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〈第6話〉『うちとアンタのスタートライン』

 王立クロフォード学園―――学園闘技場


 エルザからの【決闘】(デュエル)申請を受けてから3日後の【決闘】当日。

 うちはこの日までに出来うる限りの準備を整え武舞台に立つ。

 クロフォード学園では正式な【決闘】申請が受理されると【決闘】当日の訓練及び授業等は自主トレーニング或いは自主勉学の日になる様で、加えて入学後1週間も経たないうちに剣術科主席と魔術科主席の対戦が勃発した事が話題性を呼び、観覧席には学園内の1年生問わず3年生までの生徒の姿が大勢見て取れる。

 間近の観客席という訳ではないが、うちのサポーターとしてミリア、エリノア、ヴィオラが武舞台近くの席で、シンシアが一般の観客席で見守ってくれている。

 うちは観客席からの視線を感じつつエルザとの【決闘】の武舞台に立つ。

 うちとエルザは審判員であるオーガストと魔術科教員から【決闘クリスタル】を受け取り首に掛ける。


【決闘クリスタル】を受け取ったうちとエルザは、お互いに向き合い、その際エルザの所持している"杖"に視線が向く。


 「ん?」

 対面したエルザの”杖”が魔術科一般学生が所持している装備と違うことに気付く。


 「教官、エルザの持っちょる”あの杖”はレギュレーション的には大丈夫なんですか?」

 ミリアやシンシアから、通常魔術科が一般的に使用する”杖”は片手で使用できるワンド型が主流と聞いていた。

 だが、対峙しているエルザは槍の様な形状をしており両手で所持する”スタッフ型”の杖を持っている。

 

 「クロフォードの魔力量ではワンドタイプに使用されている”魔石”では魔力・魔法使用に耐えられず、杖に使用されている魔石が粉々になってしまう。そう言った生徒に限り自らに合った装備を使用することは普段の訓練、【決闘】において正式に許可されている」

 オーガストが【決闘】に使用できる装備について説明してくる。


 「……」

 オーガストの【決闘】においての装備説明を聞いたうちは、顎に手を添え思考を巡らせる。

 

 「教官、そのルールが適応されるんなら、うちがもう一本木剣を持つことは可能ですか?」

 審判員のオーガストと魔術科の教官に対し、うちは質問をする。


 「問題はないが……、双剣で【決闘】に挑むと言う事か?」

 オーガストにそう問われ、その意図を察したオーガストがうちに問いかけ、うちはその問いに首を縦に振りオーガストの質問を肯定する。

 うちはオーガストからの「問題はない」という返答に、サポーターについてくれているミリアに闘技場に常備されている訓練用の予備の木剣を持ってきてもらう。

 うちはミリアから受け取った予備の木剣を左手に持ち、左手だけで軽く数度素振りをする。


 「やっと惨めに負ける準備ができたかしら?」

 「負ける準備?お前何言っちょるんじゃ?うちはアンタに勝つ準備をしちょっただけじゃ」

 準備を整えたうちに不敵に嘲笑うエルザと、お互いに煽りつつ教官達が指定する200m程離れあった位置に着き、向かい合って臨戦態勢に入る。


 「それでは!ティファニア・アッシュフォードVSエルザ・クロフォードの【決闘】を開始する!!」

 オーガストの【決闘】宣言からティファvsエルザの【決闘】が開始される。


 「【炎魔法】【炎の砲撃】(フレイム・キャノン)!この一撃で瞬殺してあげるわ!!私に歯向かった報いをその身で受けなさい!」

 エルザが【決闘】開始直前にそう言い、【炎球】(ファイアーボール)を遥かに凌ぐ魔力を凝縮した炎魔法の”ボール系”中級に分類される魔法を初手で形成し撃ち放ってくる。


 「っ!!」

 うちは初手でエルザから放たれた【炎の砲撃】が目前に迫り、開始速攻で【紫電】【韋駄天】で距離を詰めようとした足を止め2振りの剣をバツの字に構え、エルザの魔法攻撃に対し身構える。


 ドンッ!!!


