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もしも願いが叶うなら〜No pain, no life〜  作者: 月影弧夜見
第3章:緋色のカミ( Ⅰ )/救世主(セイバー)
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幹部襲来Ⅱ

「……あ……ここは……」



 昨日と同じ(かのような)木の天井。

 横には、目を瞑り仰向けになって寝ているサナと……立ち尽くし、心配そうに俺たちを見つめている老人が。



 とりあえず身体を起こし、横にいる老人に問いかける。



「えっと……貴方は一体誰……ですか?」


「私はこの村の村長を務めております、ゲインと言う者でございます。まずはこの前の件に感謝しておかなければなりません。


 この度は……魔王軍に襲われていた私達の村を救っていただき、本当にありがとうございました」


 ……人界王とは違い、自分の地位に驕らず礼儀正しいいい人だなと一目で思った。




「ああ、いえいえ、どういたしまして。ところで……なぜ俺たちはここに……?」


「まさか記憶がお有りでないのですか?! 貴方達2人は村の道で気を失って倒れておられたのですよ」


「あっ……あ、あーーなるほど、全部思い出しました」



 ……くだらないプライドに身を任せ気絶してしまった事を。




「こちらこそありがとうございます、わざわざここまで運んでくれて」


「いいんですよ、村の英雄ですから。ところで白さんとやら、最近噂の2つ目の太陽についてご存じですか?」


「2つ目の……太陽……??」


 太陽……ってえと()()()()()の事だろうが……それが2つ?


 確かにお天道さんが照ることは別にダメな事じゃないし、むしろ俺は()()()()()()()()気がするのだが……



「そうです、貴方達がスライムを倒した翌日現れ、ここら一帯の温度を上げ続けているもう1つの太陽」



「2つ目の太陽なんて物は……聞いた事がないですね……」


「そうですか……何か貴方達と関係があるものと踏んでいましたから……」


 2つ目の太陽か……もしかして、あんなに熱いと思い続けていた理由も……!




「あの、その2つ目の太陽って夜でもずっと照ってるんですか?」


「そう、普段夜の時間帯でもここ最近は気温が上がり続けているのです」


 ……待った、それって今すぐにでも解決しなきゃいけない課題じゃね??




「何かしらの対処とかしてみたんですか?」


「2つ目の太陽はここから北西に2キロの地点にあり、実は2日前に人界軍の生き残りが調査をしに行ったのですが……」


「行ったけど……?」




「あまりの熱さに調査を断念して帰って来てしまったのです。しかしその際、太陽の真下に卵が見えたと報告されており、それが原因ではないかとも踏んでいます」


「卵……もしかしたら、もしかしたらですけど、ドラゴン……だったりして……」


「ドラゴン、ですか?」


「えっと……昔聞いた事があるだけなんですけど、ファイアドラゴンは卵を産んだ後、卵の上に留まり、子の誕生を見守るって習性があるらしくて、もしかしたらそれが……」


 おじさんから聞かせてもらった知識をここぞとばかりにひけらかす。正直俺もなんでこんなこと覚えてたのか全くもってわからないが。





「なるほど! 流石勇者様ですな!!……ところで、一度村を救っていただきながらこんな事言うのはおこがましい事だと重々承知しております。ですが……」


「俺たちにその太陽の排除を……依頼したいと?」


「……そうです。もちろん報酬は弾みます」





 ……どうしよう、俺はもうこれ以上面倒事に巻き込まれたくないんだけど……隣で寝ている(サナ)がなーーー……


『行くしかないでしょ! みんな困ってるんだし、相性のいい氷魔法を使えるのは私だけなんだし!!』



 ……なんて事言い出しかねないし、

 それに……『師匠の夢』もあるし。



「……分かりました。太陽の排除を約束します」


 できる自信はないけど、できる根拠もないけど、そもそも氷魔法と炎属性って相性いいか分かんないけど。

 結局承諾してしまった。




 




 それから少し経った後。


「……あ、あれ……ここはどこ……?」


 ようやくサナが起きてくれた。


「サナ! 起きたばっかしで悪いが新しい任務に行くぞ!」




「……え? 何何新しい任務って?! あ、村長さんおはようございます」


「おはようございます、勇者様」


「それで白、新しい任務ってなんなの??」





 2つ目の太陽について話す。


「……なんでそんなもの受けたのよ!!」


「……いやだって……サナって困ってる人を見過ごせない性格だと思ったから、それを見越して……」



「いやよ!! 死にたくないもの!! 行きたくないわよ!!!!」






 ……へ? なんか言ってる事矛盾してて支離滅裂になってないか??



