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ぼくらは友達。

宴会の中、次回作を検討する輪太郎達。

とりあえず、次回作は決まりませんが、お互いの呼び方だけは決まりそうです。

受賞が決まった日の夜。

おれたち3人の家族全員がうちに集まって合同での祝勝会をすることになった。

3家族、15人が集まる大宴会である。

3人以外の子供たちは洋間に集められ、3人のお母さんたちの手料理と鉢盛とを洋間で食べることに。

俺たち3人と親たちは二間続きの和室で祝勝会である。


いつの間にか頼まれた仕出し屋の鉢盛にビールと日本酒、焼酎が並ぶ。

俺たち子供陣はそういうわけにも行かないのでジュースで宴会になるが、酒の肴にいろんな会話が乱れ飛ぶ。


とりあえず賞金は3等分して10万づつ分けること、

10万は当人のお金にするが、無駄遣いが無いよう用途については親に相談して使うこと。

今後も時間を見てゲームなどを作成することが取り決められた。


「せっかく入賞できるような作品が作れたんだから、その才能を生かさないのはもったいない」ということらしい。

とはいえ本業は勉強なので、そこで手を抜くようならパソコンを取り上げるというのは父親3人共通のご意見だったが。


賞金などの取り扱いについては、明日父から編集部に問い合わせをかけることになった。

こういう時、教師というのは社会的信用があって素晴らしい。

父曰く、お金でもめないよう、最初から3か所に振り込んでもらうよう交渉するので、子供の通帳の口座番号を教えてほしいとのこと。

宴会が終わった後に、酒を飲んでいない母親たちが通帳を持ってきて教えあうことで話が決まった。


あとは宴会である。

盛り上がる親たちを尻目に俺たち3人は部屋の反対でコーラを飲みながらポテチをつまむ。


「しかし、次回作って言われても何作るよ?」


高木君がつぶやく。


「作れというならなんでも作るけど、問題はどんなゲームを作るかだよね。

一応、いっぺん作ったのでX1とMSXのプログラムについての勘所はつかめてると思う。

よほど無理な密度で敵を出さないなら、アクションゲームやシューティングゲームは何とかなると思うよ。」


「密度が問題なんだ?」


「まあ、X1にも性能の限界っていうのはあるからね。

ただ、アクションやシューティングだと、作らなきゃいけないデータがまあまあ多いんだよ。

例えば、マップやキャラクターのドット絵は誰かが作らなきゃいけないし、敵の動きのアルゴリズムも考えなきゃ。

シューティングだと、さらに弾の軌道とかも考えないとならない。」


「考えるだけならたのしそうだけどな。」


「プログラムに落とすのは結構時間がかかると思うよ。

それでもいいなら、アクションやシューティングは選択肢に入るね。」


「ただ、次回作の第一候補はその辺かなって思う。

アクションゲームやシューティングゲームはファミコンでも人気だし。」


「まあ、そうだな。

実際、俺も作れるなら俺らも作ってみたいしな。」


「でも、パソコンの場合、コントローラーが無いのが問題だよ。

アクションゲームとかシューティングゲームってボタンの連打が多いでしょ。

それをキーボードでプレイするの?」


「アクションの場合はどうにもならないけど、シューティングに関しては大丈夫じゃない?

弾のボタンを押しっぱなしで自動で連射するようにすればいいんじゃないかな?

