勉強会と気づかなかった問題
簿記試験も終わり、期末試験の勉強会をやろうと考える輪太郎たち。
しかし、話しているうちに、気づいていなかった問題に気づく。
簿記の資格試験が8日に終わり、開けて6月の9日。
ついに期末試験の試験範囲の公開が始まった。
このままいくと11日の水曜から試験期間に突入し、来週の18、19日には期末試験の本番になる。
なんというか、入学以来、テスト連発だなあ、今年は。
まあ、簿記の資格試験を間にはさんでしまった自業自得といえば自業自得なんだけど。
それにしても、こう続くとやっぱりうんざりしてしまう。
他のことで気分転換がしたいところだ。
中学校で気分転換となると、部活、委員会活動、クラブ活動といろいろ種類が浮かぶところだが、どれもまだ時期が悪い。
美術部はまだ活動が始まったばかりで、単純作業が中心だ。
デッサンや油絵の下絵の構図検討が中心で、たまに油絵の道具の使い方を学ぶくらい。
どっちかというと、合間に行われる人間関係の構築のほうが中心という緩さである。
まあ、懐かしい男友達連中とはもう仲いいし、気持ち苦手な女子部員たちとも話してさえいればそれなりには仲良くはなれる。
ただ、まだ俺以外は探り探りであるのは否めず、まだまだ関係は硬い時期だ。
俺自身も踏み込みすぎないように気を付けているレベルである。
これでは作業に熱中することも、友達と羽目を外すこともできない。
図書委員会も大差ない。
当番自体は18日に1回しか回ってこない(委員の人数が9クラスかける男女1人づつなのでこうなる)うえに、順番はクラスに準じて後半だからなあ。
もちろんそれ以外にも図書館通いはしているよ。金を出さずに本が読めるとか天国だからね。
ただ、前世で一度、卒業までに図書館の主な本は全部読みつくしているんだよな。
忘れてしまったものも多いし、何度読み返しても面白い本も多いけど、読んでると、あ、これもう読まなくていい本だったやつってなる本もまあまあある。
なろうでスコップしすぎてて、新作のつもりで読んでたら、実はすでに掘ってた読むのをあきらめた作品だった時みたいなショックがある。
時間の無駄だった……って感じ。
まあ、前世で過ごした50年のせいで見方が変わった本とかも何冊かあったので、一応最後までは読むようにしているが、やっぱりダメって奴も多いな。
こればっかりは仕方ないと思ってるが。
クラブ活動のパソコンクラブはまだまだキータイプの練習が中心だ。
と言っても、パソコンの台数が少ないので一人一人が練習できる時間は少ない。
さらに俺は初回でタッチタイプできることを見せてしまったので、できないメンバーよりもっと練習時間が短くなって涙目である。
はっきり言って、週に一度のクラブ活動は完全に落書きタイムと化してしまっている。
ちなみに、見ててつらいのは、パソコンを使えない時間のキー入力ができない民の練習方法だ。
B4の用紙にPC-9801のキーボードのキーの並びを印刷して孔版印刷機で複製した奴を使って、エアーでキー入力の練習をしなくちゃならんのである。
これはつらい。見てるのもつらい。苦笑いを止められない。
せめて、使われていない職員室のパソコンからキーボードだけでも借りてきて練習させたらどうかと思うのだが、壊れたりするとまずいということで教頭に却下されたそうだ。
キーボードなんて、壊れるまで使ってなんぼだし、そう簡単に壊れるものでもないと思うんだがなあ。
このままのペースだと、そろそろ自力でのキータイプをあきらめる奴が出てきそうだ。
まあ、タッチタイプできる民のFM-77AVを持ってる彼とか、俺とか俺はみんながそうなるのを待っている状態だったりする。
だってすることないんだもん。
このままいくと、学校で学ぶ前に自宅で一太郎の使い方を思い出してしまう公算大である。
かつては一度使ってたわけだから、思い出すだけでいいわけで、操作ができるようになるのに時間はかかるまい。
このままだとなにかうまく立ち回って別の形で触れるようにしない限りは、このクラブ活動はハズレだったなあ、ってなりそうだ。
せめて我が家にパソコンがそろった後であれば、お互いのパソコンを見せあうという建前でFM-77AVを持ってる彼と仲良くなることもできるのだろうが……。
今のところの俺は、何故かタッチタイプができるパソコン持ってない民扱いだからなあ。
辛いところだ。
と言ったわけで、時間はあるけど気分は変わらないという微妙な感じである。
まあ、パソコンが触れる時間を確保しないといけないので、期末テストについても手を抜くわけにはいかないのだが。
なにしろ、1学期期末の成績が悪いと夏休みの使用時間が丸ごと短くなってしまうわけで、それはまずい。
そう言ったわけで、今日もしこしこ期末試験の勉強を繰り返す俺なのであった。まる。
「リンタロー、もう、取り急ぎの作業はないんだよな?
