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速く過ぎよ、イベントの日々よ

輪太郎は卒業式や入学式より簿記や中間試験の事が気になるようで……。

夜が明けて、3月21日、卒業式。

といっても、小学校の卒業式なんてどこもそう変わらない。

入場があって、卒業証書授与があって、校長の式辞があって、教育委員会や来賓の告辞や祝辞があって、記念品贈呈があって、送辞があって、答辞があって、仰げば尊しを歌えばもう終わりである。


悲しいと思う者もいるだろうし、中学生へ向かって夢をふくらませるものもいるだろう。

だが、興味が無いとあっという間に終わるのが卒業式である。


クラスに戻って教室のクラスメイトや先生との別れを惜しんだら、もう小学生の時代は終わりだ。


実際には中学校の入学まで、正確には4月になるまでは小学生扱いであるが、そんなことは関係ない。

申し訳程度に家族で写真を撮って、仲のいい友達だけに挨拶したら小学校を出る。

パソコン組の高木君、木村君、ファミコン組の金田君やみんな。

次に再開するのは中学校に入ってからになるだろう。


これで小学校も完全におしまい。

さらば、俺の小学校時代。


よし、切り替えた。

次へ行こう。



就職氷河期は巨大な壁だ。

たとえ日常が楽しくても未来を忘れるわけにはいかない。

壁の上を越すにはもっといろいろ積み上げる必要がある。


友達関係だって何につながるか解らないから仇やおろそかにはできないが。

それはそれとして必要なことはこなさねばなるまい。


まずはパソコンの事があるから優先すべきは中学校の中間試験。

しかしだからと言って今すぐ始める訳にはいかない。

何しろ、まだ教科書が無いからだ。

テスト範囲が解らないままではテスト勉強もなにもない。

話によると、教科書が受け取れるのは入学式の後らしいので、それまでは他の事に時間を使わざるを得ない。


そうなると、当面勉強すべきは引き続き簿記、という事になる。

とにかく、簿記試験の勉強はこの20日間で絶対に追い込む。

そのうえで、入学式後は全力で中間試験の試験勉強に全力で取り組む。

これしかない。


なにしろ、中間試験で良い成績が取れ、パソコンの調達が確定できて、やっと今生のスタートラインである。

簿記も重要だが、それはパソコンが手に入った後でも十分なことだ。

だから、優先順位の低い簿記は春休み中に詰めておき、中間テスト後の2週間で追い込みをかける。


そうしないと、中間試験の勉強時間が短くなりすぎる。

両方を両立するにはこの方法しかないだろう。


まずはクリアするぞ、天下分け目の関ケ原。





というわけで春休みに入り、毎日8時間は机に向かう生活への突入である。

といっても、8時間すべてを簿記に費やしてしまうとあっという間に疲弊してしまう。

同じことの繰り返しに脳が飽きてしまうのである。

だから、簿記学習自体は午前2時間、午後2時間の4時間くらい。

昼食後にはきちんと仮眠もとる。


残りの4時間のさらに半分くらいは気分転換のための小学校時代の勉強のやり直し。

これが意外と気分転換になるのである。

何しろ、新しく学ぶ事と対比して、すでに知ってることを思い出す訓練をするのは意外と良い。

