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コーラ日和

作者: ジーク

 初投稿です。テストみたいなもんなんで、軽い気持ちで読んで下さいね?


彼→主人公です。背の高い高校生です。


彼女→ヒロインです。チビな魔界の王女様です。

「…………」


 此処はとある高校の屋上。今は授業中なため、彼女が屋上のフェンスの上に座っていることには、誰も気付かない。


「……寒い」


 十歳位に見えるその少女は、肩を震わせながら言った。


「家出って寒いんだな……」




「うん、今日も良い天気だ。お陰で寝過ごしてしまった」


 制服を来た長身の彼は、学生にしてはおっさんくさい十八歳。既に登校時間をかなり過ぎているにも関わらず、のんびりと、通学路を歩いていた。


「まあいつものことなんだけど、今日は二時間目にも間に合いそうにないなあ……っと?」


 校門まで来て彼は、屋上に誰か人がいることに気付いた。


「ん?今は授業時間の筈だが、授業も聞かずにサボってるのか?」

 自分のことは棚に上げながら近付いてみると、そいつがフェンスの上に座っているのに気付いた。

「!まさか自殺志願者か!?」

 そう勝手に解釈し、彼はクラスには向かわず、屋上へと走って行った。




「さて、どうしようかしら……」

 少女は若干寒そうにしながら、それでも怒りをあらわにしながら言う。


「寒いから、本当はもう帰りたいんだけど……いや、懲らしめてやらんことには私は家には帰れない!」


 等と言っていると、屋上のドアを叩く音が屋上に響く。


「誰か来たのかしら?」




「うおっ、開かない!」


 彼は屋上への扉の前で立ち往生していた。


 扉が開かないのは当然である。この屋上は基本使われてはいない。


「おかしいな、誰かいたから開いてるかと思ったんだが。だがもたもたしていたら尊い命が一つ失われてしまう!無理矢理にでもこじ開けなければ!」


 そう言うと彼は屋上の扉にタックルを繰り出し始めた。


 ドン! ドン! ドン!


「何の音!?おちおち考えごともしてらんないわ!……あの扉ね?」

 そう言うと彼女はおもむろに「杖」を扉に向けた。


 カチャッ




「こんにゃろ、やっぱりびくともしない。これ以上やると流石に教師達にばれそうだ。なんとしてでも次で決めなくては……仕方がない、此処は俺が今まで封印してきた『あの技』を使うしかない……!」


 助走を目一杯つけ、


「うおりゃー!!」


 既に開いてる扉に全力で突っ込んでいった。




 ドーーーーン!!!


「うおっ!?」


 突然扉から吹っ飛んできた男を見て、彼女は一瞬驚いてしまった。


「何事…?」


 そしてその男は起き上がってこう言った。


「見たか!俺の必殺『スーパーテクスチャーコバルトタックル』!!まさか本当に使えるとは思わなかったぞ!!」


「…………」


 彼女はいかにも気味悪がっているような顔を見せた。

 少しの間沈黙。男は自分の意外な力に酔いしれ、少女はそんな彼にビビって声が出なかった。


「と、そうだった。当初の目的をすっかり忘れてた。あまりに衝撃的なことだったもんでつい頭から抜けちまった」


「…?」


 彼は少女に向けて言った。

「早まるんじゃない!」


「何を!?」


「お前は俺が死なせん!!」


 そう叫ぶと彼は彼女の元へ全力ダッシュした。


「なっ!?なんだコイツ!!何する気!?」


「うおりゃー!!」


 彼は全力で走った。彼女を救うため、彼は他のものに目もくれず、ただ、走った。……それゆえに気が付かなかった。

「うおっ!?」


 彼女と彼の平行線上に空き缶が捨てられていたことに。


「コーラの空き缶……だと!?」

「きゃーーーーー!!」


 ガシャーーン!!