 という【炎の砲撃】が、うちに正面から直撃する。

 爆裂音響き渡り直撃した際の噴煙が舞舞台に立ち込める。

 エルザの魔法が直撃した瞬間を見た、サポーターになってくれているミリア達は顔を背ける。

 闘技場で観戦していた生徒達もこの一撃で、勝負が決まってしまい、所詮は魔術科の圧勝かと、噴煙が晴れる前から、観戦席の席を立つ者が多々見られる。

 オーガストと魔術科の教官が勝敗の判定をするため、遠目からうちの姿を確認しようとする。

 うちに直撃した【炎の砲撃】の爆煙が晴れ始め、煙の中から半円球の光に守られた、うちの姿が薄っすらと浮き上がってくる。


 「!な、なんでっ!!どういうこと!?」

 一撃必殺の魔法を放ったはずの【炎の砲撃】を受けて、無傷で【決闘】開始位置に立って居るうちを見てエルザが驚愕する。

 観戦席を立ちその場を去ろうとする生徒達も、うちの無傷な状態を見て驚愕し席に戻り始め、うちを見守ってくれている数人はうちの無事な姿を見て安堵する。

 そんなエルザの驚いた反応を見て、うちはニィッ!と口角を上げる。

 

 「サンキュー!シンシア!!」

 エルザの初手を防いだうちは、エルザ攻略の助言と初手対策にと【魔法防盾(マジック・シールド)】を教えてくれ、観戦席からうちを見守るシンシアに礼を言う。


 

 王立クロフォード学園―――魔術科修練所


 【決闘】から遡ること2日前。


 「……どうじゃろ?」

 うちは意識を集中させ、魔力を全身に魔力循環を維持させた状態をたった1日の成果ではあるが、シンシアに見てもらう。

 

 「……っ!すごいで……す!一昨日ち、ちょっと教えただけで、剣術科のティファさんがここまでの魔力循環を維持できるとは思っていませんでした……!も、もしかして何ですが、て、ティファさんは普段から、その、魔力循環と”酷似”したようなと、トレーニングをしていた……り?」

 全身に魔力を循環させている様は、【測定の(メジャーメント・)腕輪(バングル)】で”色無し”と判定されている者でも、魔力循環が出来ているかの有無は、全身を覆っている魔力のオーラに意識を集中させることにより視覚的に分かるそうだ。

 うちはシンシアからの指導を受けて、他の自主練をそっちのけで1日かけて魔力循環の訓練を行っていた。

 シンシアの問いにうちは、入学前からやっている日常の自主練の事を話す。

 それを聞いたシンシアは少し考える仕草をする。

 シンシア曰く、うち自身気付いていなかったが、毎日の自主トレで行っていた脚力限定の身体強化ではあるが、その【紫電】【韋駄天】が魔力循環の根幹になっていたのではないかと考察し、シンシアの指導からたった1日で魔力循環を維持できるようになったのではないかと。

 身体強化魔法とはそもそも、全身への魔力循環の”基礎”が長年出来ていなければ魔力での身体強化は難しいとされているとシンシアが説明する。

 

 「こ、ここまでできているなら、い、今から教える”防御魔法”も【決闘】までに使えるようになるかもしれません……」

 シンシアの言葉に、うちは「”防御魔法”?」と聞き返す。


 「は、はい。あ、あぁそ、その前に、剣術科は、ざ、座学の『魔法基礎学』の授業はやっていますか?」

 「ざ、座学かぁ~……、う~ん、そ、それなりに授業は受けたことはあるような……ないような……」

 とシンシアの問いに座学が苦手なうちは、視線を泳がせ誤魔化したような返答をする。


 「そ、そうですか。え、えっと、とりあえず、魔法の仕組みについてなんですが……」

 ”座学”という言葉を出した途端、目を泳がせ始めたうちを見て、シンシアは少々呆れたような表情になるが、魔法の仕組みである『魔法基礎学』を説明し始める。


 『魔法基礎学』

 ラングリッサ王国全領土ではクロフォード学園に留まらず、魔術科問わず全学科で就学義務のある座学である。

 魔法基礎学が全学科で就学義務にされている理由は、座学で学んだ事から魔力に目覚め、学園卒業後、技術科なら魔道具技師や錬金術師に、弓術科なら魔法を矢に込められる魔弓術を扱える兵になる可能性があることから就学義務として、座学の授業に取り入れられている。

