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〈第5話〉『剣士と魔術師の差』

 王立クロフォード学園―――修練場


 あの騒動の後うちとエルザの正式【決闘】(デュエル)は3日後となった。


 公爵家のエルザに手を上げたうちとは関わり合いたくないと言う、クラスメイトからの心情と距離を感じつつこの日の課題をこなしていく。


 「……」

 うちとエルザのいざこざから【決闘】に発展した場面に立ち会ったオーガストは寡黙にクラスのトレーニングに目を向けていた。


 「アッシュフィールド!途中でもいい、走り込みを終えてこちらに来い!」

 トレーニングの様子を見ていたオーガストが唐突にうちを呼びつける。

 うちはオーガストの指示の意図が分からないまま、走り込みを半分程度で止めオーガストの傍に駆け寄る。


 「なんでしょうか……?」

 息を整えながらうち個人を呼びつけたオーガストに質問をする。


 「アッシュフィールド、お前は爵家や貴族というものをどう思っている?」

 オーガストが駆け寄って来たうちに唐突な質問してくる。

 

 「……、私見でもええでしょうか?」

 オーガストの質問に少し考える間を置き、うちの返答にオーガストは「構わない」と一度だけ首を縦に振る。


 「……、うちが今公爵家?貴族ちゅう階級を持った奴等の持っている感情、思考は”みんなどこか庶民やら自分達より遥かに劣っている奴”を見下して育っているように感じています」

 うちは初見からエルザ含め、爵位を持った家系のものに感じていた感情を素直にオーガストに伝える。


 「そうか……」

 うちの返答を聞いてオーガストはうちから視線を動かさず短く答える。

 

 「だがな、所謂爵位を持った貴族という者達は過去の戦時や国政で国王からその功績を認められたものに与えられた爵位だ。お前の言う通り過去の功績や栄光に胡坐をかき、傲慢になった挙句下の者を見下す連中が居ることも確かだ。今回お前がいざこざを起こしたクロフォード家も少なからず庶民を特に魔力を持たない”色無し”を毛嫌いし、侮蔑している風潮も見えつつある……」


 聖皇歴が始まる約500年以前、この国を含む周辺諸国は国土を奪い合う戦乱の世になっていた。

 その戦乱の世を収めたのが後に【剣聖】と呼ばれる人物であり、【剣聖】と共に戦乱を沈めた8家の内、より功績を挙げた1家を一国の王家とし、残りの7家に公爵の爵位と政治権を与えたという。

 その7公爵家の一角がクロフォード家だ。


 「いくら過去の功績があったからって言って、あんなに、あからさまに周りが見ちょる前で個人を大勢で囲って蔑むのは絶対に間違がっちょる!!」

 うちは自分の行いに間違いはないとオーガストの言葉を遮り、無意識に理不尽に振舞っていたエルザを思い出し、感情のまま怒鳴ってしまっていた。

 

 「あぁ。そうだな。俺がお前の立場だったとしたら、俺も後先考えずお前と同じことをしていたかもしれない。だがな、お前の様に貴族に手を上げることは、クロフォード家のプライドを傷付け、相手の気分次第では死罪に直結してもおかしくない行いだ」

 オーガストはうちの感情を正面から受け取り、あの時うちの心情を汲み取ってくれた言葉を掛けてくれるが、エルザに手を上げた行為は愚かな行いだったと諭してくる。


 「だが……。3日後、1年生魔術科主席のクロフォードと正式【決闘】があるわけだが秘策はあるのか?」

 オーガストからそう聞かれ、秘策も何もうちは魔術師との戦闘が初めてだ。

 そんなうちは黙り込んだまま首を横に振る。


 クロフォード学園に置いては、魔術科の入学者は突出して多い、特に今期の様にクラスが最大でもA~Dクラスに分けられることは稀である。

 その中でも主席の選別は”魔術科”全体での括りでされおり、Aクラスの頂点に立つものが魔術科の主席として選抜される。


 「そうか、……少しこの場を離れる。各生徒が課題を終えたら昼休みだが解散させずこの場で待機する様に指示しろ。それから、お前は木剣を準備して手合いができる準備をしておけ」

