Episode_05 技術の差と動き出す者達
皆さんおはこんばんちは作者の黒音です!
今回はフル勇者+α回になります!
いやぁ頭が良くなるって素晴らしいですね!!(※良くなってる気になってるだけです)
さてクレラビ第5話!!(略しちゃったよorz)
あるはずの無い駆逐艦神風、なぜこの世界にあるのか。
それが分かる回になります。
+αは読んでのお楽しみ!それではどうぞ!
〜 ルミナレア王国 ヴィルベール海軍基地 〜
「リュウくん〜!はやくぅ〜!」
「お、おう!わりぃわりぃ」
ありえない、何故あんなものがこの世界にあるんだ?そもそもオレ達からしてみれば71年前の大戦時に存在した軍艦だがこのファンタジーな世界からしてみればオーバーテクノロジーのハズだ……。
通り過ぎた埠頭に停泊していた駆逐艦「神風」が、なぜこんな異世界に存在しているのかを考えながら歩いていると、ほどなくして司令室に到着した。
「着きました、ココが司令室です。中で総司令がお待ちです」
「分かりました、司令室まで案内して頂きありがとうございます」
「いえいえ。では別用がありますので私はこれにて」
「ありがと〜!じゃあね〜!」
エドガーと別れるとオレ達は司令室に入った。
部屋は思っていたよりは整っており、無線の類の機材が綺麗に並べられていた。
イメージとしてはアニメなどでよくある司令部のような感じだ。
その部屋の一番奥、総司令官が座るであろう真ん中の席に1人の老人が座っていた。
近づいていくと老人は立ち上がり、会議で使うようなテーブルへ移動し、反対側の席についてゆっくりするよう促されたので、失礼しますとつげてから席についた。
「いや〜よくきてくれたのう。ワシがここの総司令官のクロロベル=アナスタシアじゃ。よろしく頼むぞいリュウジ殿、アヤカ殿」
「ええ、こちらこそよろしくお願いするぜ」
「よろしくねークロロベルさん!私頑張るよぉ!」
「ほっほっほっ!元気のいい娘じゃの〜よろしく頼むぞい。さていきなりで申し訳ないのじゃが本題に入らせてもらうぞい。リュウジ殿、これからとある艦の艦長と副艦長をお願いしたいのじゃ」
「艦長?そりゃまたなんでだ?」
「副艦長?私が?それってホント?」
いきなりの艦長(副艦長)任命宣告に戸惑うオレと綾香。
だがここに来る途中で見たあの軍艦、オレは何故かあの艦に関係があるような気がした。
「そうじゃ、そしてお主達にはまず知っておいてほしい事が二つあるのじゃ。」
「知っといて欲しいコト?」
「なにそれ?」
「知っておいてほしい事とは大きく分けて二つじゃ。まず一つ目、現在我が軍はイフリーディア海軍に工作員を潜らせておる。その工作員からの情報によれば敵は例の新設艦隊に最重要機密作戦を発令したそうじゃ。」
なんと、そりゃおったまびっくり玉手箱だな。
それにしても機密作戦か……内容はなんだろうな?
「なぁ、作戦の内容は分からないのか?せめて作戦名だけでもさ」
「お、それ気になる!敵の作戦の内容を少しでも知ってれば倒しやすくなるもんね!」
「作戦名か?鼠潜り込み作戦と呼ばれてるらしいのう、内容はルミナレアへの侵入じゃろうな」
「うわぁ、作戦名のネーミングがダサいね……でもなんでワザワザ侵入しようとしてるんだろ?敵ならそのまま人間を倒しちゃえばいいのにね」
「うーむ、その答えは魔王の意向にあるかもしれんのう。まず今回の作戦において敵は、艦隊ではなく単艦で来るんじゃないかとワシは睨んでおるのじゃ」
オレはクロロベルの言ったその言葉に疑問を持ったので聞こうとしたが綾香に遮られた。
ちくしょう解せぬ。
「あれ?なんでそう思うの?」
どうやら綾香は俺と同じことを考えていたらしく、首を傾げていた。それもそうだ、普通なら敵のの情報は探りを入れないとわからない。しかもそれが軍隊なら尚の事だ。
しかしこちらとて国を守る義務を背負った軍隊だ、国によるとは思うが敵の軍隊の情報を手に入れるため少なからずスパイを入れているはず。
十中八九敵軍に潜り込ませているスパイからの情報だろう。
「確かに普通ならそうじゃな。しかし敵に潜らせている我が軍の工作員からの情報によれば、どうも魔王は人間族と和解をしたいようなのじゃよ」
「魔王が人間と和解……?なぜそんな藪から棒に?」
「そうそうそこが謎なんだよね〜、魔王含めた魔族は少なからず人間族を下等生物と思っているんじゃなかったっけ?」
「そうなのじゃ、そして問題はもっと別にあるのじゃよ」
もっと別にある問題?なんだそれは?
