惑星の鼓動、乖離せし地の理
吹き荒れる魔力の奔流。既にできかかった『異界』はその影を潜め、今度はまたもや巨大な魔力の渦が発生していた。
———その中心。銀河の中心とも呼べるようなその中に、ヤツはいる。
既に捉えられている。何もしなくとも死ぬし、中途半端に抗っても死ぬしかない。
どうするべきか、何をするべきか、何ができるのか。その全てを考え、ヤツに対する策を立てる。
———結果、そんなものはないと分かったのはすぐのことだった。
もはや搦手など使えるわけも、通じるわけもない。あの圧倒的にして絶対的な絶望の前には、ただ力のみが全て、力のみが正義としか言いようがないほどだった。
敵は銀河。もはや魔王の、人間だった魔族のカタチすら捨て去った滅亡の化身。
———ならば、やはり。
消し飛ばす以外に、道はない。
「———突・」
刀を引く。
リーチ……射程範囲など既に意味を為さない。この創世概念武装、神威の前に、如何なるものも貫かれるしかないからだ。
「五十三連撃、一極集中」
引かれた刀に、魔力が溜まってゆくのを感じる。
———神威。五十三連の斬撃を同時に与えることによって、概念防護をも貫通する事象飽和を生み出せるもの。
前に……神防アイギスの前には破られたものではあるが、あの時は攻対防。
がしかし、こと今回に至っては攻対攻。ヤツが防御特化のものではないというのならば、そのエネルギー諸共貫き通せるはずだ。
———つまり。
「ここで、決める」
背水の陣、極ノ項、脚、手ノ項並列接続使用、開始。
「———っっ!!」
██████。
脳を白いノイズが犯す。
予█以上に、さっきの負担は大█かったよ█だ。
落█ゆく風、その██が、今の俺にとっ█は弾丸に思██くる。
それほ█の感覚過敏。原█は全て極ノ項だった。
「…………突・」
———がしかし、█の思考だけは維█してみせる。
思█出せ、技の一瞬。技の█挙一動、薄█かけた記憶から呼び覚ませ。
落ちゆく風に、その身を委ねて———、
「爆———」
……放った。
放った。きっと、放ったはずなんだ。
しかしその時———いいや、その2秒くらい前に、ヤツは既に手を打っていた。
何より、言い終えられていなかった。
技は完遂に移らず、途中で、中途半端のまま放たれた。
その状況で放たれた五十三連撃。もはや、何物も貫く矛とは呼べぬ代物であったのだ。
故に———押し負けた。
中から全てを犯すノイズは聞こえてこない。極ノ項は解除された。そう、俺自身がそのように無意識に仕向けたのだ。
何故か?……あまりにも、ダメージを受けすぎた。
今の俺はそう、押し負けたガイア・コンソールとやらの魔力の渦中にいる。
死ぬ。このままじゃ、そんな思考を持つ前に体が消え落ちる。
だがしかし、この状況への対抗策など思いつくはずもなく。
「死———、」
『終わってもいいのか、アレン』
この……声、は……
『……もう、終わるの?
贖罪は果たせたの? 救世主としての責任は?
貴方は本当に、ここで終わってもいいの?』
イデア……いや、サナの声……?
『白さん。白さん、白さん!
まだ……まだ、貴方は死ねないはず、そうでしょう!
僕が護ったものを、継いだんじゃなかったんですか?!』
……いや、アイツらがここにいるわけはない。
この声は幻想だ。俺が作り出した、妄想に過ぎないのかもしれない。
———それでも。
『マスター。まだ、終われはしないはずです……!』
それでも。俺の中に聞こえるこの声が、俺が紡いできた絆の数々であり———。
———そして、未だ倒れられない理由でもあった。
「まだ…………っ、終われるかよおおおおおおおっ!!!!」