 その場を去っていくオーガストに「わかりました」と答え、教官の行動に理解ができないまま、同級生の走り込みを眺める。



 オーガストがどこかへ去り、課題である走り込みが昼食前に終わり、剣術科の生徒がうちの前に集まる。

 クラス全員の走り込みが終わったタイミングを見計らった様にオーガストが戻ってくる。


 「よし!皆集まって居るな!これから特別模擬戦を行う!アッユフィールド、お前は木剣を持って戦闘態勢に入れ!」

 未だにオーガストの意図が分からずに、うちは木剣を手に取りオーガストの対面へ立つ。


 「模擬戦をする前に”これ”を見たこと、知っている生徒はいるか?」

 オーガストはそう言ってベルトに備え付けてあるホルダーからカードを1枚抜き集まっている生徒に見せる。

 

 「【魔法封札】(マジック・カード)……ですか?」

 1年次席のアルバートが小さく手を上げ、その札の名称を答える。


 「そう、これは魔術科2年から履修科目にある【魔法封札】だ。今回模擬戦闘を行うため特別に用意してもらった」

 

 【魔法封札】(マジック・カード)

 クロフォード学園の魔術科は2年生上がると、必修科目として【魔封じの札】に魔石を硯、それで出来上がったインクを使用し、魔力を封じることのできる規定サイズの羊皮紙に、魔法陣と文字を書き込むことで魔力を持たない者でも、”特定”の発動条件である””発動言語(スペル)””を声に発しカードに認識させることによって、カードに封印されている魔法を魔力無しで使用する事ができる。

 この【魔法封札】は魔力を所持していない所謂”色無し”の王国騎士団、弓術士などが戦闘時に携行し使用する事が多い。


 「これは今年在校している2年生が作成したものになるため威力はそうでもなく、被弾しても痛い程度で済むものになっている」

 ある程度の【魔法封札】の説明を集まっている生徒に終え、オーガストがうちに向き直る。


 「試しに一発撃ってみる。アッシュフィールド。真正面に打つつもりだがちゃんと避けろよ」

 オーガストはうちに正面に【魔法封札】を向ける。

 


 「【炎球】(ファイアーボール)【発動】(アクティベーション)!」

 「!!」

 オーガストのスペル発動の声をカードが認識し、カードが霧散しながらオーガストの手元に【炎球】(ファイアーボール)が形成され、手を振ることでうちに向かって【炎球】が向かってくる。

 うちは正面から向かってくる【炎球】を左側に飛び避ける。


 「今のは【魔法封札】がどういったものかのデモンストレーションだ。アッシュフィールド、ここからは俺の事を”疑似的”な魔術師として扱い攻略してみろ!」

 うちはオーガストが言っていた模擬戦の意味をここで察した。

 その言葉を聞いたうちは木剣を握る手に力を込め、対戦の構えを取る。


 「では行くぞ!【炎球】【発動】!」

 オーガストが眼前に構えたカードから生成された【炎球】がうちに向かってくる。

 

 「ッ!」

 カードから生成された【炎球】は多少のコントロールができるのか、うちの回避行動に合わせた軌道を変える。

 その後も【魔法封札】から繰り出される【炎球】を避け続け、術師であるオーガストに向かって行こうとするが、次の【魔法封札】が準備されており、回避しても攻撃に転じることができない。


 「ックソ!!」

 【魔法封札】の攻撃を避けても接近するどころか、剣の間合いから徐々に距離を遠ざけられていることに気付く。


 「【炎球】【連続・(コンティニュース・)発動】(アクティベーション)

