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異世界魔人  作者: tosikazu
12/28

第十二話 ミノル。


 村は惨劇の一言だった。


 皆殺し。


 みんな、殺されていた。


 気のいい漁師たちも、

 沼地の農家たちも、

 子供たちでさえ、

 等しく息をするものは居なかった。



 なんだ?

 何なんだ?



 頭が混乱し、息がうまく吸えない。


 切り取られた写真のようなリザードマン達の死体が頭の中でぐるぐると回る。



 足に力が入らない。



 なんだ?

 現実なのか?

 どこから?

 ここは異世界なのか?

 何が起こったんだ?



 トボトボと村を一周して自分の住処へ戻る。


 傍らにはミノルが寝たように倒れている。 死んでいるのだ。


 俺はフラフラとミノルの部屋へ足を踏み入れた。


 ミミズのようにのたくった日本語の文字が、あちらこちらに散乱している。


 机の上に、大切にしまわれた手紙のようなものを見付けた。 何の気なしに俺はそれに目をやった。



---


わたしは、びっくりした。

タカシ、どのは、まつりでつかう、だいじなフルーツを、たべていたから。

わたしは、みんなをまもっている。

わたしは、おかあさんのこどもだ。

おかあさんは、みんなのおかあさんだ。

わたしは、つぎに、みんなのおかあさんに、なる。

だから、つよく、なった。

でも、タカシ、どのはもっとつよい。

そして、やさしい。

さかなくさいといわれたら、かなしい。

タカシ、どのを、おかあさんからきいたジョバジョバだとおもって、おかあさんをつれていった。

おかあさんはタカシ、どのをジョバジョバだといった。

だから、そばにいるように、いわれた。

タカシ、どのは、笑うことを、おしえてくれた。

たくさん、おしえてくれた。

笑ったら、げんきに、なる。

みんな、げんきになる。

タカシ、どのは、すごい。

ジョバジョバは、すごい。

みんな、笑ってる。

タカシ、どのにさかなくさいといわれる。

タカシ、どのにさわったら、さかなくさくなる。

おかあさんにきいたら、それがあい、だといっていた。

あい、はなんだか、かゆい。

むねがかゆい。

わからない。

でも、あい、してる。

まつりで、つよいおとこと、けっこんする。

タカシ、どのでわない。

タカシ、どのと、けっこんしたい。

タカシ、どの、あい、してる。


---













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