時、巻き戻った後12
試行錯誤の最終段階。輪太郎はどうパソコンを入手すべきか考え始めます。
というわけで、最後の難問がパソコン本体の調達だ。
これも自分で金を持ってるわけではない以上、親に買ってもらうしかない。
とは言え、入手自体は楽観視している。
実は前の人生でも、ほぼ同時期に親がPC-9801 VM2を買っているからだ。
と言っても、俺が強請ったから買ってもらえたというわけじゃない。
もちろん、きっかけは俺だ。
当時、おれはとにかくパソコンが欲しかった。
いや、本当はファミコンが欲しかったのかもしれなかったが、それは無理だった。
親の好みの問題で我が家ではゲーム専用機は買わないという事になっていた。
けれども、俺の友達は結構な人数がファミコンを持っていた。
そりゃあもう、ソフトの貸し借りで友人ネットワークが出来ていた位だ。
たくさんソフトを持ってた金田君という友達は仲間内でのヒーローだった。
おかげで、遊び道具の無いうちにやってくる友達とかすごく少なかった。
そんなある日、金田君が見かねてファミコン持ち込むからお前んちで遊ぼうぜと言ってくれた。
まあ、気を使ってくれたんだろうなと思う。
それで、まあ、大喜びで帰宅して、何とかファミコンも自宅のTVにもつなげて、友達5人くらいで楽しく遊んでたわけだ。
そこに親父が帰ってきた。
まー、それからが大騒ぎだったね。
何故買っていないはずのゲーム機があるのか、買い与えてないのだから持ち込み禁止が当たり前だという話になった。
挙句のさんぱちには、金田君の目の前でファミコンを家の横の田んぼに投げつけようとしやがった。
ちなみに、持ち込み禁止なんて事前の話は全くないし、完全に親の好みだけの話でしかない。
今考えると、高額なゲーム機を持ち込んで遊んでいた俺たちにも問題はあったと思うんだが。
それにしても、ちょっとまともな話じゃないよな。
まあ、おかげさまで2度と友達をうちに呼ぶのは無理になったね。
それで、パソコンに目を付けた。
ゲーム以外にも使えて、ゲームもできる。
ゲームが出来れば友達も呼べるかもしれない。
そんな切ない願いさ。
で、一世一代の賭けのつもりで親と話をしたんだよな。
中学に入学して最初の試験でなんとか上位10番以内に入るので、入れたらパソコンを買ってほしいって。
まあ、とにかくあの頃の俺は本当にパソコンが欲しくてたまらなかった。
身近な友達でパソコン持ってる子が数人いたから、それを比較対象にして、パソコンでできることをいろいろ上げて、親も使えるからって説得した気がする。
実際、X1を持ってた友達は、親父さんがワープロ代わりに使ってたし、それを知ってたからね。
進学先はお受験なんてなんも関係ない普通の公立中学校だ。
受験もないのに最初から全力で勉強するやつもいないだろう。
それなら1回だけなら何とかできるはず、と踏んだんだよな。
当然、その時だけ必死で勉強して、無事10番以内に入って賭けに勝ったのを覚えてる。
そんで、散々しぶられたんだけど、約束して達成したんだから、パソコン買ってくれって繰り返して何とか買ってもらったんだよな。
ただ、悲しいかな買ってもらえたのはゲームができるホビー向けの機種じゃなかった。
ほしかったのはPC-8801 Mk2 SRだったのに、親が買ってきたのはPC-9801VM2だったのだ。
親もワープロソフトが使えるのが欲しかったらしくて、ちょうど一太郎Ver2が出たばかりだったこともあり、アキバの電気屋の店員に16Bit機を押し売りされてVM2になったって話らしかった。
本体、モニタ、プリンタ辺りで100万近く使ったという話を聞いた。
ほんと、親父だけはぶっ殺されなきゃわかんねえのかと思った。
まあ、結果だけ考えると、機種選定だけは間違ってなかったわけだが。
とは言え、機種はともかく、明らかに値切りそこなってるとは思うよ。
定価で買ってないとそんな金額にならん。
1年前の発売の機械でそんなに高価いわけがない。
元々ある程度は値引きが前提の値付けの筈でもある。
店員裁量でも2割、店長巻き込めれば2割5分は引いてもらえたはずだ。
さらに言うと、おまけについてきたゲームもろくなもんじゃなかった。
言うと怒るのが見えてたから言わなかったが、完全にカモられてるよな。
まあそもそも、8801買ってれば、その半分以下で一式そろってたと思うんだが・・・。
当時、PC-8801でエニックスのウィングマンのゲームを遊びたかった俺は泣いたね。
え?その後の成績?
