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もしも願いが叶うなら〜No pain, no life〜  作者: 月影弧夜見
第10章:激震! 勇魔最終戦争!
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災厄の幕開け

 フン、章初めだ、この俺が前回までのあらすじを解説してやろう(byイデア)


 前章、前々章に比べれば、まあ幾分か短くはなっているだろうから、気楽に見ていくがいい。


 機巧天使との出会いを果たし、無事に仲間に引き入れることができた俺たち、ワンダーショウタイムは、黒騎士の討伐報酬を受け取りに王都にまで赴いた。


 アレン……白と、サナ……さんは、久しぶりの王都の空気に触れつつ、俺たちのパーティ登録を済ませて、次は王城へと足を進める。


 王城で出会ったのは、新たに近衛騎士団長に就任したレイとの再会であった。……俺との面識はないのだが、どうやら前にアレ……白と殺し合った仲らしい。


 それから、いざ報酬金を貰うと言う場面になり、乱入者———壊し屋軍団「カーネイジ」の長、クラッシャーが登場。


 その実力を前にするも、俺たちは一度クラッシャーを撃退することに成功する。……が、数日後再度クラッシャーは来襲。警戒を強めていた俺たちは、人界軍総出でカーネイジとの戦いに挑んだのだ。


 決戦の最中、コックが戦闘不能に陥り、サナが殺されてしまう。それを目の当たりにした白は激昂———己が神技を覚醒させ、その力を以て再度クラッシャーを退けた。


 ———しかしサナは戻らない。そんな現実を嘆いた白は願い、そして……白の神技の影響だろうか、サナは蘇生し、事態は(一応)収まった、と言う流れだ。



 だがまあしかし、疑問点は多い。自らを『死んだことになっている』と称した魔王軍幹部、ダークナイトの来訪。


 そして、白の神技の真実。なぜサナは蘇生できたのか。『ザ・オールマイティ』とは何なのか。……まあ、この俺様は若干知ってはいるが、ここでは語らないでおいてやる。


 最後はクラッシャーの行方、だが……

 まあ、これに関しては白が失念しているだけだ、 どうせいつか()()が回ってくる。


 ……こう言うのは、特に最悪なタイミングで———な。

「……お喜びのところ悪いんですけど……最悪のお知らせが……」




 ———なお。


 せっかくのお祝いムードをぶち壊してまで、センの口から語られた話の内容は、皆が皆驚愕せずにはいられないモノだった。



◆◇◆◇◆◇◆◇

 


 戦いが終わり数時間。ずっと泣いているわけにもいかなかったらしい。

 戦いが始まった頃には登ったばかりの太陽が、既に天頂を過ぎた頃。

 王城内部にて。



 俺たちは、とりあえずこなした問題よりも、更に強大な問題に直面していた。


「……それで、飛行中に、こちらに向かって全軍進行中の魔王軍を確認。僕の村の住民は、僕の祖父含め全員を……とりあえずは運んできました。ですが……」



 魔王軍が、いよいよ本格的に動き始めたそうだ。

 なぜこのタイミングなのか———そんなのはあっちにしか分からない、どっちにしろこちらにとって最悪な状況なのは確かだ。



「ある程度の村は、もう既に魔王軍に攻め込まれている、か」


「それより、一番ヤバいのがここ、王都よ。ここが陥落したら人類は終わり。文字通り最後の砦」


 俺たちは感傷に浸る時間すら貰えず、迫り来る魔王軍の魔の手をどう回避するかを模索していた。が。


「それにしても……全世界に宣戦布告……って、トランスフィールド、帝都オリュンポスにまでやるつもりだっての?! そんな事したら、文字通り終末戦争の二の舞に……」


 ……もう、もう……お前には戦ってほしくはないんだがな、サナ。


「……でも、ダークナイトがそれを口にしたって事は……」


 ———だけど、俺は戦う。

 この身に流れる救世主の血がそうさせるのか。そんなものは知らないが、それでもこの世界が壊れると言うのなら———俺だけは抗ってみせる。


「なるほどな、マジでやるつもりだな、魔王は。止める方法は思いつかないか、コック?」


「おそらく、全世界に宣戦布告をするとすれば、『ガイア・コンソール』の使用も考えられます。


 魔王の持つ、天に対する『地』の創世概念武装。この星、地球そのものの力。『創世天地/開闢神話(ガイア・コンソール)』。


 はっきり言ってこれを止める方法など、ないに等しい……かと」


 ———は? 何つった?

 この星、地球そのものの力? それって、魔王のこんな行いを、この星そのものが肯定してるってわけか?


 ……てか、何でそんなもん知ってるんだよコックは。



「全世界の混乱、衝突は避けられない、と。西大陸だけの問題じゃないって事か……」


 ———全世界が揺らぐ、か……

 俺もトランスフィールドとかには疎いし、そもそもあそこの文化はほぼ誰も知らない。西大陸とは違う隔絶された土地、ぐらいにしか思ってなかった。


 そことも、戦う……か?