 

 「ま、魔法を使用する際には、ま、まず、【想像】(イメージ)【創造】(クリエイト)ができる様にならないといけません」

 魔術師においてその強さは、【想像】と【創造】であると言われている。


 【想像】(イメージ)

 魔力による魔法行使をする際、1番重要になってくるのが魔力循環させた魔力を練り込み、練り込んだ魔力を頭の中で明確な形で【想像】をすることである。

 この【想像】は自身が脳内にイメージし慣れた”属性”であったり、【創造】する際の魔力の”形状”を思い描くことが重要になってくる。

 魔法属性を問わず一般的に1年生時点で、イメージし易いとされている魔力の”形状”には球形の”ボール系”、矢形の”アロー系”、刃形の”エッジ系”の3種類が初級攻撃魔法に分類されている。

 今からシンシアがティファに教えようとしている”防御魔法”は、初級者~上級者問わず訓練、実践での使用頻度が高い”防御魔法”である。

 ちなみに、ティファが独自で思考し、学園入学前より鍛錬し続けた【紫電】【韋駄天】の脚力を強化する様な身体強化魔法は、魔力循環を維持させた状態で、【想像】により魔力を脚力、或いは腕力など特定の身体の部位に集中する事によって、自信が頭に思い浮かべた部位を強化する事が身体強化魔法と言われている。


 【創造】(クリエイト)

 【想像】によって頭に思い描いた魔法の属性及び形状を練り上げ、その魔力を具現化することを【創造】と言う。

 この【創造】の時点で、具現化する際の攻撃魔法、或いは防御魔法への己の魔力量の分配量により、攻撃能力と防御能力の発動性能が変わってくる。

 例えば、中級と分類されている【炎の砲撃】に対し、熟練した魔力を濃密に練り上げた【炎球】を正面からぶつけた際、中級の【炎の砲撃】に初級の【炎球】で相殺できることもある。

 よって【創造】された攻撃魔法、防御魔法の強弱はその使用者の基礎となる魔力循環と、【想像】を具現化した際の魔力強度の熟練度に比例する。


 これに加え、初級魔法に属する”ボール系””アロー系””エッジ系”には3竦みの法則があり、お互いが牽制し合う相関図が存在する。

 簡単に言ってしまえば、いわゆるジャンケンの様な関係性だ。

 【想像】から【創造】される属性相性によるところもあるが、基本的に魔力を高火力を1点集中できる”ボール系”は弾速と弾幕を張りやすい”アロー系”に強く、”アロー系”は魔力を薄い刃上に形成し縦横に限らず範囲を広げられる”エッジ系”に強く、”エッジ系”は1点集中の”ボール系”を真っ向から受け付けても打ち負けることなく両断できる。


 「こ、このように、自信が保有する魔力を行使する事が可能になる……んですが……。って、あ、あのティファ……さん?」

 『魔法基礎学』を淡々と説明してくれていたシンシアだが、説明の内容にいつの間にか付いて来れていないようなうちに気付き、もっぱら座学というものが苦手なうちは、説明を理解しようとするも脳がキャパシティーオーバーを起こし、棒立ちで呆けてしまう、そんなうちを見てシンシアが心配そうに声をかけてくる。


 「て、ティファさん!だ、大丈夫ですか!?」

 呆けているうちが心配になったシンシアが、うちの両肩を掴み、ガクガクと肩を揺らし、うちの正気を取り戻そうとする。

 

 「だ、ダイジョウブ……。チャントキコエチョルヨ……」

 と、キャパシティーオーバーした脳内の思考がグルグルとした状態で、うちは片言の言葉でシンシアに返答する。


 「そ、そうですか。え、えぇっと……、い、色々と難しいことを言ってしまってすいません!で、でも今から私がティファさんにお、教えるのは難しい攻撃魔法ではなく、え、エルザお嬢様の魔法を防ぐことのできる防御魔法、【魔力防盾(マジック・シールド)】です」


⚔⚔


 (わ、私の【炎の砲撃】受けきった!?いったいどうやって!!)

