表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もしも願いが叶うなら〜No pain, no life〜  作者: 月影弧夜見
最終章:The World is Fantastic
82/88

最終決戦 Ⅲ 〜送別〜

「……そう、こなくっちゃ」


 俺を見つめるサナの顔は、どこか安堵に包まれたように穏やかだった。さっきまで、あれほど言い争いをしていたとは思えないほどに。


「とりあえず……どうすればいい。まさか歩いてあっちまで行くわけじゃないだろ?」


「そりゃあもちろん!……何のための魔法だと思ってるのよ、何のための———私だと思ってるのよ!」


 信頼の眼差し。そう言い切れるほどに、サナの目は澄んでいた。



 ———と。


「アレ…………おい、サナ、そこに……いるのって……」


 サナの影に隠れていてずっと見えなかったが、そこに……男がいる。


「………………言っておらんかったな、白……とやらよ」


 その顔は……そうだ、実はあまり見たくなかった顔だった。


「人界……王…………?」


 そうだ。人界王、ユダレイ・……なんとか。

 何でここにいるんだ、と言わんばかりの顔になっているだろう、今の俺は。


「あーーーーもう、状況を説明するのが面倒くさいっ!


 とりあえず……もう行くわよ!」


「は? 行く? いやいや待て待て、何で人界王なんかがここにいるんだって———」


 ———そんな顔に見惚れていて2秒。俺たちの周りを、眩い光が覆い始める。

 ……そうか、コレは……転移魔術?


「……行くのよ。世界を救いにね」




◇◇◇◇◇◇◇◇


 突如俺たちの周りを囲んだ眩い光。それらが霧散してゆく中、俺たちはついに『ソレ(暗黒)』の目の前に来たんだなと気がついた。


「お、おお…………っ」


 ここはどこか? と聞かれたら、大穴の島だってことはすぐに答えられる。


 ……だが、その大穴はどこだ?



「……さて、作戦会議、しましょっか」


「今?! ここに来てようやく作戦会議なのかよ?!


 ……つか、コレどうなってんだ……なんかもう、本当に何も見えねえ……っ」


 本当に『暗黒』に塗れていた。月のない夜、と言うのはこんな感じなのかと思うほどに、あまりの暗さに絶句してしまうほどでもあった。



 ……だが、その暗黒の中でも、一際異彩を放つ暗黒が一つ。

 それが———今俺たちの正面にそびえている、巨大なナニかの『影』であった。



「で、作戦説明ってのがね……まず、白がポイントaで待機して……


 ああ、ポイントaって……どうしよう、どう伝えるべきかな……」

  

 サナの表情に焦りの色が見え始める。……オイ、まさかできないって言うんじゃないだろうな。


「本当はこのポイントaから何回か動いてほしいんだけどそもそもそのポイントaがどこか分かんなくて〜〜っっ」


 ……今度は自分で自分の髪を乱し始めた。どんだけイライラしてるんだよ。


「ああ〜もうっ! 作戦なんて知らないっ!

 白、とりあえずあなたは戦って!!」


「ええ〜〜……」


 ここに来て、なんかあそこまで意味深なこと言っといて作戦計画ガン無視かよ……


「…………ま……いいか……


 その方が俺だって……やりやすいかもしれない」


 サナはあくまで戦ってと口にした。……だったら、決められた場所にいるなんてごめんだ。縦横無尽に戦場を駆け巡って、思うままに刀を振るう。それが俺だ。


「もう簡単に説明するから、色々とよ〜く聞いてて! ハイそこに正座!」


「は、はい……?」


 何で正座させられたのか分からない。説教じゃないだろ、コレって?

 ……しかも地べたなので、石が食い込んで痛いんだが。


「とりあえず白にやってほしいのは、ヤツ———あの『呪い』の気を引いてほしい、ただそれだけ。


 今から、私はとある魔法術式の展開準備に入る。……その間は、まあ色々と隙だらけだから、そこを白にカバーしてほしかったわけ。


 ……ガラにもなく作戦とか立てるんじゃなかったわね、軍隊行動じゃあるまいし」


 なるほど、それは例の2年間、魔導大隊として戦ってきた時のクセか、と納得できた。


 とりあえず俺は、ただ戦えばいいと。……あまりにも巨大なヤツに対してどう戦うか……なんてのは、後手後手で行こうと十分に考えられる話だ。


 結局、また俺は頑張るだけ、か……


「……ああ。やってやる。

 結局、いつも通りやるだけだ。楽勝さ。今の俺は、魔王にだって打ち勝ってみせたんだから」


 こちらを見つめる、サナの顔が変わる。

 期待———それと共に、「いかないで」と今にも言わんばかりの、複雑さを孕んだ表情に。



「白———、」


「…………大丈夫だ。

 絶対に、戻ってくるさ」


 きっぱりと。その顔を正面から見つめて、言い切ってみせた。

 その瞬間、サナはそっと微笑み、



「じゃあ、………………うん。




 …………責任、とってよね」


「ああ、分かった。


 ……約束するさ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