 彼はフェンスに思いきりタックルをかまし、


「「いやぁーーーーー!!!」」

 フェンスごと二人は真っ逆さまに落ちていった。

「くっ、しまった!まさかフェンスが落ちるとは!俺が下になる!!」


「そういう問題じゃない!とにかく何とかしないと!」


 彼女は此処で彼を死なせる訳にはいかなかった。故に彼女は、再び杖を構える。




「……此処は、何処だ?俺は…俺か」


 目を覚ます。周りを見渡す。


「外国か…?俺はいつの間にか瞬間移動まで使えるようになってたのか?」


 それとももう死んでしまったのか。此処は死後の世界なのか。


 と、彼はさっきの少女を見付け、彼女も彼に気付くと、

「お前は一体なんのつもりだ!?」

「!?」

 怒鳴られてしまった。

「危うくお前が死んじゃう所だったよ!?」


「いや、俺はお前を止めようとして……」


「?」


 話が噛み合わない。彼は彼の行動の理由を彼女に説明した。


「なんだ、そういうことね。心配しなくても私は自殺なんてしないしあんな所から落ちても死なないわ」


「落ちても死なない……って、お前何者だ!?」


「魔界人だ」


「成る程納得」


「理解が早いな!?」


「あれ、嘘なのか?」


「いや、嘘じゃないけど、まさか此処まで物分かりが良いとは思わなかったから。」


「ということは此処は魔界で此処にはお前が連れて来たってことか?」


「そう、此処には私が連れて来たの。お前を助けるために私がわざわざ」


「助ける?ああ、あのまま落ちたら俺が死んじゃうから、こっちに飛ばして助けてくれたのか。ありがとうな」


「えっへん」


 もう一度辺りを見回す。


「此処は……どっかの城の一室か?」


「そう。私の部屋」


「てことはお前はこの城の王女様か何かだな!?」


「流石に理解が早過ぎない!?実は私のこと知ってるでしょ!?」

「おお、まさかとは思ったが、当たっていたとはな」


「…………」


「…………よっこらしょと」


 彼は一息ついた後、ベットに座り、伸びをしながら言った。


「所でお前はなんで人間界に来てたんだ?」

「なんでそんなに落ち着いてるの!?順応しすぎ!他にまず聞くことがあるでしょう!?」


 猛烈なツッコミが返ってきた。

「……何のことだ?」


「……だから例えば『どうやったら帰れるのか』とか『いつ帰れるのか』とか」


「ああ」


「ああじゃないよ!?不安じゃないの!?もしかしたら魔界人は人間を食すからお前をさらったのかも知れないとか考えないの!?」

「違うんだろ?」


「ええ、まあそうだけど」


「だったら問題ないだろう」


「…………あーもう訳わからない、理解出来ない、理解したくもない……まあ良いか。私が人間界にいたのは、実は家出してたからなの」


「へえ、魔界の家出は次元をも越える物なのか。流石、スケールが違うな」


「家出なんて褒めたもんじゃないんだけどね」


「なんだ自覚してたのか」


「…………」


「…………家出って親とでも喧嘩したのか?お前の親っていうと……魔王辺りか?」


「そう」


「何で喧嘩したんだ?魔界の親子はどんな喧嘩するんだ?」


「私に勝手に家庭教師を付けようとしたの」


「家出のスケールのでかさの割には小さい話だな」


「五月蝿いわ!私にとっては重要なの!そんなことしたら私の遊び時間が減るじゃない!」


「ふむ、やっぱり見た目に違わずガキなんだな」


「何をっ!?」


「いやあお前との会話は面白いな。良いリアクションだぞ」


「こっちは面白くも何ともないわ!!」


「ははは……よし、その喧嘩、俺が解決してやろう」


「え、出来るの?」


「ああ、任せておけ。…で、魔王様は何処にいるんだ?」


「こっち!」

 そう言って二人は部屋を出た。

「そういえばお前、ずっとドレス着てたんだな?」


「今更ね?今までお前は何を見てたの?」


「……これから喧嘩を解決してやろうという人にそんな口の聞き方で良いのかな?」


「今まで貴方様は何を見ていらっしゃったの!?」


「からかいがいがあるなあ本当に。……髪も銀色で凄く長いし、杖まで持ってたな。これで後は身長が高ければ完璧だな」


「五月蝿い!じゃなかった……失礼なことをおっしゃらないで下さい!貴方様が無駄にデカすぎるだけです!!」


