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サクラとアルルの物語  作者: 黒翔
第2章 戦禍
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希望

蒼竜は沈んだ目で、自分に付いていたという鞍を眺めていました。


(・・・女神ウルディアの守りあれ・・・か・・・)

アルルは、鞍に彫りこまれた文字に目を滑らせると溜息をつきました。


――私は何故ここにいるんだろう?

――いったい自分に何が起こったというのだろう?


「思イ出セナイ・・・」

アルルは暗い顔でうつむきました。




后は、そんなアルルの様子を部屋の中から見つめていました。


「后よ」

「あなた・・・」

スズミヤ卿が部屋に入ってきました。

 

「いかがでしたの?」

「うむ...シルグムントへ妖魔が侵略を始めたようだ」

「・・・」

「シルグムントの近隣国から援軍要請がきておる」

「また戦争が始まるのですね...」


后は憂いの眼差しでスズミヤ卿を見つめました。

「ベルフェゴール家が妖魔達を煽動しているという噂は本当なのですか?」

「なぜそれを」

「今朝、私の祖国より密使が参りました」

「クラウンフィールド皇国か」


后はスズミヤ卿へ手紙を手渡しました。

「クラウンフィールド皇国には、まだ侵略は及んではおらぬか」

「ええ、国防のためサクラを諸国の王と結婚させろと大臣達が...」


スズミヤ卿が笑いを噛み殺しながら窓の外に目をやりました。

「サクラを扱える男がおればよいのだが...」


と、そこにアルルがぽつんと座っていました。

「...あの蒼龍の様子はどうだ」

「ええ、可愛そうに、大半の魔力と記憶を無くしているようですわ」

「そうか」

「相当つらいことがあったのでしょう。誰にも心を開こうとしませんわ」



アルルは独り物思いにふけっていました。

(教えてくれ・・・女神よ・・・僕は何者なんだ)

アルルの頬を涙が伝いました・・・・とその時、ふいに後ろから首固めを掛けられました。


「暗ぁーい顔してる子は、いねーがぁ?w」

「ワンワンワン!」

「ウグ・・・グ・・・ク、苦シイィー」


アルルは必死に手を振り払うと、不届者の方へ向き直りました。

「コノ馬鹿力メー!マジデ死ヌカト思ッタゾー!」

「あはははー、ごめん、ごめん」


そこには、桜色の髪の少女が舌を出して笑っていました。

「でも、暗い顔してると暗いことしか起こらないって、占いの婆っちゃが言ってたわよ」


アルルは眩しそうに、笑顔の少女を見上げました。

「私はサクラ、サクラ=スズミヤ。これでも一応お姫様なんだからね」

「ワンワンワン!」

「この子はおとうさん。じぱんぐじゃ有名な白犬なのよ」


「オ、俺ハアルル・・・。」

「よろしくね。アルル」

サクラは、太陽のように微笑むと白犬の耳元へ何やら囁き始めました。


「ごにょごにょごにょ・・・」

「クンクンクンw」

「!?オ、オ前、獣語ヲ操レルノカ?」

「うふふ、何となくねぇ・・・それっ♪」

「ワン、ワン♪」


サクラと白犬はアルルに飛び掛ると、一斉にくすぐり始めました。

「こちょこちょこちょー♪」

「ワンワンワンー♪」

「ギャハハハハー、ヤ、ヤメテェー」




「――姫君には神の使いが寄り添うことになりましょう」

「御婆殿」

アルルとサクラの様子をスズミヤ卿が眺めていると、術師の老婆が部屋へ入ってきました。


「神の使いとは・・」

「左様。この蒼竜は異国の女神の使い・・・そして姫君こそ、この国の最後の希望」

「御婆殿・・・」

「全ては運命。この地は女神の御心の下、救われることとなりましょう」


后は再び窓の外へ目をやりました。

「サクラが・・・」




「コンノォー、モウ許サンー!」

「きゃー、怒ったー!にゃはははー♪」

「ワンワンワンー♪」


夢中になってサクラを追いかけるアルル。


(久しぶりだ)


空を飛びながらアルルは思いました。


(こんな楽しい気持ち、久しぶりだ)


「コノ、アルル様カラ逃ゲラレルト思ウナヨー、フフフ・・・・アハハハ」

「鬼さんこちらー、あははー♪」



じぱんぐの晴天の空の下、いつまでも二人の笑い声が響き渡りました。

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