未定
あの日、自分の手から零れたものが目の前にあったとして。
それを掴もうとする勇気があるのだろうか。
僕は、....掴むことができないだろう。
たくさんの零れおちるものを
選べるわけでもない、全部すくい取れるわけでもない。
だったらそうなる前に、
零れさせなければいい。
この世界、というより
この15の国を合わせて世界と呼んでいる。
もちろん人間以外の種族もいる。
僕、霧崎ハルトはその中の
日和国という国に住んでいる。
そうだなあ…
読んでくれている
君たちの国に近いと思うよ。
国民はほとんどが人間だ。
魔術が発展し、とても住みやすく
僕は気に入っている。
あまり他の国には行ったことはないが…
そして、今の世界は魔術や魔法、
武力が優れている者が治めると
言われており、皆一生懸命に学ん
でいる。
日和国の魔道千神学院では
あらゆるエリート魔術師を排出してきた
名門だ。
僕も今日から18歳にして通うことになるわけだけども
学院の中は年齢は様々だ。
それは、お金があれば入れるわけでもなく
本当に素質があるものしか入学することができないと言われている。
その素質は様々だが、人によって素質が顕現する年齢が
バラバラなのも一つの理由だ。
かく言う僕も2ヵ月前に顕現したばかりで
いまいち能力がわかっていない。
普通はすぐ分かるものらしいが、
まあ入学できたのだから文句は言わないようにしよ。
そんなこんなで魔導学院に着いた。
しかし、立派な学院だよなあ〜
学院の門からしてそれが伝わってくる。監視カメラが6台に、守護兵が4人もいる。さらには外部からの攻撃を跳ね返すことができる特殊なシールドが施されている。
本でみたことのある印ばかりだ。余計に胸が高鳴っているのがわかる。
僕も立派な魔導師になってみせる
きっと『あの、その、すみません‼︎』
急にかけられた女の子な声にびっくりしてしまい
「はい⁈」っと情けない声を出してしまった。
「魔道学院に入学に来た者ですがどうやって入門手続きをすれば良いのでしょう。」
女の子はそう言うとすごく指先をモジモジしている。
黒い長い髪がとても綺麗で身長も156cmぐらいかの
とても美人な女の子だ。
って僕に聞いてる!?
「あっいや、僕も今日入学なんで今からなんですよ!?」
「えっ!?」女の子は驚いた顔で言った。
「すみません、、あまりにも学院をみる目つきが真剣だったので先輩かと思って」
女の子は顔を赤らめながら恥ずかしそう言った。
そんなに僕の目つきがすごかったのか!?
いや、気を付けないとだ。
でも、緊張が嘘のようになくなった。
それはとてもありがたかった。
「君のおかけで緊張がとけましたよ。ありがとうございます。」
女の子は、そう言われたのが嬉しかったのか
「それなら私も嬉しいです、私も緊張してたのです」
そう笑顔で笑う彼女に僕はドキッとしてしまった。
「綺麗だなあ」
「何がです?」
うわっと!しまった心の声がでてたのか。
まだまだ修行が足りないな。
「こ、この学校が綺麗だなあと!」
苦しいか!?
「私もそう思います。ずっと憧れていましたから」
ごまかせたか。
「君は将来何に成りたいんですか?」
彼女はふと目をとじて、「私はどんな病気も治せる治療師になりたいのです。」
魔力の量や精神的な強さがないとなれない治療師か。
この国では、なり手が少なく、というより成れるものほとんどがいないと言われている。
「とても良い術師を希望されてるんですね」
僕は、何故か、彼女なら治療師になることができるだろうと
思った。
「あなたは!?」
彼女が笑顔で聞いてくる。
「僕は…」
「そこの君たち新入生だろ、早く手続きしなさい」
先生だろうか、怒られてしまった。
「『はい、すみません!』」
2人とも声が重なった。
それが彼女との出会いだった。