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3 新たな地

知らないものばかりの世界。見たことのない場所。

イリスにとって、ファキリスは未知の世界だった。そんな場所で、一人で生きていくのは怖い。知らないことがあるのは不安。だからイリスは、前の世界でたくさんの本を読んでいた。『全ては知ることで救われる』そう信じていた。

―世界を旅する少女の物語―

まばゆい光がゆっくりと消えていく。視界がはっきりすると、そこは店ではなかった。机の上には工具や見慣れない素材が無造作に広がり、作りかけの魔道具がいくつも転がっている。

「んー……やっぱここ落ち着くな。」

ルナ――この世界ではノエルと呼ばれる彼女は、軽く伸びをした。

「えっ、もう着いたんですか!?」

転送されるのに時間がかかると思っていたイリスはあまりの速さに驚いている。

「うん、ここがライラだよ。……ま、今いるのは裏のアトリエだけどね。魔道具作ってる場所。」

「アトリエ……」

イリスはもう一度、周囲を見渡す。

整っているとはお世辞にも言えない。けれど、ただ散らかっているわけでもない。そこには確かに、“誰かが何かを作っている場所”の空気があった。

「ま、こんなとこで立ち話もなんだし。表、行こっか」

ノエルは扉の方を指さし、そのまま歩き出した。そのあとを追い、イリスはアトリエを出た。扉を抜けた先は、先ほどとは打って変わって整えられた空間だった。棚には魔石や小さな装置が整然と置かれている。先ほどのアトリエとは違い、ここは誰かに見せるための場所だと一目で分かった。

「ここが店。お客さんはこっちに来るんだ。」

「さっきのところと……全然違いますね。」

「でしょ?お客さんがくるお店の方は綺麗にしておかないとね!」

自信満々にいうノエルをみてイリスは苦笑いをした。そしてゆっくりと店内を歩く。見たことのない道具に興味がわいている。

「上もあるよ。住んでるとこ」

ノエルに促され、階段を上がる。

そこには、柔らかな光に包まれた空間が広がっていた。簡素だけれど整えられたリビング。机の上には使いかけの紙やペンが置かれ、生活の気配が静かに残っている。

「……ここで、暮らしてるんですか?」

「そ。仕事も生活も、全部ここ。外も見てみる?」

窓を開けると、外の音が流れ込んできた。

人々の話し声。足音。遠くで鳴る鐘の音。

イリスは窓辺に近づき、街を見下ろす。

穏やかで、賑やかで明るく優しい世界。

「……ここが、ファキリス……」

「うん。平和でいいところだよ」

そして少しだけ間を置き、イリスの方へと視線を向けた。

「ねえ、イリス」

その声に、イリスは振り返る。

「ここから先は、イリスが決めることだよ」

この世界で何をやりたいのか、それは自分で決める必要こと。

「イリスは、好きなことやこの世界でやりたいこととかある?」

突然の問いに、イリスは言葉を失う。

「私……」

少し考えてから、言葉を選ぶ。

「本で読んだことを、ちゃんと自分の目で確かめてみたいです。」

ここから始まる。この場所から、イリスの第2の人生が。

「職業は転生です!」3話を最後まで読んでいただきありがとうございました。初めて書いた小説のシリーズだったのですがどうでしたか?気に入ってくれたら嬉しいです。3話は新しい世界で何をするのかいろいろなアイデアが浮かんで決めるのが大変でした。毎週日曜日20時頃更新するのでまた読んでいただけると嬉しいです。Xにて作品の告知などをしているのでもしよかったらフォローお願いします。https://x.com/yoizuki_nvl

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