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もしも願いが叶うなら〜No pain, no life〜  作者: 月影弧夜見
第9章:カーネイジ・クライシス・クラッシャー(CCC)
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出陣

 ———斬り伏せる。

 全て、全て。

 勝つ為に。

 生きる為に。


 疾風の如く走り抜け、通過した瞬間に斬り落とす。敵が人間であろうと魔族であろうと関係ない、全て斬り落とすのみだ。……それが、()()()()()



 飛び散る血飛沫。舞い散る肉片。


 足を滑らせないように、それらに当たらないように避けながら。

 踊るように、岩だらけの地面を走り抜く。


 見上げれば、赤い雨。

 血の雨、肉の雨、怨嗟の雨。


 だが、そんなものは気にしない。

 弱さは捨てた。過去の自分は捨てた。


 全て、完全に、吹っ切れた。





 ……でも、やっぱりどこか怖い。

 二千兵戦争の時、俺を襲った衝動。アレに駆られると、もはや眼前の敵の見境がつかなくなる。



 そうなれば。




 ———何もかも。命の価値を噛み締めることすらせず、ただ全てを嬲り、殺し、流れ作業で人を斬る機械と化す。



 ……それが、怖いんだ。変わらないが。





 ———瞬間。

 刃が止まった。




「……案外、呆気なかったな」


「素晴らしいじゃないか、下等生物の癖に」


 ……クラッシャー。

 俺たちの、敵だ。



「どうだ、今なら俺たちの仲間にしてやってもいいぞ? お前は見所がありそうだからなぁ」


「……何だと?」


「俺たちと過ごすのは楽しいぜェ、奪いたきゃ奪い、殺したきゃ殺す。俺たちにとってこれ以上の悦楽があるか?」




 もう既に、自身の刀はヤツの眼前まで近づいており。

 それを視認したクラッシャーは驚いた様子だった。

 だがそこに、怯えの目はなく。


「怖いなあ、人斬り。そんなすぐに、呆気なく今まで殺してきたのかよ?」


「……減らず口を叩くその首を、今すぐ断ち切ってやってもいいんだぞ……っ!」

「やれるもんならなァ?」


 一瞬にして、クラッシャーの右腕に鉄が集まる。




「概念武装神威、起動」


 閃光が走る。


 一瞬にして両断される鉄クズ。

 しかし、その刃は、クラッシャーの腕には届いておらず。


「くたばれえッ!!」


 後ろに3本、直上に1本、鉄の針。

 感覚を研ぎ澄ます。



「背水の陣」


 空気の流れから、その攻撃パターン、スピードを予測。

 ……ならば避けつつ、ヤツに接近するのみ。




「『メタル・ファウンデーション』っ!」


 ……っ?

 何かピリッとして……


 じわじわと滲み出てくるエネルギー反応。

 ……潜伏式……極限まで小さくし、そのエネルギーを一気に放出するつもりか……?


「針地獄だぜェッ! 基礎から全てを崩す!」


 地殻は破られ、無数の金属の針が飛び出す。

 その数、およそ千以上。


 とりあえず浮遊した……はいいが、この後どうする……?



 ヤツの能力は、『金属を操る能力』ってとこ……なんだろうが……

 コックからあらかじめ聞いていたが、ここまで厄介とは……!







「……ハッ」


 ……横…右、左、後ろ……いつのまにか囲まれている……!


 無数の浮遊した金属の針。

 少しでも動けば、その針はこちらに一直線。

 ……なるほど、浮遊法はかえってアウトという訳か……!



 クラッシュ(爆発魔術)でも使えば……いや、でも接触寸前にどうやって……?


 そもそも針は、神力だか魔力だか知らないが、時空間固定浮遊法にて完全に浮遊している。衝撃で吹き飛ぶとも考えにくい。


 ……まずい、まずい意外とまずい、今世紀最大にまずい気がする。

 だがしかし、やはりこの方法しか思い浮かばない。


「強行突破だ……!」


 針が刃の間合いに入ってこちらに激突するまでの約0.2秒間。

 その時間のみで、その針を両断してみせる。



 確実に。

 目標は1つに絞る。

 その為、他の針に当たる事ないように、決めた針に突進しなければならない。


 それも考慮に入れると、やはり斬れる時間はわずか0.2秒。

 それでも……!


 迫り来る剛鉄。

 死すらも、一瞬横切ったが。





「両断……成功……!」


 眼前にあった針にのみ集中し、そのまま両断。針を構成していた鉄は力無く落下していった。

 ……だが。


「突撃……だーーーっ!!」


 既に飛び出した自身の身体を止める事はできず。


「真上から来るか……!」


 上から……斬り落とす!

 




 しかし、一瞬にして構築された鉄のカーテンによって視界が遮られる。


「ッハア! 鉄のゴミ溜めの中に閉じこもってろ!」


「ちくしょう……っ、出てきやがれーーっ!」







********




 一方その頃、白を鉄の球体に閉じ込めたクラッシャー本人は、もはや白に見向きもしていなかった。



 それもそのはず、昔攻め込んだ時とは違い、カーネイジの方が劣勢になっているからだ。



「魔導大隊……あの下等生物共の集まりが……善戦している……?」



 その光景とは、必死に魔導大隊が城壁の上から魔術を放っている姿が。

 ……今になって、まだ城壁すら突破できていないのかと、憤りを見せる。



「……背後部隊はどうした」


 倒れ伏しているが、まだ息があるカーネイジ団員に話しかける。


 背後部隊、その名の通り遠回りして敵を背後から叩く部隊。

 この攻城戦においては必要不可欠な人材だが。


「全滅……魔導大隊に全て……やられました……」


「何だと……何だと、その不始末は!」


「お……おやめください……せめて命だけは……!」


「うるさい、動けないというのなら死ね、役立たずめが……!」


 クラッシャーは左手に集まった鉄塊でその男を押し潰し、トドメを刺す。

 ……が、ここからはやはり。


「俺の出番か……!」


 クラッシャーは地を踏み出し、急ぎ戦渦へと向かう。


「……へへ、廃墟と化した王城に、お前の惨めな墓を建ててやる、人界王ユダレイ……!」

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