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3話、どういうことか分からないの!!

 「あなたはこの世界を救う希望かもしれない!!」


 どういうことなんだろう。


 それに、伝説?

いちいち謎を増やさないでほしい。


 「よくわかんない! 説明してぇ」

私は宿題のできない小学生のように駄々をこねる。


 「あなた様が先程倒された化け物は、終焉の使いと呼ばれており、各国が戦争を始めて十年が過ぎたとある日、突如としてティルトに現れました。」


 「待って、ティルトってなぁに?」


 「この大陸のことです。」

ティルトっていうのか。国よりも先に大陸名を知ってしまった。


 「終焉の使いを討伐するために数々の勇者や戦士を募りましたが、誰一人として功績を残さず、帰らぬ人となりました。」


 その衛兵はそう言うと、悔しそうに下を向き、拳を強く握った。


 そして、その目からは、光を含んだ涙が零れ落ちた。


✷✷✷


 街の中に戻ると、門前の階段の下に大勢の住民が集合していた。


 私が入ると、その住民達がザワザワと会話し始めた。


 「この人が伝説のエンドスレイヤーなのか。」

 「あの伝説なんて全く信じてなかったよ。」

 「まさか、終焉の使いをいとも簡単に倒すなんて。 にわかには信じられない。」


 なんてみんな言ってる。


 でも、やっぱり分からない、、、。


 そう、何もかも。


 「仙田比奈様でよろしいでしょうか。」

赤髪で黒い鎧を着た、いかにも強そうな大男が話しかけてきた。


 「あ、はい」


 「私はライム・ロイク、この管区で騎士隊長を努めております。 我が主で管区の魔王のアルフ・ロムル様が直接お会いしたいとのこと。」


 なるほど、魔王がいるのか。


 「うん、わかった」


 「では、こちらへ」

そう言うと、ライムは街の中心部に向かって歩きだした。


 それから、数十分ほど歩くと、やはり石造りだが、他の民家よりも何杯も大きい宮殿にたどり着いた。


 「中へ」


 宮殿の扉は金属質な上に巨大で、かなり重そうで、度々開けるのが面倒なのか、こんな吹雪の中でも開かれた状態だった。


 「主様、連れてまいりました。」


 パチンッ

暗闇の奥から鞭を扱う音が聞こえた。


 それから、大広間の所々に設置されていたロウソクに火が灯された。


 「なるほど、よそ者だな。」


 その若々しくも男らしい図太い声は目の前にある縦長のテーブルのそのまた向こうから広間全体に響き渡る。


 私はそこに目をやる。


 数々の宝石がはめ込まれた、金色の豪華な服装を着た、ガッチリした体型で、茶髪の男子が、真ん中の玉座に頬杖をついて座っていた。


 まるで映画でアメコミや海外の恋愛映画で観るようなレベルのイケメンだけれど、なんだろう、正直、私の好みじゃない。


 「さて、聞いた話によると、あの使いを倒したそうじゃないか。 しかも一撃で。 報酬をやろう。 それと、何か役職を与えないとな。」


 魔王アルフは頬杖をついている手で顎を数秒触ったあと、何か悪知恵を働かせたのか、ニヤリと意地悪そうに笑ってみせる。


 「お前はかなり可愛いし美しい、そこで、俺の妃、なんてどうだろうか。」


 彼は相当自信があるのだろう。


 「やだぁ!!」

私は大声で、盛大に求婚を断る。


 アルフはかなりその返答がショックだったのか、目を見開き、口を少し開ける。


 なんという、滑稽な表情だ。


 「別の! 別のもっと偉大な役職がほしい! あ、報酬も増々で。」


 「き、貴様!!!! 俺のプロポーズを断るなど!!!」

アルフは叫びながら玉座から立ち上がる。


「ライム!!! そいつを取り押さえろ!!!」

アルフは後ろで待機していた騎士隊長に指示を出す。


 「できません、陛下。」


 「なぜだ!!」


 「婚姻に関しましては、我が国の法律で本人やそのご家族の同意が必須となっております。」

 隊長はこの状況でも落ち着いた対応をとる。


 「そうか、なら、下がれ!!」


 「承知いたしました。 もしよろしければ、我が管区の法律について、執政に問いてはいかがでしょう。」


 「いや、別に、今はいい」


 「さようでごさいますか。」


 その会話を後に、隊長は広間の横にある部屋に行ってしまった。


 「じゃ、私も行くね。 報酬は高級ブランドのドレスに、ブルーダイヤモンドのネックレス、あと、大きな家もよろしく内装も全て整えといてね♫ それから、役職は影響力のある首長で、どこの土地を治めるかはあとで決めて置くね♪」


 「わかった、首長の枠も含め、整い次第連絡しよう。」


✷✷✷


 私が報酬についてのやり取りを終わらせ、宮殿を出ていこうとしたときだ。


 「おい!! 待て!!!!」

再びアルフが後ろから怒鳴り立ててきた。


 「まだなんかあるの?」

この情緒には付き合ってられない。


 「お前、俺のプロポーズを断った代償がどうなるかわかってるのか!!!」


 「わかんない。」


 面倒くさいので、そのまま宮殿から出ていくことにした。


✷✷✷


 モルウェスの家に帰宅した私は、すぐさまベッドにうつ伏せになった。


 「疲れが溜まらないのに、展開の速さについていけないよぉ〜」


 「確かに疲れは溜まるだろうけど、でも、まさか比奈がエンドスレイヤーだなんて。」

モルウェスは驚きの顔をした。


 「だ・か・ら! 何そのエンドスレイヤーって!」


 知らない異世界に迷い込んだと思ったら、次は知らない街にたどり着き、

昨日まで私がいた世界を小説の話だとか言われ、翌日は次は怪物を倒したら、いきなり伝説の存在だとか言われて、色々と頭のおかしい魔王に会わされ、もう、ため息が出るよ。


 でも、なんでだろう。


 なんだか、金曜日の夜みたいなことを感じる。


 以外に上手く生きてけそうってね

次回、4話、深い傷跡・拭えない血

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