「そうか?確かに高校生には見えないとよく言われるが……後敬語はもう良いぞ。」


 充分楽しんだようである。


「牛乳を沢山飲まないと大きくなれないぞ王女様」


「牛乳は嫌いなの!……お前は牛乳を沢山飲んだのか?だから大きいのか?」


「ん……いや、そんなには。むしろコーラばっかり飲んでたな。あ、そういえば思い出した。誰だ屋上にコーラ捨てた奴は、まだ少し残ってたぞ!」


「コーラって何?」


「ん?コーラ知らないのか?」


「魔界にはないかな」


「牛乳はあるのにな。コーラってのは目茶苦茶美味い飲み物だ!」

「目茶苦茶だと!?」


「目茶苦茶だ!」


「それ飲んだら身長伸びるか!?」


「ん、いや」


 むしろ縮みそうだ。ていうか色々偏見である。


「コーラかぁ、飲んでみたいな……」


「あ、そういえば」


 そう言うと彼は背負っている鞄を下ろし中を探り始めた。


「……あったあった。コーラは常備してたんだ」


 何故。


 彼女は彼が投げたのを受け取った。


「これがコーラ……飲んでみて良いか!?」


「ああ」


「やた!いただきます!」


 彼女は缶のプルタブを開け、そして、


「ぶふぉあ!!?」


 コーラが勢いよく噴射した。




「おのれ謀ったな!?」


「すまん!誤解だ!」


 全力で走って何度もタックルした揚句飛び落ちたのだから、これは必然とも言える事故だろう。


「まあ気を取り直そう!まだコーラは十分残ってる!」


 気は大分抜けてしまっただろうが。


「なんかこれを飲むのが凄く怖くなった!」


「大丈夫だ!俺を信じろ!」


「……」


 飲んでみた。


「……んめえ!!」


 すぐ機嫌がよくなった。


「人間界にはこんなに美味い飲み物があったのか!」


 彼女まさに至福の表情。


「また飲みたいな……と、此処が魔王の間だよ?」


「おぉ、立派な扉だな。さて、行きますか。お前は此処で待ってろよ?此処からは俺一人で行くから」


 勇者の最期の台詞にもみえるがただの仲裁である。そしてその後ろ姿を、彼女は熱い眼差しをもって見送る。

「頑張ってね!」


 そして今、彼は魔王の間へと、足を踏み入れた……


 そして彼は何事もなく魔王の間から出て来た。


「終わったぞ。お前の父さん意外と話のわかる良い奴だな」


「それで?家庭教師は?」


「ああ、勿論断った。その代わりに父さんが家庭教師をしてくれるって」


 彼女の顔が非常に面白いことになった。予想外だったらしい。


「どういうこと!?話が違「黙らっしゃい」


 黙った。


「これは家出した罰だ。しっかり反省して父さんとちゃんと仲直りしろ。わかったか?」

「ハイ」


 即答。魔界の王女を完全に一人の人間にビビっていた。

「さて、俺も満足したし、そろそろ帰らせて貰おうかな。すぐに帰れるんだろ?」


「うん。でもその際この件に関しての記憶は全て消させて貰うから」


「ん?何でだ?勿体ない」


「基本的に魔界人は人間界に影響を与えてはいけないの。だからお前を死なせる訳にはいかなかったし、記憶も残してはおけないの」

「納得。じゃあ学校も直してくれるんだな?」


「ええ」


「折角の思い出が消えるのは残念だけど、お前は今日のこと忘れるなよ?俺の分も」


「知らない」


「また会えたら良いな?」


「別に」


「また会ったらコーラ飲ましてやるからな」


「……忘れるなよ?」


 もう二度と会えない、彼は理解した上で、「約束だ」 そう言った。


 そうして、この夢物語は終わったのだ。

 ところで、夢というのはすぐに忘れてしまうのが大低のことだが、


「あれ?」


 例外も勿論ある。


「記憶、消えてないんだが」




 あの出来事が現実だったのか、今の彼にはわからない。夢だったなら記憶があっても不思議じゃない。夢じゃなかったら、


 ―後者だったら良いな― そう思いながら、今日も彼は一人で校門をくぐる。

 そして彼は何気なく屋上を見上げ、そして、彼は突然、忘れ物を思い出す。


 「今日はコーラ日和だな」


 読んで下さり大変ありがとうございます!何か気になる点や作品への感想、作者へのご希望があれば書いていただけると嬉しいです!

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