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【完結】パーティに捨てられた泣き虫魔法使いは、ダンジョンの階層主に溺愛される  作者: 水都ミナト@11/14『解体嬢』コミックス1巻発売
第二部 パーティに捨てられた泣き虫魔法使いは、ダンジョンの階層主に溺愛される
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番外編⑤酒とホムラの葛藤

今までで一番いちゃいちゃしています。

苦手な人はご注意ください。

いっっっちゃいちゃしてます(大事なことなので二度言いました)

ホムラ目線です。

「…エレインは行きましたね」

「あ?ウォンのとこに行くっつってたか」

「ふっふっふ…」


 エレインが居ないある日のこと、俺がソファに腰掛けてダラダラしていると、アグニが悪い笑みを浮かべて近寄ってきた。


 もったいぶるアグニの額を小突くと、アグニはニヤリと笑みを深めてとあるものを取り出した。


「じゃじゃーん!!」

「ん?なんだ?飲み物か」


 それは瓶に入った液体だった。コルクで栓がされている。アグニの手から瓶を奪い取り、ポンっとコルクを飛ばすと何やら芳醇な香りがした。


「…なるほど、酒か。久しぶりだな」


 俺もニヤリと笑うとアグニに酒瓶を返した。


 アグニは昔からダンジョンで採れる果実を発酵させて酒を作っている。料理に使うのはもちろん、普通に飲むこともある。


「エレインはきっとお酒に弱いでしょうからね」


 確かにアグニの言う通り、エレインは酒に弱そうだ。酔ったアイツも見てみてぇが…泣き上戸や笑い上戸だと厄介だ。やめておいた方がいいだろうな。


 俺が考え込んでいるうちに、アグニはテキパキとグラスとつまみを用意していた。


「では、乾杯!」

「おう、乾杯」


 アグニが注いでくれた酒は、光に照らすとやや赤みが増す。口に含むと思ったよりも甘みが強く、鼻から香りが抜けていく。


「うめぇな」

「はい!上々の出来です」


 アグニも満足そうにグラスを傾けているが…


「お前が酒飲んでる絵面はあんまりよろしくねぇなァ」

「ん?こう見えて僕は数百年生きてますからね、問題ありません」

「まあそうだがな」


 見た目が子供だから何とも言えない罪悪感に苛まれる。そんな俺の親心には気にも止めずに、アグニはコクコクと美味そうに酒を煽った。





「ーーーさてと、エレインもいねぇし…暇だよなァ。久々にみっちり鍛えてやるよ。表に出な」

「ひぇっ!?ご遠慮願いまーす」

「お前に拒否権はねぇよ。おら、行くぞ」

「いやぁぁー!」


 酒とつまみを堪能し、腹も程よく満ちたので食後の運動のため、俺は駄々をこねるアグニを引き摺りながらボスの間へと向かった。そして宣言通りみっちりとアグニに特訓をつけた。



 この時の俺は、テーブルの上に飲み掛けの酒をグラスごと置きっぱなしにしてしまったことには気付いていなかった。





◇◇◇


「よっしゃ、こんなもんだろ」

「きゅぅぅ〜〜」


 目を回してダウンしたアグニを置いて、俺は一足先に裏へと戻った。


「お?」


 すると、ソファに座るエレインが目に入った。それだけで心が浮つくもんだから、大概末期だなと自嘲する。


「戻ってたのか」


 エレインに近付きそう声をかけた時、俺はすぐに違和感に気がついた。


「あー、ホムラしゃんら〜」

「……ホムラ、しゃん?」


 振り返ったエレインは頰を上気させて、目は赤らんでとろんと蕩けていた。それはもう扇情的な表情で、俺は思わず生唾を飲み込んだ。


「んん〜何だか暑い…よいちょ…」

「ちょーい!待て待て待て何してんだ!?」

「ふぇ?らって、暑いんらもん…」


 あろうことか服の裾を掴んで脱ごうとするもんだから、慌てて隣に座って断固阻止した。やめろ、マジで。理性がぶっ飛ぶ自信しかない。


 確かに、止めるために握ったエレインの手は随分と熱かった。グラスの酒は半分ほど減っていたが、エレインは酒に弱いらしいな。


「んふふふふ」

「何だよ気色悪ぃな」

「ホムラしゃん、好きれす」

「…おう」


 変な笑い声を出しながら上機嫌に肩を揺らすエレイン。くそ、可愛いなこの野郎。


 俺はわしわしとエレインの頭を掻きむしる。エレインは「きゃー」と言いながらも嬉しそうにしていて、より愛しさが胸を締め付ける。あー、抱きしめてぇ。


「ホムラしゃんホムラしゃん」

「だから何だよ」

「ちゅーしたいれす」

「ゲホッ」


 そう言って両手を広げながら目を閉じるエレイン。はぁ!?可愛すぎるだろうが!!