クロロベルの言葉にオレは首をかしげた。
この世界で数十年前にあったという魔族と人間族の戦争、「リヴァイアド戦争」をふっかけてきたのは魔族からという記録もあった。
そしてこの戦争で人間族はかろうじて魔族を撃退したのだった。
だがその後もちょくちょく争いになっていたようなのだが魔族が、それも魔族をまとめている魔王が人間族と和解したいと言っているのは普通ならどう考えても裏があるようにしか思えないのだった。
「ふむ、確かにリュウジ殿が考えている可能性は否定出来んのう。それに問題というのはリュウジ殿がココへ来る時に埠頭に停泊していた軍艦の事なのじゃよ」
「おおそうだ、なんで神風がこんな所にあるんだ?オレ達がいた世界にあったはずだが大分昔に解体されたモノだぞ?この世界に在るのはおかしいんだが……」
そう、普通に考えて駆逐艦神風はこの世界に存在しているわけが無い。
元の世界では、運良く生き残っていたが終戦に伴い解体され戦後の日本の再興に役立てられていたハズだ。
それが剣と魔法のファンタジー世界であるこの世界からしてみれば、物理燃料が必要な駆逐艦神風は未知のテクノロジーであり普通ではありえない構造をした軍艦が存在するという事になるのだ。
「そうじゃ、まず我が軍の軍艦は帆船か魔導推進機によるものじゃ。しかも保有している艦艇の半分以上は木製なのじゃが問題はそれだけではない。あの鉄で出来た軍艦…カミカーゼだったかの?あの軍艦は表向きは我が軍の新鋭艦という事になっておるが、実際にはイフリーディア海軍が運用していたものを拿捕しただけなんじゃ」
「なんだと?アレをイフリーディア軍が運用していただと!?」
「龍司くん…それって意外とってか、だいぶヤバくない……?」
まじか……orz
イフリーディア海軍が神風を運用していたという衝撃的事実を突きつけられ、オレ達は思わず両手両膝を床についてしまった。
まずあの神風だ、イフリーディアの連中はアレを含めこの世界に存在せず、かつて地球に存在した旧日本軍の軍艦を運用していたという事だ。
それはつまり新しく建造したということになり、必然的にイフリーディアの技術力はルミナレアの技術力を遥かに凌駕している事になる。
それは運が悪ければ攻め込まれて残念だったね!(←軽いわ!!)ってなことになる可能性が出てきたというわけだ。
「クソっ!なにか手はないのか!?このままじゃただひねり潰されるだけだ!」
俺がそう言うと会議室に重たい空気が流れ始めたがそれも数分後には絢香が恐る恐る手を挙げてこう言い出した。
「実はさっきから考えてたんだけど…龍司くんの言ってる軍艦ってさ、神風だっけ?その船を私達で使えないかな?」
「ちょ、おま、それ本当に言ってんのか?だいたい燃料の重油や軽油といった代物が存在してるかも分からないし、それ以前に石油が存在してるかも分からない!!んでそれらが存在していたとしてもそもそも神風動かせる人材が足りなさすぎる!てか居ねぇし動かせたのなら話は別だがこの案はとてもじゃないが使えないぞ……」
そう、綾香が提案する策を採用するには現状問題が多すぎるのだ。
まずオレ達の世界とこの世界は異なる世界だ。基本的なものはその世界にはその世界の成り立ち方が存在し、どれも全く同じとは限らない。
だからオレ達の世界にあったものが必ずしもこの世界に存在してるわけが無いのだ。
確かに鉄のようにコチラにも存在してる物もあるようだがすべてが同じとは行かないものだ。
ゆえにこの策は使えないと言ってもいいだろう。
「ふむ、燃料とやらは優先したいが何を使うのかまでは検討もつかぬのう。それゆえ少々後回しになってしまうな、仕方あるまい。まずは人選からじゃな...じゃが安心せい。ココは海軍基地じゃ、艦を動かす人員なら我が軍から選ぼうと思うがどうじゃ?」
マジかクロロベル!?
