5.すすんですすんで。
進軍は呆気ない程簡単だった。先陣を切るカメリアが次から次へと魔族を倒してしまうのだ。
陽動や隠密などの別働隊もいたし、彼らも最初は少しばかり戦っていたがすぐに魔族はカメリアの方へ向かった。雑魚よりカメリアを止めろと、そういった指令が出たらしい。
なので別働隊もカメリアと共に進むことになったし、救護隊も暇を持て余して普通について行っていた。
残党処理も最初こそ戦おうとしたがカメリアが全て一太刀で片付けるので出番が無かった。カメリアの後には草一本残らない、そんな風情だった。
途中、残りの四天王も立ちはだかったがカメリアはそんなものに構いはしなかった。まるで道端の草でも刈るくらいの勢いで薙ぎ倒して行った。
つくづく、何でこの人姫なんだろうと騎士達は思った。騎士になるとか、魔術師になるとか、もっとその能力を活かせる道があるのではと。
しかし冷静に考えて、それで王子を守れるのならある意味天職なのではなかろうか。こういう時にすぐに動けるのも姫という特権があってこそである。ならばやはり姫が一番だろうという結論に達した。
そうして進み続け、とうとう魔王の部屋にやって来た。カメリアは、その大きな重い扉を躊躇い無く、開けた。