6年分あるからやることだけはたくさんあるし、頭を空っぽにして常用漢字をやり直したり、地図記号を覚えなおしたりするのは楽しいことだ。

中間テストで出るかもしれない小学校の復習問題の対策のつもりでやってるので試験対策と思えば手を抜く気持ちもなくなる。


勉強に飽きたタイミングでこれをやり、集中力が戻ったら残った時間は机上プログラムである。


机上プログラムとは、キャンパスノート上で行うプログラミングだ。

作りたいソフトの仕様を整理して、プログラム全体のフローチャートを書く。

それがすんだらフローチャートに沿って、アセンブラでコードを書いて、ロジックを確認する。


対象となるのはC言語などであれば言語自体が持っている機能…。

四則演算や、単純な変数、配列変数やリスト、テーブルとソート、スタックとキューなど基本的な部分だ。

こういう部分をマシン語で実現するルーチンを書き、時間があれば、より少ない命令で同じ機能を実現できないかを考える。

いわゆるコードゴルフというやつだね。

これが、パズルみたいなもので、一手でも減らせれば脳汁が出るほど楽しくなる。


いままでのようにZ80向けではなく、8086対象でのコードになるのでPC-9801シリーズ購入後の練習にもなるし、一石二鳥だ。

アセンブラが頭にしみこんで指先から出てくるようになるまでコードを浴びる、その練習である。

いわば、アセンブラで写経をしているような感じだな。


3つの勉強は脳の使う部分がちがうみたいで、全部終わると脳全体が均等に疲れて、ぼーっとした感じになる。

これに加え、朝夕に軽く運動もするようにしているので、全身が均等に疲れて夜もよく寝れる素晴らしい毎日である。


まあ、正直なところ、これだけ勉強しても社会人時代に比べれば全然余裕がある。

なにしろ、これだけ机に向かってもまだ自由時間が16時間ある。

以前は仕事の後に資格の勉強とかしていたのだ。


勉強の合間にTVも見れれば本も読める。

自転車で出かけることもあるし、なんなら遅くまでゆっくり寝ていてもいい。

親が家事をこなしてくれるのって素晴らしい…もとい、なんとありがたいことか。

忙しくても、感謝の心と、お手伝いの精神だけは忘れないようにしたいものである。




4月10日、木曜日。

ついにこの日がやってきた。

今日は中学校の入学式である。

と言っても盛り上がってるのは式にではない。

式の後に行われる教科書配布がターゲットである。


これでやっと中間テストの試験対策がとれるようになる。

前世のことがあるからおおよそ中身は解っているが、学ぶ順番を忘れていたので教科書が必要だった。

それがやっと手に入る。あとは範囲さえ解れば準備は万全といえる。


ちなみに入学式自体についてはどうかって?

あんまりやる気は無い感じである。

なにしろ、前の人生で一度は経験していることだし、前回の人生ですらやる気はなかった。

もうここは通過したところだからな。親の好みにつき合うくらいでいいでしょう。


というわけで、事前に周知されていたとおり、新しい制服に身を通し、徒歩通学で登校する。

クラス割を確認したあと、先輩の案内で自分のクラスへ。

40人クラスなのに9クラスもあることにびっくりしていると、前年はまだ多かったのよと先輩が教えてくれた。

団塊ジュニア世代ってこんなに多かったっけ?

