魂vs魂
「さあ……もう一度来やがれっ!
遠くから魔法撃ってれば勝てるとでも思ったか、この俺にっ!」
『矮小の割にはどこまでもほざくものだっ!』
———俺の自殺宣言通り、ヤツは来る。
第一神話……とか言うやつと同じだ、光り輝く聖槍、魔槍を手に向かい来る。
やっと、か。
やっとヤツも、本気を出してくれるか……!
『塵芥に消えよっ!』
来る。スピードは変わらない、ならばおそらくパワーが違う。
いくら前と変わらないとは言えど、元のままでもついていけるかいけないか……気なんて抜けるような相手じゃない。
———だからこそ、全身全霊をかけて戦う。
まず極ノ項は使わない。あまり自覚できていないが、今の俺の負担はすでに限界に達している。もし使うにしても、1秒程度が限界だと分かる。
———が、1秒使えるなら上出来だ。その1秒に全てを賭ける。それでいいだろ。
「ふんっああっ!」
魔力の閃光が、俺のすぐ横を擦って行く。
擦って行く———ものの、本当に掠っただけでも死ぬ。
「ぜえああああっ!」
振りかざされる聖槍。もう何度神威で弾いたか、数えることすら面倒だ。
何の想いも抱いていないというのに、お前の武器はなぜそこまで輝いているのか。
「まだだっ、まだぁっ!」
2撃、3撃、4撃。
例え1撃弾いたとて、『そんなもので終わりか?』と言わんばかりに次撃がやってくる。
しかしあっちとしてはあまりにも流動的だ。
アレだけのものを何度振り回して、何度魔力放出をしようと、ヤツの体に変化はなし。初めから戦ってなどいませんでした、と言わんばかりに。
アレだけの衝撃、人間にとっては耐え難いものであろう。つまりアレも全て、己が魔力とそれを応用した魔術でフォローされている。
魔力切れ———なんてものを待っていては、こっちが先に殺される。時間稼ぎはかえって無意味、自分が死ぬまでの時間を稼ぐことになる。
———ならばこそ、短期決戦だ。
「っぐ、あぐぅぅぅぅっ!」
魔王の一撃、ガイア・コンソールを弾く度に、この身体は悲鳴を上げる。
———いいや、体も、剣も。
この脳髄から、骨の随———筋肉の一端から刀の芯に至るまで、俺の中のありとあらゆる全てに響き渡り、そしてソレが悲鳴を上げる。
その末に出た声は———自分で聞いていても惨めなものだった。
しかし空中戦はまずい。
何がまずいって、俺の魔力が保たない点だ。
浮遊法———黒に教えてもらったソレのおかげで、俺は何とかこの空中でも命を繋いでいる。
ただ魔力が尽きれば、まあ色々と終わりだ。浮遊法が解けた瞬間、あっちは俺の落下する偏差をも狙って攻撃を繰り出してくる。
地上に降りたい、だがしかし降りるには直撃必須。死ぬしかないじゃねえか。
『———落ちてきたな、剣筋が!』
「まだまだぁ! お前なんかに負けてたまるかよぉぉぉぉっ!」
……っ、どんだけ能力で負けてようと、関係ねえ……!
この気持ちだけは———負けちゃならねえ!
そうだ、その想いが、俺の剣なのだから!
流せ、流せ、流れろ!
1撃2撃3撃、何度でも連続で受け流せ!
———そうか。無理矢理だが、ずっと流し続ければいつかは地に落ちる。
ならば好都合だ、この体が保つ限り、ずっと流し続けて———、
『そうか。
ならば、別の手を使うまでだ』
……アレ? 攻撃が……終わった?
体が、落ちる。何の攻撃も流さなくて良くなったため、無抵抗のまま、そして何のアクションもないままに、ただ風に揺られ落ちてゆく。
その呆気なさに一瞬、「ハッ」と呆れたような笑いが溢れる。いいや、諦めというより———、
『我が至高にして最強の必殺奥義。それこそ創世天地/開闢神話ではある。
———が、余の奥義、それはもう一つ存在する』
風に揺られながら、ただヤツの話を聞くばかり。そうだ、このようにずっとコイツに流されてしかいない。
つまり、半ば諦めだ。
『貴様らの使用する『魔法』とやらだが、あのようなものは魔法ではない。
たかが上位魔術を、貴様らは何故『魔法』と呼ぶのか。そもそも何を以てソレを『魔法』と断じたのか。それは余には分からぬが———、
だが、冥土の土産だ。『魔術』の祖たる余が、直々に見せてやろう。
本当の『魔法』とやらを』