機体操作はカーソルキーかテンキー9方向で。

そうすればキーボードでも問題は起きない気がする。」


「まあ、弾の発射速度が決まってしまう問題があるけどね。

それはそれで一つの選択肢だね。

あと、本気でパソコンをゲームに使う人ならジョイスティックくらい持ってるかもしれないし。」


「ああ、ありうるな。

そうすると、ジョイスティック対応もしなきゃいけなくなる?」


「実機が無いと無理だね。

動作確認が出来ないもの。

購入するにしても、全部の機種に対応するのは予算的にも無理だから、売れてる機種に絞らないと無理だ。」


「うーん、厄介だな」


「それかゲームの種類を変えて、カーソルとか数字キーだけで操作できるやつ系統のゲームにするか。

いわゆるテーブルゲームやパズルゲームだね。

これならネタは潤沢にあるよ。


昔からあるパズルやゲーム、カード遊びをコンピュータ化するのもおてがるだし。

麻雀をアレンジしてドンジャラ、みたいな感じで、既に有名なゲームをアレンジして別のゲームにする方法とかもある。

花札やトランプをキャラクタ物に見立ててアレンジするとかそんな感じだね。


複数の方式を組み合わせるのもありだよね。

神経衰弱で取ったカードの分だけご褒美の絵が見えるとかいうアタック25方式とかそういうやつ。

あとは、絵が用意できるならジグソーパズルみたいなのもいいかも。」


「竹尾はパズル路線が希望?」


「というか、短時間でも数が作りやすそうかなって。

ルールさえ決めればあとはプログラムで何とかなりそうじゃない?

簡単なストーリーからめて作品にすればゲーム部分はシンプルでも楽しめる物が作れそう。」


「あー、BASICで作ってた同じ色の●を4つ集めて消すやつとかもあったなあ。

あれはなかなか面白かった。

アクションやシューティングほどじゃないけど、作ればそれなりに人気でそうではあるね。」


「話が戻るけど、俺はシューティングとかが作ってみたいんだけど。」


「高木君はシューティングがいち押し?」


「今の所そう。

避けて撃つっていう単純さが好きだな。」


「シンプルなのは強いからね。

ただ、どれかの真似って言われないようなゲームにするのは難しいからね。

これは覚えといて。」


「作るときに気をつけなきゃいけないとこだな」


「竹尾くん、ほかの種類のゲームは?」


「ほかの種類のゲームだと、ストーリー物は多分難しい。

アドベンチャーゲームとかRPGとかになると、必要な絵が多くてどうするのかって話になる。

何十枚も絵を描いてそれをパソコンに取り込むのも大変だし、ストーリーだって考えなきゃいけなくなる。

場合によってはシーンごとの音楽も必要かも。

それ、今の僕らで出来ると思う?」


「難しいね。

絵は描けるけど、パソコンに取り込むのには時間がかかりそうだと思う。

わたれ!の時の表紙も、僕が書いたのをパソコンに取り込むの、竹尾くんがやっても何日かかかってたよね?

それに、竹尾くんが好きなキャラ絵?を描くとなると、どうしても誰かプロの絵に似ちゃうと思う。」


「あー、それもいろいろ言われそうね…。」


「取り込み方法についても考えたいね。

前回みたいに方眼紙に落としてパソコン内に取り込んでから色を微調整するのは時間かかる。

直接パソコンで絵を描いてもらう方が平行作業できる分いいと思うんだよね。

プログラム自体はノートの上でも進められるから。

まあ、その場合、お絵かきソフト作らなきゃならなくなるけど」


「データはどうすんの?」


「X1の場合はプログラムでカセットテープが制御できるでしょ?

それで保存出来るようにすればいいと思う。

で、お絵かきソフト内でRGBごとに色を分離して、16進数に変換したものを画面に表示させればいい。

あとはその16進データをプログラムに組み込めばイラスト表示は簡単にできるね。」


「お絵描きソフトを作るほうが手間がかかりそうに聞こえるけど。」


「使う絵の枚数が増えるならあった方が楽だと思うよ?

タイトル位にしか使わないなら、無くても何とかなるっちゃあなる。」


「要するにゲーム次第か。」


「まあそうだね。」


「ほかのジャンルだと…、スポーツものとかは?」


「ゲームの仕組みをどうするかを考えないとそれっぽさが出せない気がする。

基本的にアクションの派生になるでしょ。」


「でも、野球盤とかはかなり売れてるらしいね。

出せばそれなりに需要はあると思うんだけど。

だからジャンルとしてはありじゃない?」


「無いことはないと思うよ。

でも、ゲームとしてはどこまで人に操作させるかだね。

多分、結構面倒くさいと思うよ。」


「悩ましいなあ。

このへん、ちょっとみんな家で整理してから話しないか?

