最終兵器
――・・・完成したであるからして
バイオルームでプロ・クーンは目を逸した
――これが・・・地上最強の生物か・・・
軍服姿の将校がつぶやいた。
――既に滅亡した生物を復活させるなど、神を冒涜する行為・・・
――博士!これは神の思し召しだ、ふふふ・・ふはははーーっ!!
――このマスターサンプルを上手く量産すれば最終兵器となりましょう
――ククク、博士にはこれからもっと頑張ってもらわなければなッ!
―――― 培養液の中の「最終兵器」が人間達を睨みつけた
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サクラ達が港に降り立つと、突如ウーヌスの兵士に取り囲まれた
「キミタチを拿捕するにぃ」
「ナンダ、オ前ラ?」
アルルが兵士達を睨みつけた
「残念だけど、皆んな拘置所行きだにぃ。あ、ピンクのお姉ちゃんとロリお嬢ちゃんはオラと一緒に遊ぼうにぃ~」
「貴方達、妖魔じゃなさそうね?」
サクラが斧を構えた瞬間、後ろから閃光が走った
「な?目が・・・!」
閃光が兵士の動きを止める
「今のうちに逃げるであるからして」
白衣を着た猫が声を掛かけた
「きゃつらはウーヌス。帝国の残党であるからして」
「貴方は?」
「小生はプロ・クーン。一応科学者であるからして」
そこに馬に跨った金髪の男が現れた
「ガームベル、遅いであるからして!」
「すみません博士。さあ皆んな、こいつに乗るんだ!」
サクラ達は馬に飛び乗り、港街を駆け抜けた
「ふう、もういいかな。ようこそシルグムントへ、私はガームベル・イブリス」
金髪の男は優しく微笑んだ
「私はサクラ=スズミヤ。じぱんぐより参りました」
「スズミヤ卿のお嬢様でしたか」
「父をご存知ですか。この子はアルル。エンドアの竜騎士の生き残りと聞いています」
「アルル!?」
ガームベルはアルルに目をやった
「ナンダ、ドラゴンガ珍シイノカ?」
「お前・・・記憶を失っているのか」
「アルルのことを知っているのですね」
サクラはガームベルに尋ねた
「ええ、妹と一緒に死んだものと思っていたが・・・」
―― ドクン! ――
―― グルルルル・・・
突如、眼の前に巨大なブルードラゴンが現れ、サクラは息を呑んだ
「イ、イブリスさん。私達、和平交渉のお手伝いにきたんです」
サクラは無意識に話題を変えた
「このような状況では、まだ交渉は難しいかな」
「クラウンフィールド皇国のマリナ王女の協力を仰ぐからして」
プロ・クーン博士は山の先を指差しながら言った
「そうですね。ますはクラウンフィールド皇国に身を寄せましょう」
ガームベルとサクラ達はくクウンフィールド皇国を目指し進み始めた
――あのドラゴンはなんだったのだろう?
歩きながらサクラはアルルに目をやった
――イブリスさんはアルルのことを知っている?
いつのまにか青空は消え、曇天が空から垂れ下がってきた
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「メリュジェーヌ様。食事の時間です」
軍服姿の女将校と共に給仕の女達が部屋に入ってきた
「食欲がありませんの。お引取りいただいて結構ですわ」
魔導バリヤに囲まれた部屋の中で、窓から目を逸らさずメリュジェーヌは言った
「・・・メリュジェーヌ様、私です」
将校が小声でメリュジェーヌにささやきかけた
「貴方!?」
「・・・お静かに。これにお着替え下さい」
将校は給仕服をメリュジェーヌに渡しながら言った
「此度の謀反はソーン様が原因ではありません」
「どういうことですの」
給仕服に着替えながらメリュジェーヌが尋ねた
「帝国軍の・・・いえ、もっと邪悪な力が裏で働いています」
「邪悪な力?」
「ええ、それが何かは分かりませんが・・・」
メリュジェーヌが着替え終わると給仕の一人がメリュの服を着始めた
「・・・このままでは妖魔国もシルグムントの二の舞になります」
「私に何をしろといいますの?」
「クラウンフィールド皇国のマリナ王女に助けをお求め下さい」
そう言うと将校が魔法陣を作り上げる
「今日は新月。妖魔の魔力が落ちる今のうちに、さあ!」
「あ、貴女達はどうなるんですの」
「信じております。メリュジェーヌ様」
結界を飛び出したメリュジェーヌは飛竜に姿を変えた
――きっと戻ってきますわ
飛竜はクランフィールド皇国へ向け、漆黒の闇へと飛び立った




