動、実は変形には他にも性質があり、それは『変形を発動中の物質は2つ以上に別れない』というものだ。つまりどんなに力を与えても壊れない。ということでこの鉄塊を念動力で引き伸ばし糸状にする。これで変形中は絶対に切れない鉄糸の完成だ。
鉄塊一つを糸状にしたらここからは修練の時間だ。糸の長さ、細さを変えないように、尚かつ糸は自由に動かせるように糸全体を押し付けるように念動力で力を与える。…くっ…これでも結構大変だな、頭の中で何処にどう力を与えるか考えるせいでパンクしそうだ…
どうにか慣れてきたところで今度は自分の手で糸を伸ばしたり縮めて糸の長さや細さを変えようとする。この時念動力では対抗して糸の長さや細さを変えないようにする。ああクソっ、上手くいかない。頭が痛くなる………
しばらくやっているとアナウンスが頭の中で流れた。
『《念動力》のレベルが上がりました。《演算》を習得しました。《デュアルタスク》を習得しました。』
チュートリアルでもスキルレベルが上がったり覚えたりするのか…だがかれこれ2時間程やっていたから効率は良くないな。戦闘で色々やったほうがもっと早くレベルが上がったりするし、生産に使えそうなものはこの真っ白な部屋には鉄しかないから《合体》や《変形》ぐらいしか無いし…
だが新しく覚えたスキルのおかげかかなり楽になった。よしなんとかなりそうだ…
結局完璧にできるようになったのはそこから更に4時間程経ってからだった。
「つかれた…っ」
新しく覚えたスキルがあってもまだかなり痛む頭を抱えているとまたアナウンスが流れた。
『《念動力》のレベルが上がりました。《変形》の特殊行動値が溜まり派生して《固定化》を習得しました。《デュアルタスク》の経験値が溜まり《マルチタスク》に進化しました。《演算》の特殊行動値が溜まり《マルチタスク》を習得しているので派生して《並列思考》を習得しました。』
「お、おう…」
まさかもう派生スキルを手に入れるとは…派生スキルとは何かのスキルをベースに特定の行動で溜まる数値が一定に達すると入手できるスキルだ。いくつかは確認例があるがこれらは見たことが無いスキルだ。
因みに確認されている派生スキルには《盾の心得》から《パリィ》が、これはベースのスキルが消えることから派生進化とも呼ばれるが《剣の心得》から《蛇腹剣の心得》を習得できるらしい。他にも派生スキルは色々あるのだが……にしても《並列思考》は条件付き派生スキルか……まだ報告例は無いな……
「えっと、他はなんとなく分かるが《固定化》ってのはなんだ?」
もうスキルレベルが10になっている《念動力》を横目に《固定化》の内容を確認してみる。
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《固定化》(《変形》で変わる要素を固定にすることができる)
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…それって今迄の努力が必要なくなるじゃないかーー!!!Fu○ky○u!!………
…まあ待て、落ち着くんだ。今迄の努力のおかげで《固定化》を習得することができた。それでいいじゃないか。このスキルのお陰でかなり楽できるんだ。そう、無駄じゃなかった。よし使い勝手を確認しよう。
その後、糸の細さと表面積を固定にしとても楽になった糸の操作に敗北感を抱きながら戦闘チュートリアルをするために画面をタッチしたのだった。
「グルルルル…」
「おっと、いきなり出てきたな。」
タップすると今までお世話になっていた画面がまた床の中にしまい込まれいつの間にか部屋の奥に狼?がこちらに対して敵意丸出しで立っていた。
『戦闘チュートリアル、敵は『レッサーウルフ』です。またこの戦いの勝ち負け問わず決着がついた場合そのままゲーム本編が始まります。それでは健闘を祈ります。』
「ガアッ!!」
「!」
機械音声が途絶えた瞬間に狼は襲い掛かってきたが《念動力》で《念動力》以外の力ではびくともしない鉄糸を口と足に巻き付け動けなくする。そしてそのまま首に糸をかけ…締める!
ゴトッ…
あらやだ窒息させられれば良いかなと思ったら首が落ちてしまった。まあ《念動力》は検証によると加えられる力の大きさはMATに比例するらしいし糸も変形されているだけで鉄塊だから《その場しのぎの心得》で補正がかかったせいなのかもしれない。動けなくしたら魔法使おうと思ったんだけどなぁ…
とそんなことを考え狼が消えていくのを眺めていると目の前が今度は真っ白になる。
『それではOnlyWeponAndMagicをお楽しみ下さい。』
こうして俺は草原へ立った。
スキルの成長が早い気がしますが6時間ぶっ続けで脳内で物理演算を行いながら実際にその通りに反映し続ける考えると脳への負担が半端じゃないことになります。
更に6時間常に繊細なスキル操作をしているのであれらのスキルが成長した訳です。
また、そこにスキルによる初期スキル成長の補正が入るのですが実はバグでチュートリアル中で取得したスキルも初期スキルの範囲に入ってしまっています。
他にも元々初期スキルはゲーム本編で取得したスキルよりも成長しやすいようにされてますし、実は『人気初期スキルランキング』の順位が一定よりも低い(具体的には400位以下初期スキルは全部で500弱)と成長に補正が掛かりますのでこんなにも早い成長となってしまいました。
濃密なスキル使用に3つのスキル成長補正の要素があれば結構早いわけですね。特に思考系のスキルは主人公のスペックによる急激な負荷によっての成長倍率ががやばかった…
そんな主人公の知らない話