少女
「んーッ」
サクラは、まだ薄暗い窓を見ながら背伸びをしました。
(灯台の光・・・シルグムントに着いた?)
その時、甲板で声が響いてきました。
(・・・何だろ?)
サクラはベッドで寝ているアルルを横目に甲板に向かいました。
「貴様ッ!妖魔か?」
「違う・・・助けて・・・くだ・・・。」
警護兵に取り押さえられた、ずぶ濡れの少女は力なく肩で息をしていました。
「その娘を離しなさいッ!」
「姫様」
サクラは少女の冷え切った身体を抱きしめました。
「しっかりして!」
「・・・助けて・・・お父様も・・お母様も・・・」
少女は血の滲んだ頬に涙を流しました。
「サガレ、サクラ」
「アルル?」
アルルが翼を広げ、少女へ魔力を送りました。
少女の頬に赤みが戻り傷が癒えてゆきました。
「あ、ありが・・うぅ・・・」
「辛いことがあったのね。もう大丈夫」
サクラは少女の頭を優しく抱きしめました。
「お・・お母様・・ッ!!」
少女はサクラの胸にすがると慟哭しました。
「シルグムントへの乗船許可を取得しました!」
船員の声を聞きながらサクラは少女を抱きしめました。
―― 戦争で苦しむのは力の無い者ばかり
―― もし争いのない世界を作ることができるのなら
―― 神の力か?悪魔の力か?・・・どちらでもいい
「大丈夫、お姉ちゃんが守ってあげるからね」
「・・・フン」
アルルが憂鬱そうに空を見上げました。
船は汽笛をあげ、港に近づいてゆきました。
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「どういうことだ?」
警察隊に囲まれたシディウス・ベルフェゴールは静かに尋ねた。
「残念ですが・・・」
警察隊長が言った。
「謀反の罪で逮捕状が出ております」
「・・・謀反?」
「はい、シルグムントのレジスタンスと内通してい・・・ッ」
「お父様を離しなさい!」
警察達は魔撃に吹き飛ばされた。
「ここから立ち去りなさい!でなければ・・・」
メリュジェーヌは警察隊にマジックアローの狙いを定めた。
「やめなさい。メリュ」
「でも!」
「やめろ」
「・・・・・はい」
唇を噛むメリュジェーヌをよそに、シディウスは拘束される。
「ソーンの指示か?」
「・・・・・・お連れしろ」
「は」
シディウスは魔封の檻に拿捕された。
「メリュジェーヌ様」
「・・・なんですの」
「今日限りこの館から出ることは許されません。勝手なことをしたら父上は・・・」
警察隊長は首を切る仕草をし、ニヤリと笑った。
「なにがどうなったというんですの!?」
「連れてゆけッ!」
「はッ!」
「・・・」
メリュは涙をこらえながら父親が連れ去られるのを見つめるしかなかった。
ーーー なぜこんなことに
ーーー 皆と楽しく過ごしたかっただけなのに
いったいなぜ!
メリュジェーヌは嗚咽を押し殺した。