「それよりも王、ユダレイ王よ、この王都はこのままでよろしいのですか?」


 かしこまったサナが質問する。


「このまま……この王都は変形したりはせんぞ」


「……いいえ、今この場にいる、機巧天使の魔力量であれば、王都全体を持ち上げる事が可能かと。それで、どうされますか、ユダレイ王よ」


「ええっ、私ですか?……あぁいや、マスターが無事でいられるというのなら、別に何でも……」


 そうか。コックの使う魔術は色々と規格外だ。場合によれば例の転移魔術だってできるかもしれない。


「魔王軍との初期激突が避けられるというのならそれに越した事はない。


 聞く限り世界中の激突だ、確実に長期戦へと持ち越されるだろう。魔王を倒さない限りは」


 王の深刻な表情とその声に、場にいた者全てが不安を感じる。


 いつもは強がっている兄さんでさえ、この異常事態、世界規模の戦争の幕開けを前にして、その足が怯んでいたのも分かる。







「……それで、白さんには魔王を倒し、事態の収束を図ってもらいたいんです。その為に、これを」


「コレ……何?」


 センから手渡されたのは、白の甲冑……というより胸当てのみの鎧……だが。


 その胸のところには、水を模した円状の模様。その真ん中に、取っ手のようなものが突き刺さっていた。


「アルビオン・プロテクト・アーマー。


 アベル・セイバーなる、神域に達した魔術師が、ここより遠い次元に存在する『円卓の騎士』なるものに関する概念を刻んだ、憑依式概念防護兼概念武装。


 僕がさっき着てたアレを、白色にもう1回塗り直しただけです」


「……なるほど、全く分からんがすごいんだな?」


 遠い次元……円卓……何言ってんだこいつ?


「……はい、しかし、コレの運用にはもう少し調整が必要で、コレの調整が終わり次第、白さんには魔王を討伐しに行ってもらいます。


 それまで、僕たちは何としてでも時間を稼ぎます」


「1人で行けと?」

「はい、事実上は。助けはないと思っておいてください」


 ———まあ、魔王城まではおそらくかなり遠いしな。


 もう迷いはない。

 正真正銘、最終決戦。

 ここで終わらせなきゃ、どこでやるってんだ。

 固く決意を締めていざ、魔王城へ———、






 ……ってわけにもいかなかった。


「マスター! 警告です、超巨大高密度高圧の魔力の層を確認……!


 その数……33基?! 何にせよ、これらは全てガイア・コンソール、並びにその亜種と推測されます!


 ……一撃で星の裂け目を開けるほどなのに、ここまで大規模な数で攻めて来るなんて……!」


 コックの言い出した事実———それは、限りない絶望の始まりでもあった。


 ……33? さんじゅうさん? 聞き間違えじゃ? ないよな?




「私にも分かる。あれだけ距離が離れていても、ここまで巨大ならば、嫌でもわかる……!」


「魔力の層、それぞれが魔槍へと変化……斜角を変え、たった今発射されて……目標地点計算……ここにも1基、来ます!


 アレは……先程言った、 創世天地/開闢神話(ガイア・コンソール)……その亜種です!」



 魔力の層……サナでさえもこんな反応を示すってことは、それは相当なものなんだろうか……?!


「嘘だろ?!」


「何か方法は……」


「…………時空間固定式浮遊法(仮)、起動……ここまで大がかりなのは久しぶり……です……!


 ガイア・コンソール亜種は西大陸に11個、東大陸に22個墜落予定……おそらく、地上は何1つ残りません、まだタイムリミットはございます! 何か心残りは……!」




 心残り———?



「…………ジャンおじさん……が。ジェーンさんも、この王都にはいないよな……?」


「ええ、いない、いないわ、この王都には……!」




「……行くぞ」

「正気、白?」


 サナの手を掴み、すぐさま駆け出す。

 王城より走り出し、浮かび上がった王都の下へと落下する。


「ええええちょっとちょっと待ってぇぇぇっ!」


「もう発射されたんだ、急がないと後がないだろ! お前はジェーンさんの方に行ってこい!」

「あ…………うん!」


 少しばかり後方には、地面ごとくり抜かれ浮かび上がり始めていた王都が。

 城壁も含めた地面が浮かび上がっていたが、いつそれらは崩壊してもおかしくないぐらいに傾いていた。



「…………それにしても白、戻って来られると……思うわけ……?」


「戻ってみせるさ。俺が魔王をやらなきゃ、誰がやるって言うんだ」


「……分かった。死なないで、白」






◆◇◆◇◆◇◆◇




 今までにないほどフルスピードで飛び立ち、すぐさまジャンおじさんの……昔の家に到着する。


 浮遊法が、まさかここまで活躍する日が来るとは思わなんだ。戦闘中のテクニックも、案外普通に使えるもんだ。






 ドアを開けると、懐かしい匂い。

 が、今はそんなものに構っている場合じゃない。




「おじさん、いるか? 俺だよ、白だ! いるならすぐに出てきてくれっ!」


「おーう、ちょっと待っとれー、今お菓子を用意……」

「そんな事はいいから! 早く来てくれ!」


 呑気にやっている場合じゃない。





「早く来てくれおじさん!! このままだと死ぬ……だから早く……!」


「死ぬ……まあ、何かあったんだろうが、とりあえず菓子を……」


「違う……違う、ここにいたら死ぬんだ、だから早くここから……」




「あの強大な魔力の事じゃろ? わしも昔は魔導大隊だったもんだから、そんなもんは分かる」





「……なら何で!」


「ここまで住んできた家を捨てたくはないと思ってな、わしはここから離れる気はない。


 行くなら1人で行け。わしはもう既にお前を送り出したはずじゃ」


「だからって、目の前で見捨てろと……?」


 ……いいや、許していい訳ないだろ、そんなの……!

 一体全体、何のためにここまで来たと思ってるんだ……!




「……もういい、何がなんでも……連れてく……!」


 家の中に土足で上がり込み、キッチンからおじさんを引きずり出す。


「まあ、お前なら、そうすると思っとったわい。……全く、こんな老いぼれを助けるために命を張りおって」


「大切な人、だから。おじさんは」


「その中途半端な甘さが足を引っ張ることもあるのだというのに……」




「……ごめん、もう既に引っ張られた後だ、おじさん」

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