予想は付くと思うが、当然、その後はいまいちだったさ。
本当にまじめにやる気が起きなかったからね。
だいたい学年の真ん中位をふらふらする感じだった。
おかげでパソコン禁止命令が出て大変だった。
まあ、両親とも共働きだったんで目を盗んでつかってはいたんだが。
しかし、今回は、前回よりもプログラムに時間を割かなきゃいかん。
プログラムで金が稼げないと、今後の人生に差し障ってくるわけだから。
つまり、パソコンを使う時間をより増やさなきゃいけない。
という事は、成績の方も落ちないように維持しなきゃならなくなるのか。
厄介だなあ。
それに、40年は会ってないクラスメイト達とうまくやれるのかも心配だ。
精神的な年齢差もあるし、なにより、夏休み前に一緒に遊んでた友達の名前とか思い出せるんだろうか?
仲良かったり、衝撃的なことがあったりした相手は何となく覚えてるんだけど・・・。
あんまり浮いてしまうようだと、やっぱり逆行に気づかれはしなくてもまずいよなあ。
夏休み明けは慎重に人間関係の再構築をしていかないといけないだろうなあ。
話を戻そう。
しかし、ゲーム用としてはともかく、最終的なことを言うとVM2ってのはいい機種選定だった。
あるいは購入が5~6年後ならゲーム用としても話は違っていたと思う。
CPUはNEC V30、メモリも384KBと当時としては大容量、2HDの5インチフロッピーディスクドライブ2台搭載、漢字ROMも標準搭載と開発用としても必要十分。
Cバス拡張スロットも4本で拡張性もばっちりだ。
前回同様、同じ機種さえ調達してきてくれれば、開発自体は何とでもできる。
しいて言えば3.5インチドライブの機種向けに、外付けで3.5インチフロッピードライブが欲しいかな、とは思うけど。
成り上がるための土台としては十分だろう。
増設スロットに刺すボード自体も全部出そろうのが96年だから、購入時点でセット買いは不要。
しいて言うならVM発売と同時に出ている16色グラフィックボード辺りは早めに欲しい所だが・・・。
とはいえ、購入する理由がゲームじゃファミコン同様、親に2万円出させる説得は難しいと思う。
最初は増設カード無しが安全だと言える。
というわけで、パソコン本体については前回同様、今回も同じ手が使えるんじゃないかというのが皮算用だ。
とはいえ、やっぱり油断はできない。
もし手を抜いて10番以内にはいれなければ、この段階でのパソコン入手が夢と消える。
そうなると、地獄の氷河期に無手で飛び込まなきゃならない可能性が上がってしまう。
そういう意味で最低でもパソコン入手までの工程で手抜きはしたくない。
それから、パソコンを購入する店についてもしっかりチェックしておかないと。
そもそも、夏ボ出てから現金抱えて知識の無いままアキバ行脚とか自殺行為でしょ。
間違いなく、鴨がネギしょって狩られに行くような真似だよ。
とは言え、開発のためには本体、モニタ、プリンタ、MS-DOS位までは入手してもらいたい。
開発言語とプリントアウトのテストは出来るに越したことが無いからね。
となると、値切りもそれなりに重要になるだろう。
素人が解らないまま買いに行くと、何処でも一緒と思いがち、店員の言う事に引っ張られがちだからな。
買いに行く前には雑誌に掲載されてる広告を整理してみて、購入価格が抑えられる店舗の情報を調べとく必要あるな。
この時期ってまだ自作なんて影も形も無くて、パソコンショップが強くなかったころだから販売数イコール値引き率みたいな部分あったしなあ。
親が高い安いまで判断つくレベルまで知識持ってくれているとこんなん考える必要もないんだけど、さすがに、仕事で忙しい教師にそこまで求めるのはハードル高いかなあとも思うんだよなあ。
難点としては、8801が欲しいといいつつ、9801に関する知識を教え込む必要がある点か。
まあ、とにかく、ここでの妥協は地獄への一本道だ。
就職氷河期に地獄を見ないためにも、パソコンの早めの入手を期待したいところ。
うん、それまでなんとか頑張ろう。