 オーガストが5枚のカードをホルダーから抜き取り眼前に並べ、魔法発動の指定スペルを発する。

 オーガストのスペルを確認したカードはその場で霧散し5つの火球に姿を変える。


 「はああああぁぁ!?そんな使い方あり!?」

 どうにか距離を詰めようとしていたうちの目の前に5つの火球が迫りくる。

 うちは5球の火の玉をどう捌き切るか考えながら少しでも剣の間合いを詰めるための前進を続ける。

 2~3球は回避しきれる、だが残った2球をどう処理仕切るか考えがまとまらない。

 2球のうち1つは右払いの木剣で払い消し防いだが、残された火球がうちの身体を捉える。


 「ッッ!!」

 うちは咄嗟に防御態勢を取るが、残された火球がうちに直撃し、そこで手合いは終了してしまう。


 「どうだ、わかったか?これが『剣士と魔術師の差』だ。正式な〈決闘〉では今の一撃で【決闘(デュエル)クリスタル】は破壊されお前の負けになる。如何に相手の間合いに入らず、遠距離での優勢を保ちつつ相手をねじ伏せるのが魔術師だ。だが、逆に言えば相手の間合いに入ってしまえば対応しきれない魔術師もいる。だが、エルザ・クロフォードは1年生にして実力は2年、いや、3年生にも及ぶ実力の持ち主だろう」

 「ック!!!」

 魔術師との戦闘を軽く考えていたうちは、悔しい思いを胸に抱えうちはこの時、剣術科と魔術科の差を思い知る。


 「エルザ・クロフォードにはその歳で傲慢になってしまうそれ相応の実力がある……。アッシュフィールド、お前はクロフォードとの【決闘】が終わるまで通常の訓練から除外する。【決闘】までの3日間己の闘う答えを見つけ出し【決闘】に立ち向かえ」 

 疑似的な魔術師を務めたオーガスト相手にさえ打ちのめされたうちに、【決闘】までに自分なりの闘い方の答えを出せとオーガストが遠回しに言っている気がした。



 王立クロフォード学園―――魔術科修練所


 うちはオーガストから〈決闘〉までは通常訓練に参加せず、エルザとの戦闘攻略にに尽力するようにと言われ、昼休みもそっちのけで〈決闘〉に対しての先約を思案する。

 

 「う~ん……」

 オーガストの言葉に甘え午後からは通常の訓練を止め、〈決闘〉に備え戦略と自己研鑽をすることを考えることにした。

 色々と思いを巡らせながら、とりあえず走り込みをしていると、とある施設が目に入りそこで足を止める。

 そこは魔術科が実習訓練で使用している場所だった。

 うちは興味本位から、魔術科の訓練場が気になり走り込みの足を止め中に入って行く。

 魔術科の訓練所には等間隔に標的となる的が設置されていた。


 「……」

 今は昼食時と被っているせいか生徒の影が見当たらない。

 誰も居ない場所に踵を返して立ち去ろうとしたところ、教本を胸に抱えた女生徒とぶつかる。


 「あっ!」

 「おっと!わるい!」

 ぶつかった女生徒の肩を咄嗟に引き留め、うちは接触したことに謝罪をする。


 「ん?シンシア……か?」

 うちは接触した女生徒の顔を確認すると丸い眼鏡付けたシンシアだった。


 「あ!えっと……テ、ティファニア……さん、すいません……」

 「ティファでええよ。シンシアって呼ぶのも長いしシアでええかの?」

 シンシアは吃音症を患っているのか、会話の所々でどもる瞬間度々見受けられる。

 うちのその呼び方にシンシアはうんうんと首を縦に強く振り、その呼び方でいいと強く共感してくる。


 「てぃ、ティファ……さんはこ、ここで何をしているんです?」

 シンシアは剣術科のうちが魔術科の訓練所に居ることに違和感を覚えている様子だった。


 「ん?あぁちょっと教官からあのお嬢様との〈決闘〉がある3日間は通常訓練はえぇから対魔術科の戦略を考えろって言われてね。それでちょっと魔術科の訓練施設が目についてここに行きついたっちゅうとこかのぅ」

