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再びの東京、YouTubeライブでの告発

 総裁、御波、頭取、そしてカオルの四人は、札幌からLCC(格安航空会社)で成田空港へと飛び、そこからは北急電鉄が所有する非貫通先頭車を持つH253系編成の特急「成田エクスプレス」で東京へと向かった。

 北急はJR東日本との共同運行で、長距離列車事業の一環として、一部の253系を買い取り、独自の内装と高速通信設備を備えていたのだ。


 東京駅に到着した一行は、詩音、ツバメ、華子と合流。全員が揃ったところで、緊急のYouTubeライブを行うことを決定した。場所は、カオルが確保した、高性能な通信設備と防音性を備えた都内のレンタルスタジオである。


「こんばんは。エビコー鉄研総裁であるのだ。今宵は特別配信である。現在、読者諸賢にご検討いただきたい重大な案件があるのだ」


 いつもの大仰な口調で始まったライブ配信は、開始直後から数万人の視聴者が集まる事態となった。


 総裁は、今回のTOB(株式公開買付)を巡る一連の事件の全貌を、時系列に沿って説明し始めた。

 そして総裁、カオル、そして頭取は、ホワイトボードを使って、視聴者に分かりやすく事件の構図を解説した。


北急電鉄TOB事件の全貌

*真の目的

北急電鉄の次世代高速鉄道開発計画(EHR-400X)の技術データ略奪

*悪しき者

東郷徹郎弁護士とグローバルワークキャピタル

*情報漏洩

笹木課長への濡れ衣、そして真犯人による善さんのアカウント悪用

*札幌事件

石黒康二殺害のトリック(冷却システムと自動搬送ロボットの悪用)

*国交省勧告

東郷による偽情報リークによるEHR-400X中止勧告の罠

*KKBの対応

TOB断固反対、EHR-400Xの真価を提示し、役員会で徹底抗戦を決定


「我々がこの配信を通じて皆様にお伝えしたいのは、今回のTOBが、単なる経済活動ではなく、北急電鉄の持つ日本の未来の技術を狙った、悪質な犯罪行為であるということです!」


 頭取は、冷静かつ力強く訴えかけた。カオルは、EHR-400Xの技術的優位性をデータで示し、北急の技術が未来の交通を変える可能性を熱弁した。


「東郷弁護士の真の狙いは、情報略奪による北急の安値買い叩き、そしてその技術データの高値売却です。私たちはこの不正に屈しません。北急電鉄の魂と、鉄道がもたらす『夢』を、必ず守り抜きます!」


 ライブ配信は、視聴者からのコメントと質問で溢れた。


「北急がそんなすごい技術を持っていたとは!」

「東郷弁護士、マジもんの悪魔じゃん…」

「総裁の解説、いつもながら変にわかりやすい!」

「頑張れ北急! 頑張れエビコー鉄研!」


 この配信は、世論を大きく動かし、北急電鉄への支持を一気に高めることに成功した。


 しかし、総裁は最後に厳しい表情で締めくくった。


「しかし、真犯人、すなわち石黒さんを殺害したプロの暗殺者は、まだ捕まっておらぬ。そして、東郷弁護士も、まだ最後の罠を仕掛けてくるはず。我々の戦いは、まだ終わっておらぬのだ!」


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