 仕方なく、本当に仕方なく。俺はエレインを抱きしめると、少し突き出された唇に自分の唇を重ねた。


「…酒くせ」

「ひどいれすよ!そんなことありましぇん!もう一回して確かめてくらさいよ」

「そんなことあるだろうが…ったく」


 そう言いつつも吸い寄せられるようにエレインに口付ける。


「ん、ふ…っんん」


 いつもは恥じらって声を殺しているが、酒のせいか感じるままに吐息を漏らすエレインが愛おしくて、つい我慢が効かなくなってしまう。


 腰を引き寄せて身体を密着させながら深く執拗に口付けていくと、エレインは縋るように俺の着物を握りしめる。

 エレインの身体はどこもかしこも柔らかくて心地が良い。僅かに目を開けてエレインの表情を盗み見ると、エレインも薄く目を開けており視線が絡んでしまった。


「んふふ、っん」

「っ」


 唇を重ねながらくぐもった声で笑みを漏らしたエレインの表情が艶めかしくて、俺の中の理性が音を立てて崩れていく。


 柔らかな唇を味わいながらグッと体重をかけると、あっけなくエレインの背はソファに沈み込む。エレインが俺の首に腕を絡めてくるもんだから歯止めが効かなくなる。

 そっと胸の膨らみに手を添えると、ピクリとエレインの身体が反応する。だが突き飛ばされたりはしない。唇を首元に寄せて軽く啄むと、くすぐったそうにエレインが声を漏らす。



 あーー…マジでそろそろ止めてくんねぇと知らねぇぞ…



「エレイン…」


 酒のせいか、はたまた俺のせいなのか、赤らんだ鎖骨に唇を滑らせ、恐る恐る服の裾に手を忍ばせるとーーー



 ボトボトボトっと何かが落ちる音がした。



 ギシッと身体を軋ませながらそっと視線を音がした方へ向けると、ソファの傍らには両手で顔を覆ったアグニが立っていた。足元には木の実が散乱している。


 コイツ、動けるようになってから律儀に夕飯を採りに行ってたのか。本当ありがてぇよな。


 ってそれどころじゃなくてーーー


「僕は何も見てません、どうぞお気になさらず続けてください」

「…はぁーーー」


 指の隙間からチラッとこちらを見てくるアグニ。俺はアグニの登場に、ガッカリしたような、だが一方でどこかホッとしていた。あのまま誰にも止められなければどうなっていたことか…


 エレインに視線を戻すとーーー


「すー…すー…」

「……お前マジかよ」


 気持ちよさそうにソファに丸まって寝息を立てていた。


 俺は肺に溜まった息を吐き出すと、エレインを担いでベッドに運んだ。


「んー…ホムラしゃん…」

「ったく、人の気も知らねぇで」


 スヤスヤ安心しきった顔で眠るエレイン。


 俺は翻弄されてばかりで腹が立つので、ちょいと悪戯をしてやった。






 翌朝ーーー


「きゃーーーーっ!?何ですかこれっ!?」

「あ?昨日のこと忘れたのかァ?」

「きっ、昨日…!?うっ、頭痛い…」

「二日酔いだろうが」


 真っ赤な顔で鎖骨を指差すエレイン。そこには昨日エレインが寝ている隙につけた赤い華が咲いていた。


 身に覚えのないエレインは眼を白黒させながら困惑している。その様子に俺はため息をつくしかない。


「…やっぱ覚えてねぇよなァ」


 まあ、どうせ昨日のことは覚えてないんだろうとは思っていた。案の定で俺は密かに肩を落とすが、別に気にすることはない。そう言い聞かそうとしたのだが。


「…………覚えてますよ」

「…あ?」

「おっ、覚えてます。昨日のこと…」


 顔を真っ赤にしてそう訴えるエレイン。俺は思わず目を見開いた。


「エレイン」

「は、はい…んぅ!?」


 俺はエレインの頭を撫で、そのまま後頭部を引き寄せて触れるだけの口付けをした。


「昨日の続きはシラフの時にな」

「〜〜〜っ!!」


 耳元でそう言うと、エレインは首まで真っ赤にして俺の胸元に顔を埋めた。まったく、可愛くって仕方がねぇわ。その時が来たら…死ぬほど大事にしてやっから安心しろよ。





お約束ってやつですね。

アグニに見られたということはリリスに筒抜けです。ああ、エレインお気の毒に…


番外編では、自己満足でいちゃいちゃさせておりますが果たして需要はあるのでしょうか…?ドキドキ

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