 うちの返答を聞いたシンシアは「そうなんですか」と返してくる。


 「ちゅうか、シアはここで何しちょるんじゃ?今はまだ昼休み中じゃろ?」

 昼休みもまだ半ば過ぎにも関わらず魔術科の訓練所に居るシンシアに質問する。


 「え、えっと……。わ、私Dクラスで色無しだから、少しでも他の人より多く練習をしたくて……」

 うちはシンシアの返事を聞いて、この子はこの子なりに自分の境遇を覆す努力をしているのだと感心する。


 「そっか、シアのその努力は絶対この先実るから周りの評価に負けずに頑張れ」

 うちは陰で努力しているシンシアの頭を優しく撫でる。


 「なんで……。なんでティファさんは剣術科なのにこんな”色無し”の魔術科の私に親切にしてくれるんですか?」

 「努力をしちょる奴に剣術科も魔術科、強いて言うならどんな人にも関係ないと思っちょる。だってそうじゃろ?その分野で自分のやりたいことを研鑽して、伸ばそうちゅう人を才能がないからっちゅうて努力を否定するのは間違っちょるってうちは思う」

 うちの言葉を聞いたシンシアは目じりに涙を浮かべる。


 「でも、え、エルザ様に負けたら、ティファさんは在学中ずっとお嬢様の言いなりになるんですよね?」

 お互いの勝利した後の条件の事をうちに確認してくる。


 「そうじゃな、でも、うちはそれでもええよ。あいつからの標的がうちに移るだけじゃし。在学中にシアがエルザを超える魔術師になってくれたら、うちは〈決闘〉に負けても本望じゃ」

 涙を浮かべるシンシアの目尻に浮いた涙を拭い、言葉を続ける。


 「それに、うちはこの〈決闘〉負ける気はない。勝つつもりで挑むから安心し」

 魔術師相手の対抗法は未だに思い浮かんでないが、うちはシンシアを安心させるつもりでその言葉を掛ける。


 「それじゃ、いつまでもここに居ったらシアの邪魔になったら悪いけぇうちは自分の修練に戻るな」

 そう言い残し、魔術科の訓練所を去ろうとしたうちの手をシンシアがガシッ!と袖を強く掴んでくる。

 そのシンシアの行動にうちは足を止め、シンシアの方へ振り向く。


 「あ、あの……、わ、私がティファさんの力になれるかわからない……ですが、何かできることがあれば言ってください!」

 シンシアの必死な引き留めに、うちは「う~ん……」と悩んでしまう。


 「じゃあ、もしシアがエルザくらいの実力を持っちょるとして、剣士相手に初手はどうしかけてくる?」

 オーガストの疑似魔術師模擬戦をしたが、それはあくまで”色無し”の騎士団などが【魔法封札】に頼った戦術なだけであり、実際に高魔力を所持した者が初手で仕掛けてくる魔法が気になりシンシアに質問してみる。


 「そ、そうですね……」

 シンシアはうちの質問に顎に手を当て思考する。


 「も、もし、私がお嬢様程の技量と実力があるなら……、【決闘】開始直後に高火力での一撃必殺で勝負を決めにかかると思います」

 「それは、剣術科と魔術科の間合いの有利性からか?」

 うちの質問にシンシアは首を縦に振り「そうですね」と答える。


 「け、結局のところ、魔術師が剣士に勝利するには先制攻撃で如何に相手を押さえつけ、その後も自身に近づけない様にするかと思います」

 シンシアの説明を聞いて、うちはオーガストとの疑似模擬戦を思い出す。

 確かにその時も【炎球】の攻撃で術師に近づく事ができなかった。


 「な、なので、もしティファさんがお嬢様の先制攻撃を”防ぐ”事ができるなら……、その後の勝機もあるかと……」

 シンシアの言葉を聞くまで、相手からの攻撃を”避ける”ことしか考えていなかったうちは、シンシアの言う”防ぐ”、つまり受けると言う方法を教えてもらう事にした。


⚔⚔


 王立クロフォード学園―――学生寮

 