「だ……だって、あのでっかいスライムは、倒すって言ったじゃんか!! 生き残った人たちも見捨てたくないって!!」


「あれは……ちょっと昔の事を思い出して気が変わっただけ! それにあの状況じゃ、スライムを倒す以外にみんな生き残れる道はなかったからよ!!


 それに対して今回は? 今のうちに村を捨てて逃げればみんな助かるじゃない!!」






「そうか……そう考えてたのか……すまん、完全に判断ミスだった……でも……もう受注しちゃったし、さ?」



「報酬は弾みますのでどうか……お願いいたします……」


「……分かったわよ、ようは2つ目の太陽を氷漬けにすればいいんでしょ?…………私に任せなさい」





◇◇◇◇◇◇◇◇



 とは言ったものの。村より北西に約1.8キロ地点。


「……なあ、これ本当に俺に氷魔術かけてくれてるのか? あまりにも熱すぎるぞ!!」


「いや、私の氷魔術でもかき消せないくらいの熱波だわ……多分生身で近づいたら……死ぬ……つーか今もう死にそう!!」


 そこでの俺たち2人は、熱さに悶え苦しんでいた!



「んで……太陽見えてきたけど……よく見たらドラゴンね」


「え、お前あの太陽見えんの?」


 眩し過ぎて、直視でもしたら目が破裂しそうなほどの輝きを放つ太陽(ソレ)を、サナはドラゴンだと断定した。




「見えるわよ、あの太陽よく見たら丸まってるドラゴンじゃない。ドラゴンなんて幻想種、滅多に見つからないのに、こんなにすぐ発見できるなんて思ってもいなかったわ」


「……で、あれ氷魔法とかで凍らせれそう?」


「……正直言って分からないわ。やってみなきゃね」





「じゃあ……お願いします……」


「あら、私だけやるような雰囲気だけど白も貢献するのよ?」


「どうやって?!」


 そもそもアレに近づいたら……多分俺の身体は蒸発して跡形も無くなっちまうだろうしな。



「そりゃあもちろん、氷漬けにした後白が斬って終わらせるんだから」

「……なるほど……斬れる様に頑張ります……」




「アイスストーム!」


 サナは杖を振りかざしながら叫ぶ。すると、太陽のそばに水色の竜巻が巻き起こる。


「これで少しくらいは凍りついてもらわないと、もう手の出しようが……あれ?」




「どういう事だ。全く凍ってないぞ。むしろ……!」






『貴様か! 我の眠りを妨げる者は!!』


 威厳のある声が辺りに響く。


「なあサナ。ドラゴンって……喋るのか?」

「わっかんないけど……喋るんじゃない? 知らないけど!」




『我は()()()()()、インフェルノドラゴンのフェイである! 我は寛大だ。今引き返すと言うのなら何もしないでおいてやろう……』



 オイオイ嘘だろ、魔王軍幹部ってたまーにそこら辺に落ちてるレメル金貨と同じくらい出現頻度高いのか?!


 ……ふつーありえないだろ!! どーやったら短期間でこんなに何体も幹部と出くわすんだよ!!



「だってよサナ、今すぐ帰った方が……」


「何言ってんの?! お前なんて、私の凍結魔法にかかればちょちょいのちょいよ! 私がお前を倒して、ありったけの報酬をもらうんだから!!」





 ……何言ってんの?!


『そうか、我に向かってくると。では死ぬが良い!! 地獄の業火に包まれながらゆっくりと、な!!』


 ドラゴンはあからさまに今から炎吐きますよ~と言わんばかりに口を上に上げ、魔力を溜め始める。




 魔力の流動と共にあちらへと向かう風が、少しばかり頬を撫でる。……とても心地いいものではなかった。



 ……同時に、魔王軍幹部の魔気……『瘴気』が、その場の草木やほとんどを腐らせて走り去っていったが。



「なあ、アレどうやって勝てってんだ?!」

「もちろん、氷魔法で押し切るだけよ!! 錬成(ビギンズ)———!」



『塵芥となり灰燼へ帰すがよい!!…………え?』



 ドラゴンが口を突き出した瞬間。


 その体は、ざっくりと両断された。



 そう、ざっくり。

 文字通り。見ても分かるほどの一刀両断。



「え、何? 何が起こったの??」

「いや、俺も分かんない」



 見事なまでの血飛沫を上げながら、ドラゴンは断末魔を上げる間も無く2つに別れ堕ちてゆく。



 その直下には。

 古ぼけた茶色のローブを纏った、黒髪の刀士が1人、佇んでいた。

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