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オマケ



「で、なんでまた姉さんがそんな勘違い起こすことになったの」



 夜、叶野家かのうけのリビングで橘弥白たちばなやしろが珍しく息巻いていた。鬼気迫る表情で問い詰める先には、苦虫を噛み潰したような顔の少年――――叶野かのうトキヤがいる。

「俺に聞くな」

「トキにぃさんがいけないんだよ、はっきりしないから。だから姉さんが馬鹿な勘違い起こすんだよ」

「……」

 心当たりがあるのかトキヤはそっと視線を逸らす。その様子を隣で見ていた叶野和成かのうかずなりが、苦笑してフォローに回った。

「ま、弥白もそこまで攻めるなよ。あそこまで眼中にないとどうしたらいいか迷う気持ちはオレも分かる」

 それを聞き、弥白もまた浮かした腰を椅子に戻し、肩を落とす。

「僕も、一時期反発してたけどあんまりにも不憫だったからトキにぃの応援に回っちゃったしね。不本意だけど。ね、トキにぃ。姉さんはっきり言わないと分かんないよ?」

「そうだな、美弥ちゃんにははっきり言った方がいいかもな。でもお前らいろいろやるのは受験終わってからにしろよ? 今大事な時期なんだから」




「……言ったよ、俺は」



 絞り出すような声に、男二人は同時に制止した。ケージの中で立ち上がったハムスターのごとくぴたりと動作を止め、それから同時に身を乗り出す。

「え、まじか!?」

「すごいじゃんトキにぃ! 告白したの!?」

「告白じゃねェけど」

 家庭的で、同い年くらいで、性別は女で、おせっかいで、鈍感で、世話焼きで、無防備で、思い込みの激しいヤツが、好みだと。

 そう説明すると、男二人はおぉっと目を見張る。

「該当する奴は一人しかいないな」

「回りくどいけど。で? 姉さんなんだって?」

 一人は頷き、一人はきらきらした目を向けて問いかけてくる。

 その問いに、叶野トキヤは視線を落とし口を噤んだ。



 それから、……――――ぼそっと、呟いた。














「…………年上、か…………」







 それっきり遠い目をして黄昏るトキヤの様子を見て、和成は首を傾げ、弥白は口元を引きつらせた。


(……そういえば、そんなこと言ったような気がする)













「あのさ、姉さん。姉さんはきっと同い年くらいの人のほうが合うと思う」

「え、いきなりなに?」

「いや、過去の大人げない嫉妬をそろそろ無かったことにしようと思って」

「……?」


「まぁ、別に今のままでもいいんだけど面白そうだし。僕が」

「…………はぁ……?」










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