 いつも通りの自主練に加え、シンシアからのアドバイスと指導を終え、うちは寮に戻ってくる。


 「あっ……」

 寮の共有スペースのソファで寛いでいたエリノアとヴィオラが、寮に戻って来たうちを見て気まずそうにする。


 「お?なんじゃ、もう2人は風呂には入った後か?」

 エリノアとヴィオラの髪がまだ乾ききっていないことに気付き、何気ない質問を2人に聞く。


 「あ~、うん……、そう」

 「……」

 エリノアが歯切れの悪い返答をしてうちから視線を逸らし、ヴィオラは何も答えず俯いている。


 「……、エリノアとヴィオラには不安な思いをさせて申し訳ないと思っちょる。じゃから、エルザとの決着がつくまでは、同室とはいってもうちに関わるな。あぁいう連中は一回標的にした奴の周りにも攻撃してくるからの」

 うちは少し寂しさをを覚えつつ、エリノアとヴィオラをうちの事で巻き込みたくない想いから2人を一時的に遠ざけるためうちの心情を伝える。


 「……、嫌だよ……!ティファが負けるの嫌だよ……!だから……、だから絶対負けないで……!」

 ソファから立ち上がったヴィオラが、目尻に涙を浮かべ泣きながらうちに抱き着いてくる。

 

 「おいおい。〈決闘〉をやる前からうちが負けるようなこと言うなや」

 うちは苦笑しながら抱き着いてきたヴィオラの頭を撫でる。


 「……、エリノア。うちがもし負けるっちゅう結果になったらヴィオラのこと頼むな」

 負ける気はないが、もし負けた際の事を考え、やけにうちの事を慕ってくるヴィオラの今後を頼み込む。

 その頼みごとを聞いたエリノアは、「うん」と一度だけ首を縦に振る。


⚔⚔⚔


 王立クロフォード学園―――修練場―――〈決闘〉まで残り2日


 うちはクラスの訓練から離れた場所で、自らの魔力を胸の中心に感じつつ、その魔力を全身に巡らせるイメージをする。

 今まで自主トレで自身の脚のみに【雷】をイメージした魔力を流し、脚力強化をしてきたが、全身までに魔力を行き渡らせると言う事は初めて行う。

 これは前日にシンシアから教えてもらった訓練方法である。

 シンシア曰く、視覚化できる”攻撃魔法”或いは。”防御魔法”を行使する際に、自信に宿る”魔力”を全身に行き渡らせ、その”魔力”の流れをまず覚えることが、遠回りの様ではあるが、全ての”魔法”行使の基礎であり近道でもあると説明され、これを怠る魔術師は卒業後に大した成果も残せない魔術師になる者が多いと言う。

 魔術科下位の生徒はこの魔力循環の訓練を初期訓練とし、長い者で3か月程度は継続し課題として訓練項目に入れられるらしい。


 (こうやって自分の魔力を感じ取ることは初めてじゃな……)

 胸に感じる魔力を全身に行き渡らせると、全身が温かくなる感覚を覚える。


 (シンシアの言う通りにするなら、この状態を長く維持できる様に……)

 目標は無意識で自身に魔力を行き渡らせれるようにし、それを維持できる様になることが目標の様だ。


 「くっ……!」

 魔力循環中に少しでも雑念が入ってしまうと、今まで全身に行き渡らせていた魔力が霧散してしまう。

 魔力が霧散してしまう度、始めから魔力循環をする。

 【決闘】までの時間が限られているうちは、心のどこかで焦ってしまっているのか、集中力が途切れてしまう。

 瞬間的に脚力に魔力を集中する【紫電】【韋駄天】と違う。

 シンシアに教えられた際は、容易だと思い馬鹿にしていた節があるが、実際にやってみると魔力を全身に行き渡らせ、それを維持することが想像以上に困難だと思い知る。

 それでも対魔術師の対策が思いついていないうちは、この基礎魔力循環をひたすら続けることにする。



 魔力循環のトレーニングに打ち込んでいるティファをオーガストと、ルームメイトのエリノアとヴィオラが訓練をしながら横目で、ティファを見守る。

 

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