 一撃必殺で放ったはずの【炎の砲撃】を無傷で受けきられエルザは困惑しつつ、今の状況を把握するべくあらゆる考えをし始める。


 (煙が晴れ始めたときに見えたあの子を囲っていた半円球の光……、【魔力防盾】の【魔法封札】で防いだ……!?いえ、生徒同士の【決闘】において【魔法封札】のお互いの”使用許諾”がない限り禁止のはず……。それに、あの子のベルトにはカードホルダーが見当たらない!)

 初手を防がれた際の困惑を払拭しつつ、正面のティファの様子を注視し瞬時に冷静な分析思考に切り替え、ティファの反撃に備えるべく魔力の光球を7つ自身の周囲に発生させる。

 【炎の砲撃】着弾ので上がった煙も晴れ、ティファが自分との距離を詰めるべく前に踏み出すための前屈姿勢になる。

 ティファの攻撃態勢を視認したエルザは、杖を上段に構え周囲に【創造】した光球に属性を【想像】すると、無色だった光球が赤色に発光し炎を纏う。


 (いくら初手を防がれたからと言っても私の優位には変わりはない……!)

 「だからこれで!今度こそ終わりよ!!」

 エルザは上段に構えた杖をティファの方へ振り下ろし、7つの【炎球】を撃ち放つ。


 「【紫電】【韋駄天】!!」

 「っ!!」

 エルザの放った7つの【炎球】は、【韋駄天】で加速したティファの後方に全て着弾する。

 剣士が魔術師への距離の詰め方は、魔法を避けつつ徐々に剣の間合いまで詰めるしかなく、その間に体力を削り切り、動きの鈍った直後相手に魔法を直撃させれば勝てるとエルザは思っていた。

 だが、目の前のティファはエルザが想像した以上の脅威のスピードで自身に迫ってくる。

 

 (な、何この異常な加速は!ま、まさかっ!)

 エルザは意識を集中させ、ティファの身体を覆っている魔力に加え、その魔力が特段脚に集中していることを確認する。


 (身体強化魔法!?はっ!そうか!さっき私の魔法を防いだのも【魔法封札】による【魔法防盾】じゃなくて自身の魔力を行使した【魔法防盾】!!と言う事は、この子剣術科でありながら魔法が使えるのね!!!)

 

 「っく!」

 エルザは慌てて【炎球】を連続で放つが、ティファのスピードに付いて行けず全て走り去った後の場所に着弾する。


 「は、速い!こんな身体強化魔法見たことがっ!」

 エルザは向かってくるティファに焦りが大きくなり休むことなく【炎球】放ち続け、接近してくる脚を緩めさせあわよくば止めようとする。



 (初手を【魔法防盾】で防いだことであいつの意表を突いた!うちが魔法を防いだ手段へ思考させることもできている!あとは……!)

 「その隙が出来た間に剣の間合いに詰め寄るだけ!!」

 うちは【韋駄天】の速度を維持しながら、エルザに向かって疾走する。

 だが、うちの考えは甘かった様で、エルザは戸惑いを見せつつも、瞬時に思考をまとめうちの脚を止めようと【炎球】を連射してくる。


 (大丈夫!【炎球】の弾速は把握しきった!あとは、前に!ただただ前に!!もっと速く……!)

 うちは内心に被弾した時の負けという”恐れ”を押さえ、ただただ眼前のエルザを剣の間合いに捉えるためだけに前へ、前へと疾走し続ける。

 エルザの絶え間ない【炎球】を掻い潜り、剣撃が届く間合いまで近づいたうちは、【韋駄天】の脚への魔力供給を止め、速度が付きすぎた脚に力を込め、舞舞台の石畳とブーツとの摩擦で煙を上げながら強制的に【韋駄天】の減速しエルザの横に回り足を止める。