思い付きで話してると結論が出る気がしねぇ。」


「そうだね。

確かにそうかも。」


「というか、どんなゲームを作りたいかも大事なんだけど、さ。

作ったゲームをどうするのかって考えてる?

次回も雑誌に投稿すんの?

それとも、ゲーム会社とかに送ってみたりする感じ?

自分たちで売るのもアリだよね。

なんかみんな賞を取ったからって浮足立ってて、ゲームを作ってどうするのかを考えてない気がする。」


「今はコンテストでいいんじゃないか?

中学生でゲームを直接売っていくって普通に無理でしょ。

少なくとも売ってくれる会社がないと、作ったものを直接売るのは無理だよ。

どうやって売ればいいか解らないし、売るための箱とかをどうやって手に入れればいいかわからんもん。」


「箱?」


「パッケージっていうの?

絵とかが印刷されたカセットテープが入っている箱のこと。

カセットテープにしても専用のロゴ入りラベルくらいは貼りたいし。

そういうのをどこから入手していくらかかるかとかわかんないじゃん?」


「あー、そうだね。」


「僕、普通に売ってるカセットテープにデータ入れて、郵便で送ればいいと思ってた。

ゲームの読み出しさえできればソフトとしては問題はないでしょ?

売る方も雑誌なんかにゲームの広告乗ってるじゃない?

ああいう広告を載せてやれば、あとは注文がかってに来るもんかと。」


「個人間とかならそういうのもダメじゃないけど、商売でやるならそれじゃ無理だと思うよ。


実際に売るとなると、買った側は手に入れた特別感みたいなものを感じたいと思うんだよ。

だから、高木君がいうみたいにパッケージボックスや、カセットやフロッピーに貼る専用のラベルも無いとダメじゃないかな?

他にも操作方法何かを説明するマニュアルも必要になるけど、これも手書きを学校の輪転機でってわけにはいかないと思う。

こういうのは全部、印刷会社に頼んで作ってもらわなきゃいけないやつだよね。」


「印刷会社かあ。」


「雑誌に載せる広告にしたってそうだよ。

俺らの手書きの文字をそのまま掲載じゃあ売れないよね。

きったない字の文章を読みたいとは思わないし、ゲームの画面はカラー写真で見てみたい。

出来る事なら記事も面白いともっといい。


実際、ゲームを買うなら広告の出来のいい所から探すよね?

そういう魅力的な広告やパッケージのデザインって素人だけじゃ作れないんじゃないかな?

やっぱりどっかのプロに頼んで作ってもらうもんなんじゃ?」


「そういうのやってくれるとこ、どうやって探すんだろう。

どっかの印刷会社に頼んで、広告デザインとパッケージの印刷両方やってもらえる会社探すとか?

誰か、印刷会社って、知り合いに居る?」


「親父の働いてる農協と付き合いのある印刷会社だったら知ってる。

そういうことをやってくれるかはわかんないけど。」


「だったら問い合わせると、出来るかどうかと必要な金額位は解るんじゃないかな?

内製で出来なくても横のつながりでやってくれるところを探してくれるかもしれないし。

まあ、その分お金はかかるかもだけどね。」


「お金が余分にかかるのは微妙だなあ。」


「同じようなことは広告を乗せてもらう月刊誌側にもいえると思う。

雑誌ごとに広告の掲載費用が違うかもしれないし、同じ回数広告出しても、雑誌によってソフトの売れ行きが違うかもしれない。

ある月うまくいったからって、他の月も同じになるとは限らない。

必要な情報がそろった後でも、広告を出すか、止めるかってのは結構難しい判断だと思うよ。」


「やった事ないと全くわからないな」


「あとは売り方と注文を受け付ける方法も考えないと。

お手軽なのは通信販売だけで済ませて、定額小為替で送ってもらうことだけど。

お店においてもらうなら卸を通さないとダメとか、売り方によってはいろいろあるみたいだよ?」


「詳しいな、竹尾」


「いや、ファミコンのゲームソフトってお店で売ってるじゃない?

俺らのゲームも売れるんじゃないかと思って調べたんだよね。


ただ、調べたのと、実際にやるかどうかは別ね。

学校の合間にデータレコーダーでテープ書き込みを何十人分もやってる時間ある?

