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「ハイパーこまち」封印解除

 秋田に到着後、総裁は特別編成のハイパーこまちに乗り込み、カオルからの遠隔操作でシステムのコードを書き換え始める。


 運転士が運転台を見せてくれる。聞くと運転士はハイパーこまちの高速運転の特別社内資格を持つ運転士らしい。

 運転台の後ろ、スイッチの並ぶパネルには「超高速度運転」のスイッチがあり、それに「触れるな」と赤いテプラが貼られ、オフの位置にテープで固定されている。


「本当に封印だ」


「超高速度運転、入!」

 運転士が指差しそのテープを剥がし、スイッチをオンにする。


 途端に物々しくブザーとベルが鳴り、運転モニターの画面が変わり「超高速度運転モード稼働中」の表示が浮かぶ。


「超高速度運転モード、起動確認!」


「封印が、ついに解かれた」


 そして秋田を発車、田沢湖線の険しい山岳区間を抜け、盛岡についた。

 ここで運転士は交代する。これも特別資格を持つ運転士だ。


 ハイパーこまちは盛岡をE5系を伴わない単独運転で発車すると、列車はカタパルトから打ち出されるような強烈な加速を始めた。


「これが……『ハイパーこまち』の真の能力!」


「主電動機MT207XXの咆哮が凄まじい……」


「速度上昇! カオルくん!」


カオル「進行230、275、進行300、進行330!トランスポンダ応答確認! システムオーバーライド! 進行360、進行400、進行440km/h! 総裁、総裁は今、日本の鉄軌道新幹線で未踏の領域を走ってる!」


 総裁を乗せたハイパーこまちの先頭車はカナードをはためかせ、風を切り裂きながら大地にかけられたスラブ軌道の高架線路を驀進する。

 制限なしのはずのゆるいカーブですら高速度でかかる横Gとスパルタンな揺れが襲う。パンタグラフ離線の火花の閃光が見える気がする。

 それに耐えながら、総裁たちは東京への最短ルートを突き進んでいた。


 その時だった。


「総裁! 警告! 制御システムに外部から強力なハッキングを受けている! いま四十八願さんと抵抗してる!」

「ぐぬう! なんとしても排除するのだ!」

「ちょっと……無理かも!」


 カオルの悲鳴のような声が響く。


「東郷の手の者か!」


カオル「違う! このコードは……! 僕の作ったシステムを熟知している……まさか!」


 その瞬間、総裁の鍵をかけたロングノーズ先頭車区分室のドアが、外部からの強制力でこじ開けられた。


 そこに立っていたのは、キャリアスタイルのスーツを完璧に着こなし、冷酷な笑みを浮かべた男だった。


「ご苦労様、総裁。私のシステムを、よくぞここまで酷使してくれた」


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