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最初の賞金

ついに賞金を受け取った輪太郎たち。

賞金の使い道と、提案された改修案についての相談をするのでした。

賞金の10万円が俺の通帳に振り込まれたのは翌週の木曜日だった。

早速、うちの母上様の音頭で3人の通帳が記帳され、木曜日のうちに全員の通帳に入金が行われていることが確認された。

まあ、10万と言っても源泉徴収が引かれるので実際にはおよそ9万円。

明細が火曜日には先に届いていたので、金額面での問題は無いものとされた。

この事実は母の手紙により工学社へ伝えられる事になった。


これでやっと最初の賞金が手元へと届いた計算である。

正直なところ、最初は10万から家計への支出なども検討していたのだが、それを言ったら親に切れられたので、その後蒸し返すようなことはしていない。

なんでも「そういうのは働き出してから考えろ。学生のうちは上りを巻き上げられる心配はしなくてよろしい」らしい。

それに伴い、9万円は俺が必要になるまでそのまま貯金しておくことが宣言され、勝手に定期預金に振り込まれたりもしないことが再確認された。


とは言え、使うときは親に相談してから、と言われているので、完全にフリーハンドという事でもないのだろう。


同様の話は高木君と木村君のうちでも行われたことと思うが、どうだったのだろうか。

さすがにそこまでは突っ込んで聞いてはいない。

そこは家ごとの考え方もあるだろうからね。


ただ、高木君はとりあえずは貯金と言ってたのに対し、木村君が露骨に新しいパソコンの皮算用をしてたのが印象的だった。


なんでも、NECのPC-8801シリーズの廉価版ラインの mkII FRが欲しいらしい。

彼の場合、現在のパソコンがMSX1なので、何を買っても性能は上になる。

スプライトなどを含めた正統後継機種ならMSX2のマシンになるのだろうが、可能なら御三家のマシンがほしいと、そう考えたらしい。

確かにそう考えるとMkII FRのFDD無しモデルが10万というのは魅力的だ。

確定申告まで待てば残りの1万円も戻ってくるはずなので、時間さえ待てばすぐにでも手が届く。

FRのモデル10にはデータレコーダー用インターフェースが付いているから、買ってすぐMSXと同じ使い方が出来るのはデカいだろう。


だがその選択はいばらの道だ。

この時代のパソコンの場合、新しい機種を選ぶなら、その機種であることを前提にして考えた方がよい。

NECのパソコンを選ぶなら最低でも1台、可能なら2台のフロッピーディスクを備えた機種がいい。

FRはSR以降のモデルなので、ゲーム類に関する互換性も悪くない。

プレイできないソフトもあるが、ごくまれってレベルだ。

にもかかわらずフロッピーディスクが無いモデルを選ぶのはちょっともったいなさすぎだろう。


俺ならば待つ。

あるいは、死ぬ気で親を説得するか、急いでゲームを投稿して金を稼ぐ線もあるな。

最低でも4万、可能なら7万の投資を呼び込めれば、FD付きの機種が買える

中学生には高いハードルだが、あるのとないのではその後に天と地ほどの差がでてしまう。


どちらにしろ、もともと買えるのは確定申告後だ。

だったら、盆正月のお小遣いを貯めるなり、親を口説いてバイトするなり、期日までに金を増やす挑戦は可能だろう。

そのうえで考えてもいいと思うのだが……。

とはいえ、買えそうなマシンがあって、悪くない機種だと想像するのが楽しいのはよくわかる。

今も、あーでもないこうでもないとプランを考えて迷っている。


まあ、解るけどね。迷うのが楽しいの。

俺も自分のパソコンが手に入るのを待っているしね。



話は変わるが、工学社からの提案の「わたれ!」の改修案の話である。

高木君と木村君に話したところ、思いのほか感触がいい。

もう少し変更に難色を示すかと思ったのだが、2人は修正について前向きであった。


「実在する施設や地名をそのまま使うのが問題につながるとは思わなかった。」


「ゲームのボリューム自体は確かにもう少しあったほうがいいかもしれない」


「せっかくプロのご意見をもらえたので、それに合わせて修正してみてもいいのでは?」


こんな感じである。

もちろん、言ってた通り2人に異論がないのであれば修正版を作るのはやぶさかでない。

ただし、中間試験と簿記のテストが完了するまでは着手できないので、2人にはそれを伝え、工学社へもその旨手紙をしたためることにした。


何しろ俺にとってはパソコンが手に入るかどうかの瀬戸際である。

余計な面倒は引き受けていられないからね。



とはいえ、俺が作業できない間、高木君……いけねえ、ヒロシって呼ばなきゃな、と木村君……サトルが何もできないというのは彼らにとっても苦痛らしい。

それじゃあ、ということで、先行して出来る事だけやってもらうことにした。


ヒロシについては、新しいゲームタイトルの決定と、マップを増やすための敵パターンの案出し。

サトルについてはディフォルメを効かせた架空の学校の絵を描いてもらうのと、その上に乗る新タイトルのロゴ起こしをお願いした。


今の「わたれ!」の障害物の車には、長さと速度しか違いが無い。

サクっと終われる難易度にするためにそうしたのだが、マップ数を増やすならもっとパターンが必要だ。

それも、それなりにインパクトのある障害物の方がいい。


超長いトレーラーの間に数秒だけ開く隙間があって、そこを突破しなければならないだとか、超巨大な車が1台走ってくるので、それがマップを埋めるまでに渡り切らないといけないとか、そういうインパクトである。

