表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もしも願いが叶うなら〜No pain, no life〜  作者: 月影弧夜見
第9章:カーネイジ・クライシス・クラッシャー(CCC)
58/88

Side-イデア:カラクリ

********

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 時は少し遡り、イデアの視点へ。




「…………で、なぜキサマが来た? この俺様を、キサマ如き雑兵で止められるとでも思ったか?」


「でへへへへへ……イデア・セイバー……お前の存在は聞いているぞ!


 魔王軍に媚び売って力を手に入れた、卑怯者だとな……でへへへへへ……!!」


「……ふん。キサマは俺のことを全く分かっちゃいない様子だな……


 デカいだけの脳なしめ……その無駄にデカい頭で、少しは言葉遣いに気をつけたらどうなんだ?」


 対峙。

 相対していたのは。


 カーネイジ、その幹部的立場に位置する魔族。


「…………全く、下品だが犬の糞みたいな色してやがるぜ、体の色から品がないヤツだ。おまけに服も着てやがらねえ。そんな体格で恥ずかしくないのか?」


 ……と言う通り、黄土色にして、イボのついたその巨体が特徴的な、ゴブリンの魔族であった。

 衣服は着ていない。……羞恥という概念が存在しないのであろうか。



「ふざけるなよ~、たかが人間如きに罵倒されてムカつかないほど、オデは寛大じゃねえぞ、残念だったなあ!」

「……来るか? その巨体だと、両断するのもさぞ簡単だろうな」





 瞬間、その足が踏み出される、が。

 既にそこに、そのゴブリンの影はなく。


「一瞬で、後悔する間もなく両断して…………っ?!」


「ふっ!」



 早かった。

 まさか、まさかこの俺では見切れなかった、とでも言うのか、今のコイツの、ただの突進が……!


「の……お……あ……!」


 次の瞬間、目の前にゴブリンが出現する。

 あまりの激突。

 いくらこの俺でも、流石によろけるほどのパワー。


 し……しかし、迂闊だった……こんなヤツにこれほどの速さが……?!


「でへへへへへ……お前はオデには勝てねえ……へへ……」


「な、なんだと~っっ!! この俺が、キサマのようなブタに……遅れをとるなど……!」


 再度、刀を構える。

 見切る、見切れるはずだ、今の俺様になら……!

 アレン相手にも優勢だったこの俺だ、負けるはずがないんだ、こんな雑魚に……!



「…………来いよ、貴様如き、次に来た瞬間殺して…………っふ……あああっ!!」


 腹に重い一撃。

 思わず吐血。

 赤い、どこまでも赤黒い血の塊が地面へと吸い込まれる。



「な、なぜだ……! なぜこの俺が……キサマなんぞに……!」

「でへへ、お前、見かけによらず、弱いな……!」




 なぜ……?

 なぜ見切れない……?

 速すぎる、のか?


 いやでも、そんなはずはない。

 確かに、ヤツの走り出し……そこまでは見える……そこ「まで」は。


 問題はその後だ。

 まるで、この前のアレンの如く、たったの0秒でその場から消えてなくなった、と言っても差し支えのない動き。


 速い……いや、もはやそのような次元じゃない……のか……?


「…………か…………ふっ……うっ!」


 追撃。

 やはり、やはりヤツは、攻撃の瞬間、たったその瞬間だけ消えている。

 だがなぜ? 

 原理は? 

 何を用いて? 

 どのように?


 条件は? 

 そもそもそれはなんだ?

 魔術式か?

 それとも神技か?


 ……だめだ、今の俺の実力じゃあ神力探知は不可能、ならば、ならばどう調べる……?


「でへへへへ~、お遊びはここで終わり、次で本当に終わりだ……へへへへ……」




 ……来る。

 踏み出した、走り出した、しかし、ここまでの数撃、ヤツは前からのみしか攻撃していない。


 ……という事は……賭けだが、前のみの防御に徹してみるか……!



 その姿が消えた瞬間。

 下に目を向けると、赤い何か、まるで血のように赤い、2つの円状の「何か」が移動していた。


 そして。


「……でああっ……へへへへ……」


 決まった……?

 走り出して、ヤツの姿が消えて1秒後、前に突き出した刀に感触。


 瞬間、目の前に現れたゴブリン。

 赤い「何か」のあった場所に出現した、ゴブリンの「足」。




 そうか。姿が見えなくなる、その意味がようやく掴めてきた。


 楽勝じゃないか、こんなカラクリ。見破れば、それはもう「強敵」として意味を成さない。


 大体この俺様が馬鹿だった、突然のことに焦り、冷静さを欠いていた。


 こんなもの、魔力を探知すれば簡単に防げるじゃないか。

 ……なぜならば、ヤツは『攻撃する瞬間、透明になっている』だけなのだから。




「……ふん、雑魚め、超能力———()()頼りとは情けないヤツだ」


「オデに勝った気でいるのか……?」

「当たり前だ。次で必ず、キサマを追いつめる」

「でへへ……できると……いいな!」


 また、その巨体は消えるも。

 やはりどうしても、その血痕、つまるところ俺が地に吐いた血痕は、消せなかったみたい……だな!



「…………ふ……ぅ……」


 腹にまともに一発もらう。

 ……が、目標は達成した。


「あで……これは……血?!」


 そう、わざと攻撃を受け、吐血し、その血をヤツに浴びせること。

 そうすれば、透明になる小賢しい技も使えまい……!


「追いつめたぞ、誰も次でキサマを倒すなどとは……口にしちゃいないからなあ!!」


 姿勢を低くし。

 大きく、それでいて無駄のない姿勢で、腰を落としながら地を踏みつける。


 いくら透明になろうと、今ならば確実に、完全に姿が視認できる……!


「お遊びは終わりだ……今度はキサマが……終わる番だ……!」

「で…………あ…………!」




 やはり、肉というものはこうも斬りやすく、こうも斬っていて気持ちのいい、ものなのか。



「終わりだ、糞ブタ野郎。……キサマ如き、余興にすらなるまいっ!」


 


 声すら上げず、その巨体は両断される。

 いくらその厚い肉も、その内に芯として残っている骨さえも———我が偽造神威の前には意味を為さない。


 ……地面をその汚い血なんぞで汚しやがって、どこまでも邪魔なヤツだ。


 さて、これから俺はどこに向かおうか、それを考えた直後———。




『………イデア、少し……レイちゃんの方を手伝ってくれない……かしら』


「…………ああ?!」



 唐突に、俺の頭の中に声が響いた———!!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