助かったぜ!コレで燃料の有無さえ分かれば神風を動かすことが出来る!!
聞くところによると神風の解析はあらかた終わっているらしく、爆薬には砕けば大爆発を起こす魔石が代わりになり、砲弾に関してはあと数日で完成するようなのだ。
だから残りの問題は燃料の有無だけになった!
「ホントか!?助かるぜ!それならあとは燃料の重油もしくは軽油だ。クロロベル、地面から取れてなおかつ燃える黒い油ってあるか?」
「うむむ…。地面からねぇ...あーそっか!さっき言っていた石油の事ね!コッチの世界にあるのかな?」
「ふむ、地面から取れてなおかつ燃える黒い油とな?確認してみよう……「ナターシャか?ワシじゃ、実はな…すまぬがちょっと商人と協力してくれぬか?…ん、了解した。」これで良い、すまぬがしばらく時間がかかるゆえ手間をかけてしまうが少し時間を頂いても良いかの?」
「わかった、少し待とう」
「ありがとうクロロベルさん!」
「いやいや、老人に出来ることをしただけじゃよ」
〜 数分後 〜
「リュウジ殿、燃料捜索の結果なんじゃがやはり大手の商業会になるんじゃが隠し持っていたようじゃのう」
「「早っ!?マジで(ですか)!?」」
よっしゃあ!助かったぜ!!石油がありゃいける!
神風 …を動かすことが出来る!
オレはすぐ取り合うよう、クロロベルにお願いし元大日本帝国海軍駆逐艦神風の元にむかったのだった。
〜 ルミナレア王国 軍港近辺の砂浜 〜
ルミナレア王国の軍港の隣に位置する砂浜、その海辺に奇妙な歪みが生まれその中からふたりの男女が現れていた。
「っとココが「アイツ」の言っていた世界か。」
「そう見たいね、まるでファンタジーだわ」
「おいおいソレはオレ達も変わらないだろ霊奈、とりあえず会いに行きますか勇者達に!」
「そうね省吾、行きましょうか!」
この世界に取ってイレギュラーな勢力が動き始めていた。
〜 ルミナレア王国近辺 古代文明の遺跡 〜
「…次元跳躍完了、存在証明値正常。次元間変動率(D・トランジェスタ)計測完了。ココが例の次元か、任務をターゲットの捜索及び「裂け目」の調査並びに消去に移行する」
少し時を戻したその頃、人気の無いその遺跡に現れた1人の人物が現れいつの間にか消えていた。
王都では度々国の近くにある遺跡に人影を見たと言う噂が流行り始める。
果たしてソレはこの物語(世界)にどう影響するのだろうか…
〜 ルミナレア王国 廃墟のとある小屋 〜
ルミナレア王都の郊外に位置するビルサイト区、そこは区の外側半分が廃墟となっており半壊した建物が静かに立っていた。
今にも崩れそうな一つの小屋に何かを抱えて入っていく一人の人影。
数分後その人影は小屋から出てどこかへ去っていったが、去っていく人影のその手には小屋に入った時に抱えていた何かは無かった。
???「これで準備は出来た...後は『儀式』を行うだけだ。イア...イア...ナイアーラ...フタグン...」
何かをつぶやく人影の去った後には唯々寂しげな静寂だけが残っていたのだった……
To_Be_Continued?