それじゃ、俺んちで勉強会しねえ?」
俺にそう言ったのはいつものヒロシである。
場所は例によって昼休みの図書館前。飯食った後の休憩時間だ。
それに相乗りするサトル。
「いいね。学年2位に指導してもらえば僕らの成績もあがるんじゃない?」
「いや、勉強教えるのはいいけどさ。
いつやんの?平日は無理だろ?」
「ゆっくりやるなら15日の日曜がいいっしょ。
学習範囲は全員同じだし、親に言っとけば、休憩時間のお菓子くらいは出してもらえると思うぞ。」
「20日のことがあるのに大丈夫なの?」
「これは勉強会。20日のことはテスト終わりの打ち上げ会。問題ないぞ。」
「ってか、2人ともクラスメイトとは人間関係作んなくていいの?
もう6月だけど。」
「伊水小学校出身者が幅を利かせててやりづらいんだよ。
陰キャ連中とはいえ露骨に下に見やがって。うちの小学校出身者も田舎者扱いだぜ?
隣町同士で言い合う内容かよ。同じ年なんだから仲良くやれってんだ。
まあ、おかげで陰キャ連中とうちの小学校出身者はまとまってるんだが。」
「僕は何人か友達できたけど、2人ほどじゃないね。
女の子に絡まれるのがめんどくさくって。」
「サトルはうちの小学校の頃から女性人気あったじゃん。
小さくてかわいいって言ってた連中、結構いたぞ?」
「えーっ、そうなの?面倒くさい。
変な構い方してくるの姉ちゃんだけでも、もて余してるんだけど。」
「その割には裕子ちゃんには気がある雰囲気だったじゃん」
「いや、変な扱いしてこない相手ならきちんとした友達扱いはするでしょ。
好き嫌いとかまだよくわからないし。
いい脚してたし、姉さんよりはずっといい、くらいだったからなあ。
僕はまだ当面男友達と絵だけあればいいよ。」
「それももったいない気もするがなあ。」
「リンタローは?」
「うーん、クラスメイトよりは先輩とのほうが仲いいかなあ。
図書委員も美術部も先輩で仲いい人が居て、同学年の友達も作りかけ、くらいだもんなあ。
正直、簿記のテスト終わるまで勉強で忙しかったから。」
「それ、一番大事な時に友達作れてないぞ。
まあ、お前の場合、学年2位ってところに続けて勉強してたから遠巻きにされてるだけの気もするけど。
人の心配する前にお前のほうが先に友達作らないとならないんじゃね?」
「うーん、今気づいたとこなんだよ。
よく考えてみると6月だっていうのに話し相手ばっかりで友達は作れてないかも。」
「ん-そうだ。
全員勉強会に1人は友達連れてくるってことにしねえ?
連れてこれなかったら罰ゲームで。」
「うわ、ヒド。
露骨に俺いじめじゃん。」
「友達なんて、普段話してる相手がいるなら楽勝でしょ。
最悪、同じ小学校時代の友達連れてきてもいいんだしさ。
お前なら学年2位って武器あるんだし。
勉強会きっかけで仲良くなってもいいじゃん」
「初見が友達の友達んちって腰引けねえ?会ったことない奴んちで勉強会って行きにくいと思うんだけど。
せめて図書館とか、公民館とかさ」
「図書館って勉強するにしても喋ってちゃダメな場所だろ。教えあうのは難しくね?