 「っ!!!」

 「はああああああああああっ!!!」

 うちは右手の木剣を大きく上段に振り上げ、力の限り振り下ろす。

 エルザはうちの方に向き直り杖を水平に構え、上段からの剣撃を防ぐ。


 「……」

 「……!」

 上段の剣撃を防がれたがうちは、一瞬エルザに隙が生まれ【決闘クリスタル】を破壊できる瞬間があった。

 だが、うちは敢えてその隙を見送り身体を捻り左足を軸に反時計回りに身体を回転させ、その回転の勢いで左手の木剣で横なぎの剣撃を繰りだす。

 エルザはうちが身体を捻った瞬間を見て、水平に構えていた杖を縦に構え直しうちの横なぎの剣を受け止める。


 「っく!!!」

 エルザはうちの上段と横なぎの剣撃を杖で受けきるが、剣を防いだ衝撃で後方へと弾き飛ばされる。


 「ふっ」

 うちは後方へと弾き飛ばしたエルザが顔を上げる。

 うちは顔を認識できるように、あからさまに不敵な笑みを浮かべ、エルザの癇に障るような表情を浮かべる。


 「情けないのぅ。お前、”色無し”の魔術師に限らず、剣術科以外の科も同様に下に見ちょったんじゃろ?どうじゃ?見下しちょった相手に意表を突かれて、剣の間合いまで入り込まれる気分は」

 うちはエルザにそう語りかけながら表情を窺う。

 うちの言葉を聞いたエルザはギリッ!と苦虫を噛み締めたような表情と共に歯ぎしりをした後、うちとの距離を更に取るべく後方へと後退する。


 「……っ!さっきの連撃で隙はあった!なのに私の【決闘クリスタル】を破壊しなかったのはどういうこと!どういうつもりなの!情けを掛けているつもりでいるの貴女は!?」

 上段からの剣撃を受けた後、エルザは追撃の横なぎの剣撃に対し杖を構え直し防御する際一瞬遅れが生じていた。

 だが、ティファが敢えて体を捻り左足を軸に反時計回りの剣撃を繰りだしたため防御が間に合った。

 そんなうちの攻撃にエルザは隠していればいい己の戦術を自身の攻撃魔法を避けながら、敢えて見せつける様に、うちの振舞に対して憤りを感じている様だった。


 「ん~……。まぁ隠さずに言ってしまえば、うちに魔法の基礎となる魔力循環やら、アンタの攻略法になることを教えてくれたヤツが居るんじゃが、先んじてお前の戦術を教えてもらって、その対策で【決闘】するのは今思えばフェアじゃないって思ってのぅ」

 うちは敢えて自らが使用できる手の内を晒しフェアで【決闘】を継続したいと言う思いをエルザに伝える。

 

 「い、意味が分からない……!」

 【決闘】において、”勝利”するための己のアドバンテージは出来うる限り【決闘】相手には悟られないように隠すのが一般的思考である。

 だが、うちは対面しているエルザに対し、自身が使用出来る限りの手の内を暴露する。

 そんなうちのフェアで戦いという行動理由が、エルザには理解できない様子だった。

 この行動を受け取る側は、”うちの正々堂々の騎士道精神に共感する者”と”相手にとって下に見られており、自分は舐められている!”という2極の思考に分かれる事だろう。

 この時、エルザが感じていたのは後者の思考だ。


 「まぁ、今のうちができるのはさっき見せた身体強化魔法の【韋駄天】と防御魔法の【魔法防盾】だけじゃ」

 と、うちは今使用できる魔法を口頭でもエルザに教える。


 「さて……」

 うちはうちの剣の間合いから距離を取り直したエルザに対し、右手の剣を指針の位置に持ち上げ切っ先をエルザの方へ向ける。


 「ここからが『うちとアンタのスタートライン』じゃ!」

いつも稚拙な文章にブックマーク、いいね!ありがとうございます。

更新頻度が遅いですが執筆の励みになっております。

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ティファが、ただ勝てばいいというのではなく「フェアに」「自分の誇りを守りながら」戦っている姿が、読んでいて胸を打ちました。 とくに 「うちとアンタのスタートライン」 という言葉、とても響きましたよ。…
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