郵送するならあて名書きも必要だよ?誰が書く?

印刷済みのパッケージの枚数をちょっとだけ超える注文が来たらどう対応する?

カセットテープ、売ってるお店の在庫がなくなったら次入荷するまでどう対処すればいい?

そもそも、売上があるんだから税金払う必要が出てくるんだけど、それってどうすんの?


こういうの考えてたら、到底、中学生だけではできないと思っちゃったんだよね。

かといって、人を雇える程儲かり続けるかなんて解らないじゃない?

誰か大人の助けがないと直販は大変だと思うんだよ。」


「んじゃやっぱコンテストが安パイじゃない?」


「それはそれで毎回賞を取れるとは限らないじゃん。

ソフト作るの、結構時間かかるよ?

それで、賞を取れなかったら、ただ働きだけど、それでいいの?」


「ただ働きっていうか、趣味でやるのか、お金を稼ぎたいのかで違うだろ?」


「うーん、じゃ、そこから足並みそろえた方がいいのかな?

高木君はどんな感じ?」


「今んとこ趣味だな。

というか、今回のゲーム、おれが一番仕事してないだろ?

作ったのはほとんど竹尾じゃん?

今後もできることは手伝うけどさ、そんなに出来ることが増える気がしないんだけど。」


「木村君は?」


「僕は金が稼げるなら稼ぎたい派だね。

MSXじゃなくてもっと性能がいいパソコンがほしいし。


今回は絵も使ってもらったし、ロゴも書いたでしょ?

だから、これからも助けになるように絵を頑張ろうかと思って。」


ホント、木村君はかわいいやつだなあ。


「でも、僕は基本的に竹尾君の意見に従うよ。

今回も竹尾君居なかったら今回のソフトも作れてないでしょ。

次もおんなじだと思うんだよね。


それに、今回のことがあって、俺はプログラムも覚えたいと思ってるんだよ。

竹尾君とゲーム作っただけでこんなに父ちゃんときちんと話できるようになると思わなかったから。

やっぱ何か実績があるってすごいことなんだなあと思ったよ。

ありがとう。竹尾君。」


「えー、なんだよそれ。

やりたくてやったことで礼言われても困っちゃうだろ。

えっとさ、今回のは俺がプログラムしたかっただけなんだから、それは気にしないでくれよ。」


実際、プログラムだけでなんとかできるならこんな苦労しないって。


「それに、高木君も働いてないっていうけどさ、2人の意見がなきゃ"わたれ!"だって別の形になったと思うよ?

それが面白かったかなんて、解らないと思わない?


だから、この前のゲームについてはあれでよかったと思うわけ。

賞金も山分けでオッケー。当たり前ね。」


まあ、実際、基本的にマシン語の練習のつもりだったし。

最初は2人に遊んでもらえればいいと思ってたから、そこそこ面白ければそれでいいと思ってた。

こんなことになるとは思ってなかったからなあ。


「それと、俺は将来のことがあるからできれば金は稼げるだけ稼ぎたいほう。

ただ、ゲーム作る件に限れば別にコンテストでいいと思ってる。


俺たち、まだゲーム作らなくても、親に食わせてもらえるじゃん?

そんな中でゲーム作るのに全力を費やすってよほど覚悟がないと難しいと思う。

だから、現状はどう考えても仕事じゃなくて趣味だと思うわけ。

だったら趣味として、コンテスト提出でいいと思う。


ただまあ、2人が自分から本気でやりたいって言ったら話は別よ?

そんときゃまた考えるし。」


まあ結論としてはそうだよな。

さんざん煽っといてなんだけど、自力でゲーム会社始めるのは難しいと思うもん。

30万あったところで全然足りないと思う。



「で、まあ、それはいいとして、だね。

こういうの、いまさら言うの恥ずかしいんだけど、そろそろ名字で呼び合うのやめね?

リンタローでいいよ。」


「ああ、じゃ、俺は高木君じゃなくてヒロシか。」

「俺は木村君じゃなくてサトルね。」


「「「じゃ、これからはそれで。」」」

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