ヒロシにはそうしたアイディアをひねり出してもらう。


もちろん、全部ひとりで考えろという事ではない。

良いものを思いついたら俺やサトルもアイディアを出すことは伝えている。

ただ、主力となるのはヒロシで、彼のアイディアをさらに煮詰めてゲームにしようと、まあそういう事だ。

マップの数をどこまで増やせるかはヒロシ次第ということだな。


また、サトルについても、今回はイラストを描くだけじゃない。

方眼紙に原画を起こしてドット絵にするところまでお願いしている。


本来は専用ツールを使いたいところだが、今回まではお絵かきソフトを作ってる時間が無い。

それに、本人のやる気がすごくて、やれることを増やしたいようなのだ。

そういうわけで、今回は方眼紙への落とし込みまでお願いすることにした。


まあ最悪、細かいところはこちらで微調整できるから、失敗してもフォローは効くしね。


そういうわけで、今の俺は中間試験と簿記検定の試験準備に専念している状況である。



その中間試験の勉強だが、実は思ったより範囲が狭くて困っている。

なにしろ、中学校の授業範囲、特に1学期の中間試験の範囲というやつはもともとそれほど広くない。

一学期は入学直後のイベント類もあるし、ゴールデンウィークも入ってくる。

したがって、1年生の中間試験の範囲も狭くなるわけだ。


おかげで、気合を入れて始めた勉強があっと間に終わってしまった。

念のため範囲を取って数学あたりは教科書の1/3くらいまで進めているが、どう考えても範囲が広すぎる。

確実に期末試験部分までまとめて勉強してしまっている気がする。


何しろ、一回目の人生で一度やっている内容である。

計算ミスや記憶違いがあっても間違いなく8割は取れる内容だ。

それを頑張って9割5部以上に上げようというのであるから、勉強内容についてもダメ押し的な内容が多い。

時間的にはもっと余裕をもって勉強しても十分足りるくらいだ。


まあ、もう始めてしまったことだし、パソコンという目の前の餌がおいしすぎるので、猿のようにハイペースでダメ押しを続けているわけだが。


これで足りない可能性があるとすれば、教科書以外から出題されるパターン位か。

でも、これも教科書が既に整理済みなので、出てくるようならすぐにわかる。

まあ、そこまでしなくても、義務教育の範囲だからね。

最低限の点を取らせるためにテストに出るところは必ず補足してくれるだろうが。



というわけで、勉強時間はやや余り気味だ。

徒歩通学のせいで余分に時間がかかっているのだが、勉強時間が余る為、トータルで使える時間がむしろプラスなんて状態にすらなっている。

何しろ、まだ部活はあったりなかったりだ。

部活が無い日は授業が6時間でも帰宅は4時30分。有ってもプラス1時間というところ。

そこから翌日の授業分の予習が1時間かからないのだ。ダメ押しに1時間使っても2時間である。

食事を食べて、風呂に入って、後は暇な時間となると、寝るまでに3時間は時間が余る。


仕方ないので、勉強自体を食後に回して、機動戦士ガンダムZZを見たり。

逆に勉強を先にやって宇宙船サジタリウスを見たり、時空戦士スピルバンを見たり、めぞん一刻をみたりと懐かしアニメ・特撮をリアタイ三昧である。

このころはまだ親父が野球にはまる前で、あんまりTVを見ていなかったのでできることだが、それでも正直天国だ。

思い出補正を感じることも無いではないが、それはそれとして楽しめるのが大人ってもんだ。

ぜひとも親父にはこのまま温所で洋ランを育て続けてほしいと思う今日この頃である。

まあ、それでも2時間は余裕で余るんだけどな。


え? じゃあ余った時間はどうするか? 結局中間試験の駄目を押すか、疲れた日は早めに寝るかで過ごしている。

力入れすぎな気もするが、まあ、成績がいい分には文句もないわけだしな。


この時代に来て、感じたことだが、学生時代ってホントに緩いな。

社会人になってからのことを考えると本当に天国だ。

これだから日本って何歳になっても学生時代を舞台にした話が受け続けるんじゃないの? とか思う今日この頃である。


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