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2話、私っていったい

 翌日、モルウェスに貰った防具を着て店の外に出てみると、やはり多少は周囲からのいやらしい視線が集中する。


「ねえモルウェス、私なんか見られてる気がするんだけど。」

私はマントで体を上半身を隠すような姿勢をとる。


「男なんて美的センス皆無なんだから、そりゃあそんな目で見られるわよ。」


「だから嫌なんだってばぁ〜」


 店の手前でそんな大層な話をしていると、


 突然、広場を得体の知れない大きな影が覆い尽くした。


 それは私の頭上にやって来たかと思えば、次の瞬間にはもうそれはいなかった。


 瞬時に飛び去ったそれを目で追ってみると、灰色で円盤型の巨体で、翼は全部で4つあった。


 そのグロテスクな裏に棘のある翼の羽ばたきに後続するかのように、絶えず巨体から伸びる尻尾は上下に揺れる。


 しかも、その尻尾の先は刃物のように研ぎ澄まされているのだ。


「何、、、あれ、、、」


 私はそれが飛び去った南西を観ながら声を漏らす。


「終焉の使いね。」

 モルウェスが言う。


「あれがついに来たということは、もう、おしまいかもしれないわ。 さて、短い間だったけど、こうしてあなたと出会えた奇跡に感謝しないとね。」


 モルウェスは、私が見たこともない、だが、すべてを諦めている、とわかるとほどの過酷ながらも穏やかな表情だ。


 「一体、何を言っているの?」


 私はその表情をみただけでその全てを悟ってしまった。


 周りの住民は、叫びながら使いが飛び去ったのと逆の方向へ逃げる者、家族と抱き合いながら涙を流し、無意識に感動を煽るもので瞬く間に溢れかえった。


 私は思う。


 理不尽な絶望なんて、この世界にはいらない。


 私は思い出す。


 昨日までいた惨めで不条理な世界での出来事を。


 もう、誰も不条理な目に合わせない。


 そうして、私は周りを気にせず、南西に向かって走り出した。


 (この気配、恐らくは南西に門があって、そこにあの怪物がいる。)


✷✷✷


「この街も成す術なしか、、、」


 一人の怪我をした衛兵が、怪物に高台から弓矢で狙撃しながら呟く。


「おい、誰か使いに向かって行くぞ。」

隣りにいた衛兵が言う。


「何!? だめだ。すぐに避難させろ!!!」


「できない!! 近付くと更に被害が増えるかもしれない! あれは人を取り込んで強力化するのを忘れたのか!!!?」


 私はその会話をよそに、使いの前に立ちはだかる。


 なんだろう。


 衛兵も住民も必死になっているのに、私にはその怪物の攻撃が効かない。


 翼からの棘を攻撃に使うみたいだけど、確かに私は攻撃を食らっているはず。


 怪物の鋭利な棘と爪が、胴体に貫通しているはずなのに、傷がつくとか痛いとかはやはりないけれど、全く触った感じもないし。


 この円盤360°口なのね。


 私はまじまじと観察してしまった。


 そして、しばらく観察した後、私は再び我に帰る。


「おっといけない。 この終焉の使いとか言う怪物が私の事を無視し始めたら、街が壊されちゃう。」


 次の刹那、私の脳内に戦闘方法と思わしき2つの項目が浮かび上がる。


 1つ目は次元除外、

そして、2つ目は絶対移動か。


 説明もあるみたい。


 次元除外はこの次元そのものにおいて、対象を完全消滅させる。


 絶対移動は自身の任意か、もしくは非常時に自動発生し、0秒に満たない時間で行動を可能にする。


 結局、どちらも頻繁に使ったらまた世界が退屈になりそうな技で草。


 今は非常時なので、実験も兼ねて試してみることにした。


 「えっと、こうかな。」


 私は軽く意識を使いに集中させる。


 それと同時、私の手の平からターコイズブルーの光の塊が放たれた。


 そして、その光に照らされた使いが赤ん坊のような泣き声を上げながら、


 姿が薄くなっていき、


 その瞬間を意識する間もなく、


 この次元から跡形も無く消滅した。


✷✷✷


 「え、これだけ?」


 私がそう間抜けなことを言った数秒後、さっきまで使いと戦闘をしていた衛兵達が姿を現す。


 「あれは、お前、いや、あなた様がやったのですか?」


 兜が外れ、長い髪が露わになった衛兵が、一人私に唖然として話しかけた。


 「えっと、まあ、一様ね。」

 私もよくわからなかった。


 「まさか、伝説は本当だったのか。

だとしたら、あなたはこの世界を救うための希望かもしれない!!」


 続く

次回、どういうことか分からない。

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