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もしも願いが叶うなら〜No pain, no life〜  作者: 月影弧夜見
第9章:カーネイジ・クライシス・クラッシャー(CCC)
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Side-コック/白:『鍵』の真価/終結

********


 信じ…………られませんでした。



 サナ様の上に乗っかってまで、その顔を見つめ続けた我がマスター。


 ……いえ、そのマスターが氷漬けにされた———そんな些細でくだらないことは、まあまだ冗談のノリとして流せるのでよいのです。



 ただ———やはり、おかしい。

 何がおかしいかと言われると、サナ様がその目を覚まされたことです。




 …………サナ様は、もう既に()()()()()

 その事実は、サナ様の魂を覗き続けた(コック)だからこそ、分かることです。


 つまり問題は、『誰がどのようにして、サナ様を蘇生させたか』———コレに尽きます。


 ……この場において、その方法を持つ者は———私が知る限り、ただ一人しか存在しない。



 我がマスター、白様———『アレン・セイバー』が所有する神技(ジル)にして、大穴の島を開くための『鍵』。




『ザ・オールマイティ』。


 そう、私も使おうとしていた……はずのものです。

 ソレが所有する権能は……そう。『アースリアクターへのアクセス許可券』と言えば正しいのでしょうか。



 アースリアクターは、大穴の島に存在するこの星の『核』。人の集合無意識にして、願いを叶える願望器としても作用するもの。



 1000年前、この星の全て、そして全ての知的生命体を巻き込んだ最終戦争『終末戦争』。

 その戦争の終結条件の一つが、アレでした。


『オールマイティによって、何者かが願いを叶えること』。元々終末戦争は、オールマイティの奪い合いだったとも記録しています。


 ……コレを覚えていられたのが幸いでしたか。


 ———故に、マスターが所有している神技には、『願いを叶える為の道』を開けるような効力があると言うわけです。


 その影響か、誰がそのように願ったのか———。そんなもの、たった一人しかいないはずです。


 そう、マスターは『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()』……ということ、としか思えません。


 元々、オールマイティはアースリアクターとワンセット。故にコレ以外思いつくわけもなく。




 ……でも、そうですか。マスター。

 貴方の本当に叶えたかった願いは、そこにあったのですね。



 ———私の出る幕は、ない……と。




********



 氷漬けにされた。

 アレほどの熾烈な戦いを切り抜けた()に贈られたのは、その事実だけだった。



 ———でも、まあ。


『……でぇ、何しようとしてたわけ?』


 ———あぁ。

 今、俺の目の前で……元気に動いているお前が見れて、嬉しい。


 その事実が、その奇跡が、たまらなく嬉しくって。



 コレが……そうか、俺にとってのかけがえのないものだったのか。


『………………はい』


 心底不機嫌そうながら、目を逸らしつつサナがそう呟いた直後、俺を覆っていた氷は溶けて無くなった。



「っ、はあ……」


 覆い被さった姿勢はそのまま。故に、俺もサナも、互いの顔を直視することになる。


『んな、何よ……一体。

 ……いや、私も…………その、気が付いたらここにいて、気が付いたらその……こうなってたわけだけど……


 ええっ、何々、何で何も言わないの?! 何、ホントにキスでもするの、ねえ!』



 ———ああ、もう。

 何でそんなに恥ずかしそうな顔、するんだよ。

 こっちはあんなに心配してたってのに、その心配がバカみたいじゃないか。


 でも……そうだ。その顔は……


「き、れい…………だな」


 思わず口に出てしまった。


『ひゃあ?!?! ななななな何言ってんの白?!』


「あ、いや……その、だな…………

 〜〜ああもうっ! お前、自分がどうなったか分かってて言ってんのか?!」


『どう…………なって………………あ。



 そう、だ、私……貫かれて……』



 ようやく……思い出したか。


『えっでも傷……アレ?! 何で傷が……なくって……?』


 何で傷が無くなったのか。どうしてサナが蘇ったのか。そんなもの、俺は知らないし、知るよしはない。


「……サナ」


『はい……へ? な、何……?』



「………………っ」



 あ〜……あーあーあー。

 言え。言えよ、今しかないだろ。


『生きていてありがとう、これからも一緒に生きていけたらいいです』つって。


 ……それは……まあ、事実上のプロポーズだろ。



 ———でも、それは……まだ、俺なんか早くって……

 



「俺……な、あの…………その……っ、」


『……ほえ?』




 ———いや。いや、いい。

 今は……そうだ。それだけだ。今の想いを吐き出せれば、それでいい。


「サナ…………っ、生きていてくれて…………ありがとうっ!」


『は、はあ……って待っ———!』


 


 その胸に抱きつきたかった。

 ずっと、そうしたかったが故に———本当に抱きついた。


『ちょ、ちょちょちょ待って待って待ってよお! いきなり抱きつくとか……てか重い、重い重いしっ!』


「ああ……その、ごめん……今、離れる」


 そう言って姿勢を起こした瞬間、今度はあっちから引っ張られた。


「んおっ……?!」


『……どうする?』



「どう…………するって、何が」



『……まだ……私の顔を見つめたいか……って、聞いてるのよ』



「ああ………………うん。

 そうだよ……ずっと……見つめて……いたいんだよっ!


 …………っぐ、うう……っ、みっともない、みっともねえよな、こんなことで泣いて……っ!」


 今度は2人、座り込んだまま。

 それでももう一度、俺はサナの胸に抱きついた。


『その、色々と心配かけて……ごめんなさい』


「いや……いいや、いいんだよ、お前が生きててくれた、それだけで…………それだけでいいんだよ……!!」


『……今日はずっと、このまま?』


「ああ、このままで……いさせてくれ……」




 ———その胸の中で泣けることが、喜べることが、どれだけ幸せか。

 今日よりずっと前に、その価値はわかっていたつもりだった。

 でも、今日のおかげでようやく掴めたんだ。






 ———ありがとう、俺の隣にいてくれて。

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