出会い
クラウンフィールド皇国は大陸の北方に位置する小国でありながら、
シルグムント共和国のみならず、妖魔国とも同等の関係を築いていた。
その理由は、クラウンフィールドの民が持つ特殊な技術にあり、
ある特産品が周辺諸国になくてはならないものであったからである。
その特産品とは「薬」
大陸ではしばしばひとつの街が消滅するほどの流行病に苦しめられた。
クラウンフィールドが作る薬は、人間だけでなく妖魔にも効果を発揮した。
それがかつての帝国も妖魔も、クラウンフィールドには一目を置いた理由である。
----------------------------------------------------------------------------
「あらあら、まあまあ、珍しいお客様だこと」
クラウンフィールドの皇女マリナは微笑んで言った。
そのとき、船でサクラに救われた少女が前に進み出た。
「お久しぶりです。マリナ皇女」
マリナの顔から笑顔が消えた。
「あなた、まさか、あなたは・・・」
「父とお会いしたときは、まだ幼かったので。覚えていただいて光栄です」
「よく・・・よく無事でいましたね」
はっとした表情でガームベル・イブリスが尋ねた。
「もしや・・・貴女がソフィア様?」
「はい。アドリス・ル・バルカードの娘、ソフィア・ル・バルカードです」
「良かった。ソフィア様がご無事で民も喜ぶことでしょう」
プロ・クーンはマリナに言った。
「このままではシルグムントが植民地になってしまうであるからして」
「ええ、ウーヌスの件は聞き及んでいます」
「妖魔と和平交渉に臨みたく、力を貸して欲しいであるからして」
マリナは微笑んで言った。
「ちょうどよかったわ。皆さんにお客様をご紹介しましょう」
----------------------------------------------------------------------------
「話が違いますぞ」
ソーン公爵は男を睨みつけた。
「ふん。妖魔国が火の海にならないことを祈るんだな」
ウーヌスの軍服をまとった赤色の目の男が吐き捨てた。
「おのれ!」
ソーン公爵が無数のファイアーソードを展開し刃を向けた。
が、その瞬間、ソーン公爵は首に手を当て苦しみだした。
「・・・かはっ!」
「マナの力を得た私に敵うと思ったか」
展開されたファイアーソードが消えてゆく。
そして、ソーン公爵は力なく床に倒れ込んだ。
「ソーン。妖魔をウーヌスの傘下に組み入れよ」
赤目の男はにやりと笑った。
「クランフィールド皇国へ攻め入る!」
ソーン公爵は歯噛みをし、赤目の男を睨みつけた。
もう後戻りができない処まできてしまったことを悔やみながら。




