Side-other:『 Ⅱ 』の目覚め
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そして、舞台は人界軍王都へと移り変わる。
「現実存在強度、極端に低下…………魔力濃度急速反転…………大穴方面よりの呪力……いったいなぜ……」
この事態には、もはやコックと言えど困惑する他なかった。
「……わからないの?……この事態の、真相」
「ええ……今分かるのは———そうですね。
今現在、世界の中心たる大穴からは、あまりに大量の呪力が吹き出しています。
この量ともなると、この世界そのものに向けられたものであると推測できますが……いったい何のために?」
「………………とりあえず、放っておいたらヤバいってこと?」
「世界が滅びます」
あまりにもあっさりとコックは言い切ってみせたが、サナはその事実についていけなかった。
———何せ、彼女たちは魔王軍との戦いを終えたばかり。機巧天使であり、かつ最後の方は休んでいたコックはともかく、サナはずっと戦いっぱなしだったのだ。
「うそ……でしょ、もう……魔力なんて、残ってない…………のに……」
「まあ……でも、ここに関してもサナ様に頑張ってもらいますよ?」
「はあ?!?!?!?!」
「起こすのですよ、奇跡を。
私には起こせない———そう、人類だからこそ起こせる奇跡を……私は信じていますから」
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そして、再度オリュンポス内にて。
……そう、この騒ぎを巻き起こしたのは間違いなく、元魔王軍幹部、『ダークナイト』であり。
元殺生院、現ゴルゴダ機関の長、である『刹那』でもあった。
『プランB……まさか貴様、軍神アレスの死体を……この呪力反応……大穴か……っ!』
オリュンポスの主神、ゼウスすらも、このプランの進行については全くの予想外だった。
「もちろん。使えるものは全て使わせてもらいます」
『しかし、ここまでの呪いをどうやって貴様は……』
そう、世界中から降り注ぐ『呪い』であった。
「もうすぐにして、災厄の、呪詛の神は完成する。古き戦いにて散った軍神と、雑兵の腐った命。
そして先程散った魔王が———いえ、アベルがいつか置いてきた恨みの感情を以て。
散ったオーディンに代わる新たな一柱、そしてエターナルの完全遂行の為に」
『我が同胞を……貴様……っ!』
大穴。魔王軍幹部、リーの死体が眠るその中にて。
「現在進行中の———戦争で散った怨念」、「大戦末期に死した軍神アレスの死体」。
そしてそのカミを構成するに必要不可欠なマテリアルとして、「いつかの魔王が、アベル・セイバーが置いてきた、救世主としての怨み」。
この3つを基盤とし、今ここに、新たなるカミを生み出す呪術式が完成しようとしていた。
だからこそのプランB。
カミのもたらす呪いが、この世界を救うのだ。
———がしかし、その救いは歪なものであり。
もし白たちがコレを知ろうものなら、絶対に止めに来るほどのものでもあり。
「歌え、破滅を。踊れ、終末の2番手よ。
人類は、古き人類と時代は今日をもって、そのカタチごと終末へと向かう!!!!」
魔王軍幹部に仕掛けておいた呪術式は発動した。魔王が死んだ段階にて、コレが引き起こされるのは確定事項であった。
だからこそ、これは救世主に課せられたもう一つの試練。
———そして、『Ⅱ』の目覚め。
『終末』は、すぐ、そこに———。