印象的には多い多いという思いは強かったが、身近にこんなに人が居た時期があったことを忘れていたよ。


そのおかげで、クラスメイトにも小学校時代の友達は少なめ。

高木君も木村君も見事に別クラス。

仲間内からはファミコン友達の金ちゃんグループの数人くらいだ。

それも、めちゃくちゃ仲がいいってわけじゃないメンバーだけ。

見た感じ、女子まで含めてもうちの小学校のメンバーはクラスに1/3も居ればいいほうだな。


じゃあ、残りは誰だというと、半分以上は隣の学区の小学校出身のメンバーのようだ。

彼らは彼らで再開を喜んでいる。


こりゃ多分、隣の学区の小学校の人数がかなり多かったんだな。

確かに、隣の学区は商店街を含む市の中心部とかぶっている。人数が多いのは当たり前だ。

それに押されてうちの学校出身が各クラスに散ってるんだろう。

うちの小学校、35人クラスで3クラスだったからなあ。


教室のホームルームにて必要書類が配布・回収され、入学式に関する説明が一通り行われる。

その後、体育館へ移動して式の開催だ。


保護者達は自動車でやってきて、式の少し前から体育館後方の父兄席に陣取っている。

歩いてきた俺らからするとズルいと感じなくもないが、まあそれはいい。


そこへ、真新しい制服に身を包んだ俺たち新入生が入ってきて、自分の席に並ぶ。

国歌斉唱後、新入生紹介が行われ、ひたすら長い校長のあいさつが始まる。

来賓祝辞や祝電披露、新入生誓いの言葉と教職員紹介、校歌斉唱が済んだら入学式も終了である。


イベントごとって、興味ないとホントに早く過ぎ去るよな。

頭の中で簿記の設問でも思い出してると、イベント自体はあっという間である。


この後は屋外で記念撮影があって、教室でホームルームが行われ、その後が待望の教科書の受領だ。

記念写真っぽく明るい表情で写真に写ると、ホームルームへ。

ホームルームでは明日からのオリエンテーリングに関する説明が行われ、持ってくるものの説明なども行われた。

その後、帰宅の準備をし、教科書販売所へと移動する。

教科書を受け取ったらそのまま解散で帰宅して良い段取りになっているので、かばんも持っての移動である。


会場は売店すぐそばにある広めの部屋で、普段は会議室になっているそうだ。

部屋の中央にL字型に並べられた長机。

販売スペースの列に沿って多数の教科書が包みのまま並べられており、販売業者と思われるスタッフが何人も並んでいる。


手順は簡単だ。

教科書受け取りの列に並び、受け取り用紙に選択授業の印をつけてスタッフに渡す。

すると、その内容に応じて教科書などを渡してくれる寸法だ。


早速販売スペースの列に並び、順番を待つ。

学生の方はクラス単位でどんどん来るので会場は混みあっているのだが、スタッフの手際がいいので行列はどんどんはけてゆく。

しばらく待つと順番が来て、テーブルに沿って歩いていくうちに教科書が渡され、手持ち袋がいっぱいになった。


なお、この会場、取り扱いはほとんど教科書だが、美術用などの選択授業の道具類も販売しているので、人によっては大量の手荷物に溺れる感じになる。


ただ、暗黙の了解というか、時間を合わせて親と一緒に車で帰る勢は結構いる。

親は親で保護者会と学級懇談会があるので、待ってれば時間を調整できるのだ。

そのため、地獄を見る人間は割と少ない。


問題はこの事実は隣の学区の連中だけの常識らしく、うちの小学校では知られてなかった。

うちの小学校は隣の学区より遠いのに、こういうのが知らされていないのはどうかと思う。

おかげで前世では手荷物を抱えて4キロ歩いてひどい目に遭った。

今回はそんなことにならないよう段取りしたので帰りでは楽が出来るだろう。


余談はこのくらいでいいや。


やっと、これで次の勉強が出来るようになる。


やけにニコニコした俺を変な奴でも見るような目で見る同学年の男子生徒たち。

重い教科書を抱えてうれしそうなのが変だったんだろうか。

ただでさえ荷物が重いのに、勉強と言うと、普通は嫌なものだからな。

まあ、俺にとってはパソコン調達の最後のハードルだから、受け取れたのが幸せ以外の何もんでもないんだが。


しかし、いかんな。

他と違う行動と言うのは悪目立ちするもとなのである。

前世のことを考えると中学ではあまり目立ちたくないのでこういうのは注意しないとな。


今生ではいじめとかに巻き込まれてる時間はない。

自分の事はまあ、無視できる。

ブラック企業で上司に叫ばれ続けると、脅しと黙殺には強くなる。

暴力に至っては、外部を巻き込めば物理的解決さえ可能なことを知っている。

多分、中学時代のいじめとか、多分屁くらいにも感じずに済むんじゃないだろうか。


問題は、クラスメイトだ。

前の人生同様、クラスメイトでいじめられている奴が出て来ると厄介だ。

見て見ぬふりをするか、それとも自分に降りかかってくるのを覚悟して仲裁に入るか。

いい子を演じるつもりもないが、解決までにかかる時間と労力は無駄なんだよなあ。

悩ましいところだ。


まあいいや。

後は、親さえ来たら家に帰ろう。


今日から早速、中学の教科書を頭に入れなければ。

そのためには早速今日から勉強の優先順位を変更する必要がある。

まあ、簿記の勉強自体はもう過去問まで入っている。

あとは、復習ノートと過去問の繰り返しだから優先順位は入れ替えて問題ない。

さあ、中間テストまであと1か月。

駄目詰め込みはじめますか。

今日もご覧いただきましてありがとうございました。

また、いいね、ブックマーク、感想など、大変感謝しております。


……

ちょっと一言。

昨日ですね、突然アクセスが跳ねたんですよ。

普段、PVが450~500前後推移位のところが突然、1000超しまして。

何が起こったかわからないものの、これは何かあったに違いないと思い、調べたところ、

なんと、カテゴリ別ランキングで62位くらいに入ってました。

くらい、と言うのは、入ってることに衝撃を受けてキャプチャを取り損ねまして。

案の定、今朝にはもうランク外だったので、正確には解らなくなってしまいました。


これも皆様にご覧になっていただけてのたまものだと思って感謝しております。

今後も、ご覧いただけますと幸いです。

完結まで頑張ります。



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