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「デラックスあけぼの」

 越山銀行の頭取室を出た山本頭取は、総裁と詩音と共に、すぐさま東京への帰路につくべく行動を開始した。越山銀行がホワイトナイトとなったことで、北急電鉄の危機は大きく遠のいたかに見えたが、油断はできない。


「越山頭取の英断に感謝いたします! これでグローバルワークキャピタルと東郷の目論見は崩れました」

 総裁が安堵の声を上げる。


「ええ。ですが、東郷もこのまま指をくわえているわけがない。株主総会への出席を阻止するために、最後の手段を講じてくるはずですわ」

詩音が冷静に指摘する。


 三人は新潟駅から東京行きの新幹線に乗り込もうとした。

 しかしその時、総裁のスマートフォンにカオルから緊急のメッセージが入った。


カオル「総裁、ツバメちゃん、御波ちゃん、華子ちゃん、全員無事だよ! でも、東郷が動いた! 東京から新潟へ向かう上越新幹線、全線で緊急点検が入って運行停止。再開目処は立ってない!」


「なんと!」

 頭取が顔色を変える。


「同時に、東海道新幹線も、京都付近で架線トラブルが発生し、全線不通。東郷の狙いは、物理的に私たちの移動経路を断ち、東京の株主総会への出席を阻止することですわ!」

 詩音も驚愕の声を上げる。


 東京へ向かう主要な鉄道ルートが、完全に閉ざされたのだ。


「残された道は、新潟から長岡へ向かい、そこから日本海側を北上するしかない」

 頭取は地図アプリを開き、唯一の経路を検索した。


「長岡からは、北急とJR東日本が共同運行する寝台特急**『デラックスあけぼの』**に乗るしかないであります! これなら東京を大きく迂回しつつ、秋田まで移動できる」


 しかし、その言葉に頭取は首を横に振った。


「秋田に着いても、そこから東京へ戻るには、秋田新幹線『こまち』を使うしかない。しかし、『こまち』の最速列車に乗っても、総会が始まる時間には間に合わないわ」

頭取の顔に、絶対絶命の色が浮かんだ。


「ぐぬう、まさか最後の最後に、移動の自由まで奪われるとは……」


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