公民館は……借りれはするけど有料だろ?」
「だったら、おやつ持ち寄ってリンタローんちでやろうよ。
勉強会なんだし、遊び道具を気にする必要はないんだしさ。
金ちゃんに話は聞いてるけど、クリスマスの活動発表の時のおじさん見てる限り、さすがに勉強会を邪魔はしないでしょ。
そろそろ友達連れてくるくらいは試してもよくない?」
「うわ、サトルも乗り気なの?」
「われらがリーダーなんだから、友達いないのはダメでしょ。
そりゃ友達100人とは言わないからさ。」
「そんなに友達居ても相手しきれないでしょ。しかもリーダーって言われてもねえ……。」
「リンタロー居ないとソフトは作れないじゃん。
全体的な作業の割り振りとかもリンタローがやってるし。
実質リーダーじゃない?」
「まあ、実質的にはそうかもなあ。
俺もサトルもリーダー向きじゃないし。消去法でリーダーでいいんじゃね?
で、今回はリーダーんちで勉強会ね。友達1人も決定で!」
「消去法はともかく、1人も確定?ホントに?」
「友達作るのサボってたのが悪い。
泣きつけば誰か1人くらい付き合ってくれるだろ?
ちょっとくらい弱点があるほうが可愛げあるって」
「はあ、解ったよ。
場所の件は親に相談してみる。それでOKなら確定で。
友達1人は~最悪、同じ小学校の奴でも良かったんだよね。
しかたない、頑張ってみる。」
うーん、なんてこった。
どこかから勉強会に来てくれる人を探さなきゃならないのか。
消去法で行くと委員会からは多分無理。同じクラスで委員会の子は女子1人だけだし、同学年の男子の委員ってことにすると、一緒の班にならないので接点がない。
2学期以降なら当番相手がシャッフルされるので状況も変わってくるだろうけど、今回はむりかなあ。
美術部の男子だと、山元君か北村君。彼らならサトルとかぶってなければ来てくれるかもしれない。まあ、ちょっと可能性はある。
あとはパソコンクラブか。
パソコンクラブにもクラスメイトは一人もいない。というか、全員クラスバラバラっぽいし、俺を含めて陰キャの集まりだ。
その中から1人だけ、というのは、逆に結構難しいかもしれない。6人全員誘うほうがまだ楽な気がする。
こう考えると、今生の俺、クラスメイトと縁のない活動ばっかりしすぎじゃない?
うーん、でも、クラブ活動以外は前の人生と同じ選択しかしてないんだよな。
だったら、状況的には前の人生からこんな感じだったんだっけ?
なんか、前世ではもうちょっとクラスメイトといろいろやってたような……。
あ、そうかあ、ヒロシやサトルと遊ぶ頻度が上がってるのと、勉強に力入れすぎたのが原因か……。
言われるまで気づいてなかったけど、確かにこれは改善しておかないと厄介かも。
よし。せっかくの機会だし、クラスでの人間関係、もうちょい築いてみようか。
皆様、いつもご愛顧いただきましてありがとうございます。
最近やっと、1日のPVが500前後で推移するようになりました。
つたないうえに若い子置いてけぼりの内容の作品ですのにこんなにたくさんご覧いただいてるのが夢のようです。
ましてや、いいねやブックマーク、感想などがこんなに頂けるなど、三文作者には驚き以外ありません。
たいへん更新の励みとなっております。
今後も引き続きお読みいただけ、お気に召していただけましたら感想をいただけますと幸いです。
さて、例によって月末のご連絡です。
来週月曜より月初に入りますので、1日月曜から1週間お休みをいただく予定です。
よほど仕事でトラブらない限り、次回投稿は7月8日から更新再開を予定しています。
しばらくの間、投稿間隔が開いてしまいご迷惑をおかけしますが、次回投稿までお待ちいただけると幸いです。




